ドイツ旅行のガイドブックには、オクトーバーフェストについて「気の弱い観光客では、一口のビールにもありつけないかもしれない」と書いてあったので、「気合を入れていこう」「せめて一太刀なりとも…」などと話しながら、会場のテレージエンヴィーゼ広場へ向かいました。この時はまだ内心「いくらスケールが大きいお祭りでも、ビールの1杯や2杯は確保できるだろう」と思っていたのですが、すぐにこの考えが甘かったことを思い知らされることになります。
会場へ向かう電車の中は、オクトーバーフェストに向けて気合十分の人達でいっぱい。「いかにもアルプス風」という感じの民族衣装(深緑色のスウェードのチョッキやスカートに、羽根飾りのついたフェルトの帽子をかぶり、刺繍が入った皮のロングブーツを履いているといった感じ)の人も、結構いました。また、驚いたことに家族連れが多いのです。小さな子供の手を引いていたり、ベビーカーを押していたり…。「えっ、“ビール祭り”なんじゃないの?」と不思議に思いつつ、会場に到着しました。
オクトーバーフェストの会場は、ちょうど新宿御苑程度の広さです。その中に巨大なビアホールテントがいくつも並び、通りにはお菓子やお土産を売る屋台がズラリと並び、移動遊園地のメリーゴーランドや観覧車、ジェットコースターまでありました。日本では「ビール祭り」という名称が有名だけど、単にビールを飲む祭りというよりは、家族みんなで祝う収穫祭といった感じなのかなと思いました。とにかく人・人・人の大洪水。
(写真:オクトーバーフェスト会場)
「とにかくテントの中に入ってみよう」ということで入ってみたら、このありさま。無茶苦茶広いテントの中は人でびっしり埋まり、ホール中央ではバンドの生演奏。それに合わせてテーブルの上に立ち上がって歌ったり踊ったりの大騒ぎ。とにかくただただ圧倒されました。こんなテントが会場内にゾロゾロ並んでいるのです。私としては、コミケ会場よりもインパクトありましたね。(笑)
(写真:ビアホール内部)
どこへ行ったらビールが買えるのか分からずにウロウロしているうちに、ここのシステムが分かってきました。まず、ビアホールの外では、アルコールは一切売っていません。ビールを飲むためにはビアホールか、その前のビアガーデンに入り、しかもテーブルにつかないとビールを売ってくれないんです。何とか空いている席に潜り込もうとあちこちのテントでチャレンジしたのですが、なにしろオクトーバーフェスト初日の、しかも土曜日です。地元民ですら座れずに溢れているんですから、結局座ることはできませんでした。では座れなかった地元民はどうやってビールを飲んでいるのかというと、座っている人(たぶん全くの他人)に「よぉ兄弟、俺達の分のビールも一緒に頼んどいてくれないかい?」といった調子で代わりに買ってもらっているようでした。残念ながら見ず知らずの酔っ払いに声をかける勇気がなかった私達は、本当に一口のビールにもありつけませんでした。(涙)
というわけで、「せめて一太刀…」のつもりだったのに一矢報いることすらできず、オクトーバーフェスト会場を後にしました。「これでは寂しい」ということで、昼間の市場に戻り、そこで改めて飲み直し。こうしてオクトーバーフェスト初体験は完敗に終わったのでした。
ホテルへ戻り、洗濯をしました。今回の旅行は長丁場なので、最小限の着替えを持っていって洗濯をしながらの旅行になります。ここで小技をひとつ。バスルームで洗った洗濯物を絞った後、バスタオルに包んでもう一度しっかり絞ってから干します。こうするとかなり良く脱水されるので一晩で乾いてしまいます。暖房が入っている季節ならスチームの上に置いておけばより早く乾きます。
前へ戻る
次へ進む
酉小屋玄関へ戻る。