公園の中に建てられた標石だけでは、どんな門だったか想像できそうもないので、門の復元模型があると聞いて、三条高倉にある京都文化博物館まで足を運んだ。 その時に撮したのが左の2枚である。
もとの名は羅城門であり、「らせいもん」とか「らいせいもん」と言われていたらしい。平安京を象徴する顔であった羅生門であるが、羅生門があったのは、千年の都の最初の二百年くらいであった。建築物としては構造的に不安定であったらしく、台風などにあおられて816年に転倒、後に再建されるが980年に再び倒壊、以後は建てられることはなかった。
羅生門が物語に登場するのは「今昔物語集」である。ここでは門の上層部は死体置き場として描かれている。
案内板には芥川の小説「羅生門」とあるが、正確には黒澤明が映画化したのは「藪の中」である。この中で羅生門は戦後の復興へのあかしとしてイメージされた。
平安京の羅生門を見ることはできないが、二十世紀の羅生門として、京都駅の
駅ビルがそう見えなくもない。 京都は今も昔もしたたかに新しいものを吸収してきた都市でもある。
ビルでは違和感があると思われるなら、
平安神宮の應天門(オウテンモン)にその昔を偲ぶことができなくもない。