Urban Architecture Planning Partnership
           
















  『水平線に沈む平屋』

はじめに

 仙台市中心街のほど近く古くからある住宅地に建つ地下1階・地上1階の住宅です。

 計画地は、傾斜地にあり平場がほとんどない特殊な敷地でした。
敷地の南と西は保安林に囲まれており自然公園のような豊かさを持っています。この保安林帯は、地域の小中学生の通学路や散歩道として利用されており、前面道路から望む保安林の環境は近隣住民に豊かな景観を与えてきました。
 前面道路から保安林までの抜けを従来どおり確保しながら、本建築にも周囲の環境を最大限に取り込んだ建築をめざしました。
 住宅内部には、精一杯景色を取り込みながらも庭園の前庭のようなゆったりした姿を道路に向けて覗かせています。建築を低く抑え前面道路から保安林までの抜けを確保し、敷地の傾斜を利用し建物を斜面に張り付くように細長く配置しました。
 アプローチを介して玄関を一旦地下へ下ろすことで地上の建物高さを低く抑えることと、横に並べた細長い計画を有効に利用できています。
 前庭を北側に配置することでプライバシーを確保しつつ、道路側にも内部の空間が漏れ出るような計画として採光・通風も建物周囲から十分な光と風を取り入れることが出来ます。
 北側を駐車場として広いスペースを空けることで今まで通学路として利用してきた通路をこれまでどおり違和感なく周辺住民が利用してもらえるようにオープンなスペースとしました。

これまでの敷地に「沈む」ように建てた「屋根」が印象的な住宅です。

外観

前面道路からの外観
カーブミラーの辺りから通学路・散歩道に続く道へ下りていく


右に見えるのは、外部収納でバイクや自転車、その他いろいろ収納してある
電灯引込みはH鋼を外部収納に抱かせて設置してある

西側保安林帯よりみる
周囲環境の良さがわかる



手前のフェンスに囲まれた場所は、ゲートボール場
デッキは、特等席!

南側保安林帯よりみる
細長い計画がわかる
庇を1m出しているので夏場の強い日差しは遮り、冬場の温かな光は取り入れる



アプローチ



コンクリートスラブで跳ね出した構造体のトンネルに入るようなアプローチ
玄関前の庇としても機能している
壁・軒天は特殊な左官で地層をイメージするような仕上げとした

玄関前で振り返る



玄関は、印象のある木製玄関ドアとした

玄関ホール・寝室

玄関に段差はなくスノコを設置してフラットにつながる



玄関ホールのとなりに3枚引戸で仕切られた寝室がある
奥にはクローゼットなど収納



将来的にはセカンドリビングのような使い方も考えている
上階のリビングと違い、暗めの落ち着いた空間であるため居心地はとてもよい

階段
上部には、FRPグレーチングで地下に適度な採光を提供してくれる



キッチン・ダイニング・リビング


階段を上がって振り返るとキッチン・ダイニング・リビングとつながる
保安林を望む抜群の借景



コンクリートスラブでキャンティしたフロアは、保安林に囲まれ浮いてる印象を感じさせてくれる



リビング側から振り返ってみると
奥にロフトが見える
中間に天井までの間仕切壁を設けないことで、天井のつながりを意識させ奥行き感をだして建物を広く見せている

子室・親室

子室から北側の生垣をみる
生垣は、様々な樹種を選択し季節によって形・色・密度など様々な表情を見せるように計画した
両側にロフトがあり子供の寝室となっている



北側生垣と廊下を親室より
手前からトイレと洗面所・浴室、子室、キッチン、ダイニング、リビングという細長プラン



親室から保安林をみる
畳の部屋で落ち着いた心地の良い居場所



浴室




保安林への開口 人目を気にせず全開で露天風呂のように入浴可能

夜景




木々の中から印象的な外観が顔を出している



天井面には、照明は取付けずにアッパーライトで照明計画
天井面を照らすことで室内全体の明るさを確保している