広い境内は普段はがらんとしているのだが、弘法さんの日だけはべつである。 久しぶりに行ってみたが、人の多さは昔と変わっていなかった。


 東寺の売店では曼荼羅をデザインした密教グッズを売っている。人気は金剛界、胎蔵界の2枚組み曼荼羅ポスターであるらしい。
 金堂内に祭られた本尊は薬師三尊であるが、これは奈良仏教の名残りである。
 金堂と平行して建つ講堂内には空海が構想した二十一体の仏像が立体曼荼羅として表現されている。 金堂と講堂内は有料となっている。(500円)

 ここから歩いて5分くらいのところに羅生門の跡として公園の中に標石が建てられている。興味のある方は行ってみることをお薦めする。
 弘法さんの日は境内が開放されて、骨董や古布、植木、掛け軸などを売る店が所狭しと並ぶ。他にもお祭りのような屋台や道具屋、乾物、金物、薬、ありとあらゆる店が建ち並ぶ。 境内は参詣者と買い物客、観光客でごった返す。
 ここでしか見ることができなくなったような品物も売られている。冷かして歩くだけでも楽しいが、人の多さに圧倒される。外人さんもちらほら混じっている。最近では外人さんが店を出していることもある。一度くらい来ただけでは、どの辺にどんな店があるのかは覚えられないが、金堂の前には骨董が並んでいる。

 母方の祖父母が近くに住んでいたので、小さい頃ときどき連れてきてもらった覚えがある。
 正式名は教王護国寺と言う。真言宗の総本山。796年、平安京遷都とともに羅城門の東に桓武天皇が官寺として創建した。後の822年に空海(弘法大師)が嵯峨天皇より賜って、真言宗の根本道場とした。
 創建当時は、この東寺と対をなす西寺があり、都の鎮守とされたが、西寺の方は西寺跡に石碑が残るのみとなっている。

 東寺の辺りは京都の下町であり、庶民的な商店街となっている。

 弘法大師に対する庶民の信仰はふかく、毎月二十一日の大師の命日(御影供)は「弘法さん」と呼ばれ、数万人の参詣者で賑わう。

 京都のシンボルとして有名な五重塔(国宝)は高さ約五十五メートルでわが国最高の塔である。
 私も出張などへ行っていて車窓から五重塔が見えると帰ってきたという気がする。

 この秋(2003年11月1日から10日)、特別拝観として五重塔の1層部分(初層内部)が公開されていたので、拝観した。 1層部分には心柱(支柱:大日如来)を囲んで4体の如来様が安置されていた。
 五重塔は空海が建立してから四度焼亡し、現在の五重塔は1644年に再建されたものである。 多くの部材で積み上げられた塔は、年を経るごとに乾燥し収縮するが、独立した心柱は収縮しないので、心柱のみが突き出てしまう。そこで、心柱を切り下げて調整するらしく、その跡(切った跡)が残っている部分も公開されていた。

東寺







 東寺近くのラーメン店