ゆっくりと



きのうは庭先に来た雀に
パンくずをやった
それだけ

おとといは
花の種を植えた
それだけ

今日はなーんにもしないで
いちにちゴロゴロしていた

何もしない一日があってもいい
明日は友のために祈ろう



神さまのシャワー



神様が
  土くれにひとしいわたしを
泥沼から
引き上げてくださった

神様が
泥だらけのわたしを
両手でつつみ
抱き上げて下さった

神様が
わたしにシャワーをかけて
泥のよごれを
落として下さった

神様
  もっと もっと
シャワーを下さい
ここもまだ あそこもまだ
汚れているのです

そう言いながらも
わたしは 
ぎゅうっと両手を
にぎりしめていた

いま
その手を開きます


ギブアップ



きれいな物をいっぱい見て
美しい音楽をたくさん聞いて
感動的な本を読み
ピュアなドラマを見て

心がきれいになったような
やさしい人になったような
そんな気がして浮かれていたら

自分の中の
みにくい思い
人をうらやみ、にくむ気持ちが
むくっむくっと顔を出します

一生懸命努力して
心を変えようと願っているのに
ちっとも変わらないこの心

もしも心を映す鏡があったなら
それを見て気絶するでしょう

神様、ギブアップです
どうか
きよめてください


ねじれた心が



ねじれて曲がったわたしの心
まっすぐにしたいと願うのに
石膏で固められたように動かない

これはひどい、ひどすぎる
こんなにねじれていたとは……と泣いたとき
かたい心が粘土のようになった

「どうかこのねじれをなおして下さい」と訴えると
心は揉まれて叩かれ
打ち付けられた

あまりの痛さに悲鳴を上げ
文句を言おうとしたとき

打ち付けた者の手が傷だらけで
わたしの心より痛んでいたことを知った

「ごめんなさい……どうしたらいいんですか?」と叫ぶと
心のねじれがひとつほどけていた


あなたは何を



あなたは 何をしていたのか
あなたの大事なあの方が
むち打たれ、傷ついているとき

あなたは 何をしていたのか
あなたを救ったあの方が
ののしられ、さげすまれているとき

あなたは何をしていたのか
あなたを愛したあの方が
釘刺され、血を流していたとき

ああ、わたしは
美味しいものをたらふく食べ
羽布団にくるまり
不満や愚痴を言っていた

ああ、わたしは
あの方の苦しみのひとかけらも
知らないでいた




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