生かされて だれか助けてください。目の前はミルク色の濃い霧に包まれてしまいました。 前に進んだら、 奈落の底に落ちてしまいそうです。 一歩も前に進めなくて 何もできなくて 捨てられた子猫のように ふるえながら泣いていました。 だれかにわかってもらいたくて だれかに慰めてもらいたくて だれにもわかってもらえなくて うめいていました。 そっと背中を押されて おもわず一歩踏みだすと そこに道がたしかにありました。 一歩、そしてまた一歩……。 踏みだすごとに道がみえてきました。 背中を押してくれたお方は わたしのまわりを取り囲み、 わたしをすっぽりと包みこんでくれました。 そのお方は わたしの胸の鼓動の音とともに、 吐く息、吸う息とともにおられます。 二歩先、三歩先はまだ霧の中だけれど、 いま、わたしは生かされています。 |