現在(2004=平成16=年9月)の状況 |
大阪高裁判決が確定した翌年の2003(平成15)年、日本政府(厚生労働省)は、在外被爆者への〔各種手当の支給〕を決定しました。
しかし、すでに述べたとおり、在外被爆者が手当を受けるためには一度日本へ行かなければならないため、
「日本に行ける人=手当をもらえる人」と、
「日本に行けない人=手当をもらえない人」との、
新たな不平等が生じています。
もし医療費助成がスタートしても… |
ご指摘いただいた医療保険制度(「在外被爆者保健医療助成事業」)による〔医療費の“助成”〕(“支給”ではなく)が検討されていることは、私たち在外被爆者にとってとてもありがたいお話です。しかし、この制度がもし来年1月以降スタートしても、日本に行けない人が手当をもらえない状況は改善されません。
(繰り返しますが、〔医療の給付+医療費の支給〕と〔各種手当の支給〕は別の問題です)。
また、「在外被爆者保健医療助成事業」は本年(2004年)9月現在、具体的にどのような形で医療費が支給されるのか、はっきりわかっておりません。
伝えられているところでは、
◇一人当たり年間13万円を上限に薬代・医療費を助成する
◇在外被爆者は、これら診察や治療にかかった時の領収書を提出し、かかった費用だけを受け取ることができる(13万円全額ではない)
◇精算は年末にされる
といった内容で検討されているようです。
しかし、入院などで(日本円に換算して)100万円単位の治療費がかかった場合、年間13万円の助成では(無いよりははるかに助かりますが)とても足りません。
※ 日本国内であれば金額の上限なく国が医療費を全額負担してくれます。
―― 寝たきりなどの困っている人ほど、手当が支給される道が閉ざされている ――
この状況に変わりはないのです。