10月2日(月)〔C〕 “渡辺理事 訪日のご報告(4)”

∴ 後述

◆ 今回訪日してまず感じた事。

 国や県の方々には、今まで現地の実情を一生懸命話して来て解ってもらえたと思っていましたが、関係官庁の人事移動の為、また、始めからやらなくてはならない事に悲惨さを感じております。

◆ 医師団派遣の事については、断った事ばかりが前面に出て、その理由は何ひとつ説明されていません。

 それについては、広島でスピーチした、以下、「在ブラジル被爆者の訴え」の中から一部を引用致します。

「ブラジル被爆者からの訴え」

 日本までの距離が非常に遠く、訪日が困難になっていく中で、私達は、ブラジル被爆者のために 現地において分け隔てなく援助が行き届くにはどんな方法が良いか、資料を調べ、関係機関との話し合いを続けてきました。
 そして、二つの日系病院から力強い協力を得られることになりました。
 そうなれば、ブラジルのほとんど全土に存在するその系列病院において、被爆者が必要に応じて受診し、治療を受けることが可能になります。

 これを具体的に実施するためには、これまで日本政府により行われてきた帰国治療、医師団派遣、医療費支援などにかけられている経費と同じ程度の金額を、こちらの病院に基金として支出していただくことが必要です。

 ところで、この3つの事業については 私たちは疑問を持っています。

  帰国治療は体力のある人は毎年でも可能ですが、病弱で高齢な人はそれを理由に拒否されているのが現実です。
 医師団派遣は、検査で病気が見つかっても、その後の治療が伴っていません。
 年間上限13万円の医療費支援は、これまでに民間医療保険に加入している者は援助対象となりましたが、未加入だった被爆者が民間医療保険に新規に加入しようとしても、年額13万円をはるかに超えるお金が必要のため、加入できず、したがって、医療支援を受けられないという結果になっています。

 現時点でブラジル被爆者に対する援護を効果的に行っていただくとすれば、現住地のブラジルで治療を受けられるようにしていただくことが必要です。
 これしかありません。
 協会は例会の出席者全員の賛成でこの方針でいく事を決め、今年は医師団派遣を断りました。
 現在の在外被爆者に対する支援策では、受けられる人と受けられない人があります。
 これは「差別」であり 泣いている人が大勢います。
 電話口で泣きながら、「もういいです。疲れました」と言われ それから暫くして亡くなられた被爆者もおられます。

 日本の関係機関の方々にお願い致します。
 世界各地で何か起こると、すぐに日本政府はあたたかい救いの手を差し伸べます。
 では何故、残りいくばくもない在外被爆者を救えないのでしょうか?
 私達は、これまで在外被爆者・ブラジル被爆者のために使って頂いている大事な国費を、より有効に、全被爆者に行き渡るようにして頂きたいのです。

 もう先はないという事を知って下さい。
 日本で考えられたことが一方的にブラジルに押しつけられるたびに、おおいに不具合が生じているのです。

◆ ブラジルから申請した健康管理手当に於いては、それを審査・認可・送金する広島、長崎 両 県市は申請者に対して、当然、「認可の有無、健康管理手当証の送付、送金の金額、及び送金の期日、」を郵便で通知する事は有って当然と思います。

 日本と違ってブラジルでは外国から送金があっても本人に通知しない銀行があり、日本から通知が無い限り銀行へは行く理由がありません。
 本人が銀行に行ってサインをして初めて自分の口座に振り込まれるのです。
 それをしないと、60日したら送り返されます。
 その事で、今でも問題がおきています。

◆ 健康管理手当証書を受け取っていない人が何人も居られる様で、従って自分が何の病名で何年手当てを貰えるのか解らない人が、ある日、日本から手当ての期限が切れるので・・・・・・と言う様な書類が来て何の事か解らず、パニックになる被爆者が何人もおられる事実です。

◆ 在外の被爆者に関する仕事に携わって居られる関係官庁の人にお願い致します。

 永く在外に居住している被爆者は日本語で「話し」「読む」事に疎くなっております。

 日本から送付される沢山の書類は、内容を理解し、作成する事が難しくなっております。

 日本からの連絡事項は、個人情報と言う事で 協会 が 抜きになっていますが、個人宛に届いていない書類が沢山あり、問題が生じているのも事実です。

 又、日本とブラジルでいろんな事が違います。
 よって、日本と同じやり方では不具合が生じる事が多だありますから、そこのところ、くれぐれもよろしくお願いしたいと思います。 

在ブラジル原爆被爆者協会理事 渡辺淳子

2006年10月2日    

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