焔のスペル 1
その言葉は熱い
内側で火がつく
まだ言えないから
そのうちに胸が焦げついてしまうのだろう・・・・
夕焼け空は、紫とオレンジのグラデーション。
直ぐに闇が星を連れて追ってくるだろう。
そ
んな景色を、眺めながら歩いていると平衡感覚がなくなって、自分の体が
風に吹かれた木の葉みたいに不安定になる。
だから、側にある腕にそっと触った。
「なんだ?」
らしくない事をしたとは瞬時に思っている。
マスタングの不思議顔から全身を遠ざけて走る。
「鋼のー?」
すぐに追いつかれるのに、すぐに捕まるのに、俺はこんなに小さいから・・
「早いな。追いつくのがやっとだ」
それでも、俺を追い越して止まったくせに。
息も切らしてないくせに。
「どうして、急に走る?」
両肩に置かれた手に少し力、痛いと口にしたら緩んだ。
「・・悪かった」
首を振る・・きっと理不尽なのは俺の方 ─
こんなに側にいて
こんなに胸が痛くて
こんなに不自由
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「なんでもない・・」
私の服に触ってすぐに手放して君は言う。
その赤い服は風みたいに素早くて追いつけないかもしれない。
だけど逃がしたくない。
欲しい気持ちを隠さずに・・
「・・・・」
肩を捕まえて理由を問うと、何か言いたそうに見上げてくるから抱き締めて
しまおうかと思う。
「痛っ・・」
弾かれたように目が覚めた。
小さな肩。
15歳というには何もかもがか細くて、その身体に宿る強さとは反する外見。
思わずした謝罪に、顔をしかめた君。
君に触れる私の手は震える。
俯いた君は泣きそうに見えた。
だけど、その真意は分らない。
だけど、自分の出した答えなら知っている。
君が私の欲をかきたてる
何もかも許す瞳。何もかも受け入れる瞳。だけどこれは我がままだ。
君の肩に触れる以外まだ何も出来る事がなくて・・
好きという言葉はこの胸で静かに燃えているばかりで・・・・
一条
─ next ─