天のお父さま



「天のお父さま」と祈りはじめて
胸が熱くなり
次の言葉が出てこない
神さまを 天のお父さまと呼べる幸い

天のお父さま
天のお父さま
何回も声に出して呼ぶだけの祈り
何と祈りたいのか
何を言いたいのか
言葉にならなくてもわかってくださる
天のお父さま




ひとつぶの涙が
ほおを伝って流れ落ちる
あ いま
神さまの皮袋の中に入った


心の膜



わたしの心は、すっぽりと膜におおわれていた
心に立っていた小さなアンテナも
役立たずになっていた

目はあいているのに見えず
耳は開いているのに聞こえず
心震えることもなかった

乳ガンになって、命にかぎりがあることを知ったとき
心の膜は取りのぞかれた

あなたのみ姿を見
あなたのみ声が聞こえ
あなたの働きかけを全身で感じる

心のアンテナは感度を増して心を震わせ
涙を流さずにはいられない


解説



「天のお父さま」

キリスト教では神を父なる神といいます。肉親の父親とは別に、創造者としての父なる神です。 本当は気安く「お父さま」なんて呼べないのに、呼ぶことがゆるされていて、いつでもお父さまに話かけることのできる幸いを感じて書きました。

「涙」

つらくて、せつなくて涙を流してしまうことがあります。聖書には、「どうか私の涙をあなたの皮袋にたくわえてください。(詩編56−8)」と書かれています。
わたしの涙は神さまに知られている。 決して無駄に流した涙ではない。わたしの涙も神様の皮袋にたくわえられたのだなあと思うと嬉しくなりました。

「心の膜」

病気をしてから、涙腺がゆるんでしまったかのようによく涙が出ます。聖書を読んでも祈っていても、賛美歌を歌っても……この涙は悲しみの涙ではなく、感動の涙です。 こんなに泣けるのは、きっと心の膜が取り除かれたからだと思います。「あなた」というのは神さまのことです。



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