焔のスペル   





その言葉は熱い

内側で火がつく

まだ言えないから

そのうちに胸が焦げついてしまうのだろう・・・・



夕焼け空は、紫とオレンジのグラデーション。

直ぐに闇が星を連れて追ってくるだろう。

んな景色を、眺めながら歩いていると平衡感覚がなくなって、自分の体が

風に吹かれた木の葉みたいに不安定になる。

だから、側にある腕にそっと触った。

「なんだ?」

らしくない事をしたとは瞬時に思っている。

マスタングの不思議顔から全身を遠ざけて走る。

「鋼のー?」

すぐに追いつかれるのに、すぐに捕まるのに、俺はこんなに小さいから・・

「早いな。追いつくのがやっとだ」

それでも、俺を追い越して止まったくせに。

息も切らしてないくせに。

「どうして、急に走る?」

両肩に置かれた手に少し力、痛いと口にしたら緩んだ。

「・・悪かった」

首を振る・・きっと理不尽なのは俺の方 ─


こんなに側にいて

こんなに胸が痛くて

こんなに不自由




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「なんでもない・・」

私の服に触ってすぐに手放して君は言う。

その赤い服は風みたいに素早くて追いつけないかもしれない。

だけど逃がしたくない。

欲しい気持ちを隠さずに・・

「・・・・」

肩を捕まえて理由を問うと、何か言いたそうに見上げてくるから抱き締めて

しまおうかと思う。

「痛っ・・」

弾かれたように目が覚めた。

小さな肩。

15歳というには何もかもがか細くて、その身体に宿る強さとは反する外見。

思わずした謝罪に、顔をしかめた君。


君に触れる私の手は震える。

俯いた君は泣きそうに見えた。

だけど、その真意は分らない。

だけど、自分の出した答えなら知っている。

君が私の欲をかきたてる

何もかも許す瞳。何もかも受け入れる瞳。だけどこれは我がままだ。

君の肩に触れる以外まだ何も出来る事がなくて・・

好きという言葉はこの胸で静かに燃えているばかりで・・・・





                                      一条



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