メーカー | mirage |
発売日 | 2003/12/19 |
価格 | 8800円 |
ジャンル | マルチアングル恋愛ADV |
原画 | 海野@ |
シナリオ | 泉堂 叶・長森茜・くろちび |
音楽 | ぐれい♪はうんど・株式会社ランティス |
音声 | 女性フルボイス |
対応OS | Win98/Me/2000/XP |
備考 | DVD版オンリー 封入特典にRumbling Angel プロモーションカード3枚封入 オープニング・各種イベント・Hシーン、アニメーション採用 眼パチ・口パク有り。 |
〜はじめに〜
久々のレビュー復帰第一弾は「そこに海があって」
大手のageの姉妹ブランドと言うことで、発売日前は結構話題になったゲーム。
果たして、デビュー作の出来やいかに!?
〜シナリオ〜
評価:C(55点)
全体的にシナリオちょっと難有り、本当に惜しいところです。
主人公海取幸一は小さな島「海星島」に祖父で漁師の源太郎と二人暮し。
祖父の漁の手伝いをしながら学校へ通い、幼馴染である碧唯や美奈萌をはじめ、クラスメートと楽しい学校生活を送っていた。
ある日の夜、幸一は浜辺を散歩中に全裸で倒れている少女を発見する。
どこか神秘的な美しさを放つ少女の姿に幸一は意識してしまうが、とりあえず介抱するために自宅へ少女を運ぶ。
そして、学校の校医で島の診療所の女医さんの夏海子の適切な処置の甲斐もあり、少女はしばらくして意識を取り戻す。
幸一は少女にいろいろと話をしたり、食事を振舞ったりするが、少女の反応は至って無反応に近いものであった。
まるで人形のような対応に幸一は不思議に思うばかり。
そうこうしているうちに、少女の家の使いを名乗る男女2人が少女を引き取りに海取家を訪ねて来る。
まだ名前も聞いていない手前、突然のの引き取りに残念がるも、ここは仕方なく少女の身柄を引き渡す幸一。
翌日、幸一のクラスに転校生がやって来た。
それはなんと、昨夜幸一が浜辺で助けた少女本人だった。
名前は「緒方 夕凪」病気の転地療養の為に本島からこの島に移って来たという。
思いがけない再会に喜ぶ幸一。もちろん、碧唯・美奈萌・クラスメートも歓迎ムード。
こうして、いつもの日常に夕凪が加わり、新たな学園生活が始まっていくのであった。
そして世界は徐々に変わり始める・・・
ゲームの期間は9月1日から約1ヶ月ほど。
プレイ時間は初回プレイで5〜6時間程度、以後2回目以降のプレイはルートによって1〜3時間程度。
シナリオは分岐もさほど無く、ほぼ一本道と言っても良いでしょう。
シナリオ前半部分では、主人公の幸一と夕凪・碧唯・美奈萌の4人を主に学園モノのようなストーリーが展開され、
夕凪の突飛な行動に幸一が世話を焼いたり、ハラハラさせられるといった幸一の奮闘振りを垣間見ることが出来ます。
更に、幼なじみでグループのムードメーカーの碧唯が夕凪を学園生活に溶け込ませるように東奔西走したり、
幸一を前から想っている美奈萌が幸一になかなか想いを告げられずにヤキモキしている描写も上手く表現されていて良かったです。
しかし、後半部分に突入すると天地がひっくり返ったが如く、衝撃の急展開が待ち構えています。
前半の楽しい学園モノからうって変わり、シリアス調でダークな展開へ突入。徐々に重たい雰囲気に・・・
一部登場キャラクターが急に豹変したり、アニメーションシーンでキツイ描写を見せ付けられたりと
あまりにも唐突過ぎる展開に滅入りそうな要素は沢山ありましたが、
その中での登場キャラクターたちの織り成す心情の描写は秀逸でした。
そして、このゲームのウリである「CPZシステム」によって、特定の場面でその際に他のキャクラクターの視点に
切り替えることにより、その時点でそのキャラクターの心情を掴むことが出来る面白みがあった反面、
逆に知りたくない汚い部分も目の当たりにすることになるので複雑な気分でした。
その上、初回プレイ後に追加される他のキャラクターの視点パートでその内容が補完できる関係上、
CPZシステムがあまり活かされていなかったような印象を受けました。
一本道のストーリーを様々な視点で楽しむ点では画期的ですが、そのシナリオが力不足だったのが非常に残念。
用意されているED(総ED数8)の数々に関しても大抵が後味が悪く、どうも引っ掛かる部分が多かった点も疑問が残る。
あの結末を納得させるような説得力に富んだシナリオが欲しかったですね。
〜システム〜
評価:S(90点)
必要なものは揃ってます
主に、既読&未読スキップ、手放しモード(オートモード)、テキスト履歴表示(ホイール対応・音声再生あり)、ホイール文字送り。
