平成13年5月某日 予算は三千万円

平成13年5月某日 予算は三千万円

 日付は忘れてしまったが、前日が飲み会だったので二日酔いで気持ちが悪かったことを覚えている。業者さんの車に乗り、物件を回ることになった。
 自分の車で行くと言ったのだが、「とにかく一度会社まで来てください。それが決まりですので。」と会社に連れてかれた。どうやら一度案内したことにしないと、自分の客として確保できないというルールがあるらしい。
 事務所では次のような話をされた。
  • ローン(いくらまで借り入れが可能か)について。「あなたなら4000万ぐらいは借りられます」と言っていた。妻は「それじゃ生活できない」と反論していた。そのやりとりを聞きながら、私は漠然と3000万くらいが予算かなと思っていた。
  • 不動産には掘り出し物とかお買い得はない。安いものには必ずワケがある。例えば、設備が本下水はなく浄化槽だとか、都市ガスではなくプロパンガスだとか、水道がなく井戸水を使うとか。
  • また駅から遠くなればなるほど安いとか、この駅沿いは安く、この駅沿いは高いだとか。
 まあ、比較的良心的な50代から60代くらいの年輩のおじさんだった。
 話が終わって会社から出発するときになって、わざわざ自分の車を運転して後をついていくのもめんどくさくなり、業者さんの車に同乗させてもらうことにした。

 最初に新築の家を見せられた。「予算的に中古しか買えない」と言っておいたのにもかかわらず、「今しがたいい物件が出たので。3000万くらいですから」と言われて…。
 見てみたが駐車場は2台分あるし、「10年保証」だとか謳っているし「いいんじゃないの」と内心思った。でも妻は「壁紙は何ですか? 塩化ビニールじゃないですよね?」と質問していた。相手が「そんなことを気にされるんですか?」と答えたのが気に入らなかったらしく、この人は信用できないと思ったという。妻はシックハウスが心配だったようだ。
 まあ、よく見るとリビングとダイニングが真ん中の廊下で完全に分かれているし、余った土地のすべてを駐車場に取られ、庭と呼べるものはまったくないし、手を出すのは待った方がいい物件ではあった。(後でよくよく考えてみれば…)

 その後は、いくつか中古の家を回ったが、どうやら手持ちの物件のよくないものから順に見せられたようだ。最後に見た家はかなり広い土地と完全な南道路で3200万(昭和63年築)で、いいんじゃないのと思ったが、即答はもちろんしなかった。これも後でよく考えたら、昭和63年築なら建物は0円で、3200万のすべてが土地代ではないか、そりゃいい物件だわ。


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