もしや希望があるかもしれない



何とかなると思っていた
こんなはずじゃなかったのに……

自分の力では どうすることもできなくて
立ちすくんでしまった

アリジゴクの巣に落ちた
小さな虫のように
もがけばもがくほど
深い穴に落ち込んで 
どうしても出られない

長い間 穴の中にいたら
助かりたいとさえ思わなくなった

すべてが物憂く
怒りも悲しみも 感じられない

生きる気力が失われかけたとき
「もしや希望があるかもしれない」
という声が聞こえた

希望……久しく聞いたことのない言葉…… 
それは どこにあるの?
教えて!
もしあるのなら、下さい

暗闇の中から 大声で叫ぶと
「恐れるな」
確かに聞こえた この耳に
「わたしはあなたを贖った」

そのとき
引き上げてくださる手が
最初から伸ばされていたことを知った


もしイエスさまが来て下さらなかったなら



もしイエスさまが来て下さらなかったなら
わたしの心は闇におおわれていたでしょう

もしイエスさまが来て下さらなかったなら
人間らしく生きることができなかったでしょう

もしイエスさまが来て下さらなかったなら
身体も心も病んで、ボロボロになっていたでしょう

もしイエスさまが来て下さらなかったなら
生きる意味がわからずに、あてもなくさまよっていたでしょう

もしイエスさまが来て下さらなかったなら
ああ……わたしはとっくに死んでいました


ゆるしなさいと言われても



ゆるせない
ゆるせない
ぜったいに ゆるせない
あのときのあの人の言葉
あの人の行動
ぜったいにゆるせない

ゆるしなさい
ゆるしなさい
7の70倍ゆるしなさい
と言われても、ゆるせるわけがない
憎しみをつかんで
きつくにぎりしめていた

ゆるしてください
ゆるしてください
正論を唱えて、人を裁いていたわたし
愛のない言葉が
友を深く傷つけていたことを知り
そう叫んで泣いた

ゆるされている
ゆるされている
そんな声が聞こえたとき
握りしめていた憎しみと
ゆるせない心が 粉々にくだけて
ポロポロと手からこぼれ落ちていった

そのときあなたは……



よちよち歩きのころ
自分が母親と別の人間だと気づいて
わんわん泣いた
そのときあなたは、そばにおられた

幼稚園に行って
はじめて母親と離れ
部屋のすみで棒のようにつっ立っていた
そのときあなたは、そばにおられた

小学校に通って
友達にいじめられ
泣くことも、訴えることもできなかった
そのときあなたは、そばにおられた

中学で転校して
友達がひとりもできなくて
トイレの中で休み時間を過ごしていた
そのときあなたは、そばにおられた

誰からも愛されていないと感じ
不必要な人間だと感じて
死にたかったときも
あなたはそばにおられた

あなたを知ってから
あなたに背を向け
勝手な道を歩いていたときも
あなたはそばにおられた

いま、わたしは
あなたの中にいる


*「あなた」はイエス・キリストを指します。  
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