右クリック・中クリック・ホーイルの三ヶ所にショートカットキーとして各種コンフィングも可能。
音楽・ボイス・効果音・ムービー・システム音の五段階調整可能。
テキストフォント変更可能。(サイズ変更不可)
プレイ中、不便だと思ったことはありませんでした。とても快適にプレイすることが出来ます。
強いて言えば、画面右下のショートカットボタンが小さすぎてクリックしにくい部分があったぐらい。
テキストのほうは、キャラクターが喋るごとに漫画の吹出しの如く表示されます。
かなり斬新的な試みでよいのですが、キャラクターごとの吹出しの色を設定可能にするとか、
文字の大きさを少々大きくしたり出来るようになれば更に良かったと思います。
吹出しの頻度は乱発までとは行かないので、見ていて疲れることはありませんでした。
総セーブ箇所数は30箇所+クイックセーブ枠で10箇所の計40箇所。
分岐が無いに等しいこのゲームには十分すぎますw
おまけ要素は「CG鑑賞」「BGM鑑賞」「回想」の3つで、回想はゲーム中に挿入された全部のムービーを鑑賞することが出来ます。
〜BGM音声〜
評価:S(90点)
ボーカル曲はなんと7曲!ボリューム満点。
ゲーム中に使用されるBGMは21曲、ボーカル曲に関しては7曲と気合が入ってます。
BGMはその場面に合った曲が採用されていて好感触です。
タイトルのとおり、海のように透き通った旋律の癒し系BGMが多いのが特徴。
夕凪・碧唯・美奈萌・理佐の4人にはテーマ曲が存在。(理沙を除く3名にはシナリオ後半用のアレンジバージョンもあり)
ボーカル曲はOPの「遥か〜空・風〜」や挿入歌「この夜に」をはじめ、
各キャラクターのEDスタッフロール用に1曲ずつ用意されてます。
「遥か〜空・風〜」はOPムービーで流れる神秘的な雰囲気を体現したような曲。
「この夜に」は夕凪がカラオケボックスで皆の前で歌を披露したときの曲。(夕凪役の海原エレナさんが歌っていたわけじゃないので、
少々違和感を感じたりw)
各種EDボーカル曲に関しては、そのキャラクターのテーマに合わせて作曲した感じの曲。
5曲すべて同じ歌手の人が歌っており、どれも中々の腕前です。
ただ、特定のEDの後のエンディング曲が合わないケースもありました。
(後ろめたさ満載なEDの後に明るい雰囲気の曲を持ってきても不自然ですねf(^^;))
逆に、幸一・夕凪ED後のED曲「追憶」はEDと素晴らしくマッチしてました。
とりあえず特に気に入った曲は
・♯2「憩」⇒名前が物語るように、聴いていて癒されます。
・♯14「麗しき虚構」⇒本編のえちぃシーンでも流れる曲で、聴いていて切なくなってくる曲。
・♯17「夕凪〜2nd Version〜」⇒ピアノ主体のメロディ。後半部分の夕凪のイメージぴったりな曲。
・♯21「扇情」⇒ダンス系のテンポの曲。このゲームの中で一番ノリが良い曲だと思われ。
・♯29「追憶」⇒このゲームのボーカル曲中最高峰。
さすが「株式会社ランティス」が絡んでいるだけあって、BGMの出来が良かったです。
声優にはお馴染み北都南さんをはじめ、海原エレナさん、成瀬未亜さんといった人気声優陣を起用。
流石に演技のほうは申し分ないです。
少々、北都南さんや成瀬未亜さんあたりが何役か掛け持ちしていたみたいで、ゲーム中に声がダブる感じがしましたがf(^^;)
〜グラフィック〜
評価:A(85点)
立ち絵の塗りは少々粗いも、イベントCGは良好!アニメーションも良く出来ています。
CGギャラリーにて表示されているCGは全部で167枚(差分は除く)
HCGに関してはアニメーションで採用されている分はすべて動いているところが圧巻でした。
イベントCGはとても丁寧に描かれており、とても綺麗に見えて良好です。
背景も細部にわたって手が加えられていたり、君望同様に雨の表現もリアルでした。
立ち絵の方は、アニメの絵みたいな画法で作られているせいか、とても浮いた風に見えてしまいます。
髪の毛の塗りが少々べっとりしているように見えたのも気になりました。
それでも、目パチ口パクが稼動しているので良しとしましょう。
でも、会話イベントCGにも目パチ口パクを採用して欲しかったかも・・・
このゲームのイベント各種に挿入されるアニメーションは
OPムービー含めて60種類+(Hシーンアニメーション13種類)合計73種類と豊富。
カットイン風味のアニメーションから少々長いムービーと多種多様。
イベントCGと比べるとやや質は下がりますが、かなり出来は良いと思います。
〜キャラクター〜
評価:A(80点)
キャラ萌えに関しては、物語の関係で微妙か?
