生かされて

だれか助けてください。
目の前はミルク色の濃い霧に包まれてしまいました。
前に進んだら、
奈落の底に落ちてしまいそうです。

一歩も前に進めなくて
何もできなくて
捨てられた子猫のように
ふるえながら泣いていました。

だれかにわかってもらいたくて
だれかに慰めてもらいたくて
だれにもわかってもらえなくて
うめいていました。

そっと背中を押されて
おもわず一歩踏みだすと
そこに道がたしかにありました。
一歩、そしてまた一歩……。
踏みだすごとに道がみえてきました。

背中を押してくれたお方は
わたしのまわりを取り囲み、
わたしをすっぽりと包みこんでくれました。

そのお方は
わたしの胸の鼓動の音とともに、
吐く息、吸う息とともにおられます。

二歩先、三歩先はまだ霧の中だけれど、
いま、わたしは生かされています。


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