でも、夕凪と潮里ちゃんで元を取ろう!
☆海取 幸一(うみとり こういち)
本作品の主人公。
幼い頃に両親を事故で亡くし、現在は祖父の源太郎と二人暮し。
性格は優柔不断でお人好し。押しにも弱いところもあるが、やはり心の優しい少年。
主人公の割には、影が少々薄かった気がしますし、軟弱すぎます。
☆緒方 夕凪(おがた ゆうなぎ)
(CV 海原エレナ)
本作品のメインヒロイン。
浜辺で倒れていたところを幸一に助けられた。
転校後は、幸一に関して関心を持つようになる。
銀髪のウエーブのかかった綺麗な髪に、どこか神秘的な容姿とは裏腹に
突然、大胆な行動に出たりして、幸一達をいつもハラハラさせている。
メインヒロインにしては、無口で無表情。かなり謎の多いキャラクター。
☆鰍山 碧唯(かじやま あおい)
(CV 乃島 架菜)
魚屋「魚善」の一人娘で、幸一とは古くからの幼なじみ。
幸一・美奈萌とは同じクラスメイトであり、幸一に対しては
背後からチョークスリーパーを喰らわせるなど、プロレス好きな一面を見せたりします。
明るい性格で曲がったことは大嫌い!思い立ったら即行動!
猫好きで、髪型も猫耳をモチーフしたような髪型になってますw
☆鮎川 美奈萌(あゆかわ みなも)
(CV 日向 裕羅)
媛川神社の跡取り娘。
幼少の頃に、幸一・碧唯と知り合う。
幸一をずっと想い慕っているが、それに全く気づかない鈍感な幸一。
素直に好意をアピールできる度胸を持ち合わせていない美奈萌自身。
結局、友達以上へ発展することも出来ずに悩んでいる模様。
幸一のことになると人が変わったようになり、嫉妬深い性格は難あり。
☆海原 夏海子(かいばら なみこ)
(CV 北都 南)
海星島で「海原診療所」を開業している女医さん。
幸一の学校でも非常勤で養護の教諭を勤めている。
清楚で柔和な性格の持ち主。
両親のいない幸一にとっては母親的存在。
幸一が夕凪を保護したときに、適切な手当てをしたのも夏海子本人である。
☆黒川 理佐(くろかわ りさ)
(CV 森 ヒロリ)
夕凪の父親の秘書。
夕凪の送迎時にしばしば顔を見せる。
口調や物腰からは鋭角的なイメージを感じさせる大人の女性。
胸の部分が露出過度で自己主張が激しい「魔乳」の持ち主でもある(爆)
☆一ノ瀬 潮里(いちのせ しおり)
無邪気な笑顔が魅力の小学生ぐらいの女の子。
幸一と夕凪とは学校の近くで知り合い、二人を兄姉のように慕っている。
いつも一緒の子犬のマーロンとはかけがいのない親友である。
管理人は夕凪同様「もう1人のヒロイン」と疑ってならない。
詳細は是非プレイして確かめて欲しい。(一応サブキャラ扱い)
〜以下サブキャラ〜
☆海取 源太郎(うみとり げんたろう)
幸一の祖父で漁師。
幸一の両親の死後、男で一つで幸一を育ててきた。
漁師の腕前は立派で、その姿に幸一も尊敬しているほどの海の漢。
反面、根っからの酒好きで、酒になると目が無くなり、
夏海子先生の心配をよそに、折を見ては幸一を「我孫子酒店」に御遣いさせては
グビグビ飲んでいる模様w
☆小野 小夜子(おの さよこ)
幸一のクラスのクラス委員。
碧唯とは宿命のライバル。
同じクラスで彼氏の二郎を尻に敷くなど、
思う存分姉御肌を発揮している。
☆二葉 彩(ふたば あや)
幸一のクラスメイト。
離島では珍しい今風の女の子。
いつも「やる気ゼロ」満載で、
「たりぃ」「だるー」の連呼ばかり。
碧唯の報告によると、部屋は魔界だとかw
☆町谷 二郎(まちや じろう)
幸一のクラスメイト。
外見は影の薄そうなキャラクターだが、
実はなかなか食えない男。
彼女に小夜子がいるが、亭主関白のようには行かないようだw
☆川間 泰造(かわま たいぞう)
幸一のクラスメイトだったような気がする・・・
影薄すぎます。本当に薄すぎます。
序盤、要らぬツッコミを入れていたと思えば、中盤以降雲隠れ。
学校に来ていたかどうかも不明。サボっていても出席扱いになりそうな予感。
☆五井 章仁(ごい あきひと)
幸一のクラスメイト
序盤は積極的に夕凪にアプローチしまくったお調子者。
クラスにはこういう奴が必ず1人いるので、言わばそのための存在。
男子生徒陣で筆頭を約束されたポストにいながら、中盤以降は飯田君にポストを譲り失脚w
☆飯田 健太郎(いいだ けんたろう)
幸一のクラスメイト
夕凪に最初に話しかけたキャラ。
唯一イベントCGがある男子生徒キャラ。
一見、軟派に見えるが実は信念がハッキリ持っており、
両親が教師ということで、公共の決まりごとにはきちんと遵守する。
クラスの女子の中に意中の娘がいるようだが・・・
とにかく、この飯田君にとても親近感を覚えますw
☆一ノ瀬 緑(いちのせ ゆかり)
潮里の母親。
いつもはおっとりとした性格だが、
愛娘の潮里のことになると豹変してしまうママさん。
☆佐川 宏(さがわ ひろし)
夕凪の父の助手。
夕凪を迎えに来るときに理沙と一緒に登場。
家族が居る身でありながら、怪しい性癖、そして「炉」というアビリティを有する困ったさん。
☆緒方 秀晶(おがた ひであき)
夕凪の父であり、医学博士の肩書きを持つ。
娘の夕凪に多大の愛情を注いでいる。
お父様と呼んでも良いですか?(爆)
AND MORE・・・
〜えちぃ〜
評価:B(70点)
アニメーション表現は良いものの、必然的なHシーンが少ないのが残念
物語の性質上、あまりHシーンに関しては心に残るものはありませんでした。
が、夕凪とのHは物語の進行上必然的かつ感動できる作りだったと思います。
Hシーンにはアニメーションを採用しており、結構バンバン動きますw
ただ、理佐とかの胸の大きいキャラの胸ゆれが少々崩れ気味で微妙に嫌でしたf(^^;)
そして、一番不要だったのが「おまけの番外編H」
本ルートのHシーンの鬼畜モード版なのですが、シチュエーションが変われど
アニメーションは本ルートの使いまわしで変化がありません。
しかも、優しくて良い人の代名詞である幸一が鬼畜キャラになってもぜんぜん説得力がありません。
新たな場面を追加するならともかく、現状のようだと全く必要じゃないと思います
むしろ、それに力を入れるならば「アナザーシナリオ」を追加して欲しかった(つД`)
声優さんの演技は良好でした。
〜最後に〜
シナリオ | C(55) |
システム | S(90) |
BGM | S(90) |
グラフィック | A(85) |
キャラクター | A(80) |
えちぃ | B(70) |
総合評価:70点 格付「GUクラス」
お気に入りキャラクター「緒方 夕凪」
久々のレビュー執筆だった為、かなり出来栄えが悪いレビューになりましたf(^^;)
今回は本当にシナリオ不足に泣かされましたが、次回の期待を込めて70点。(実質60点ぐらいです)
その中でも夕凪視点プレイ時はとても感動しました。
今後、サントラやドラマCDに展開するならば買って補完したいところです。
とりあえず、急転直下な展開、鬱系が好きな人はやってみてはどうでしょうか?
守りたい存在を見つけた少年は願った・・・少女が無事に帰って来る事を
愛する心を手に入れた少女は願った・・・自分の身を賭してでも愛する者を守りたい。
この二つの願いの先に待つものは果たして何であろうか?