COLONEL  





透明ではない

暖かくもない

なのに

光のようだと思う

いつまでもずっと降り注いで ─




開け放していた窓から迷い込んできた鳥は黄色い羽。

天井を回り机の端に羽を休めた。

頬杖をついたまま見入る。風が吹き花瓶の花を揺らすと、驚いたように羽ばたいた。

出口を探しているのだろう、ただ狭い部屋の中を戸惑ったように行き交っていた。

やがて諦めた様に机に舞い戻る。

そっと、両手でつくった空間に包み込むと、鳥は、ぴくっと身体膨らませた。

柔らかな温かさが伝わってくる。

「おまえがいる場所ではないよ」

窓から逃がしてやる。

鳥の影は直ぐに視界から消えたが、伸ばしたままの手はそのまま青空に吸い込ま

れていきそうで、つい身を乗り出した。

靴の踵が床を蹴る音が一つ聞こえ、振り向くとエドワードがドアの前にいた。

いつもより顔色が悪く見えて近寄る。

退くかと思ったのに、逆に向かってくるから心の中で少し驚いた。


「 ─ 昨日よりは少し背でも伸びたかな?」

動揺を抑えて、壊れ物を扱うように柔らかく抱き締める。

まるで今し方、小鳥を生け捕りにしたように ─ だけど、鳥は逃がせてもエドワードは

逃がしたくないという想いが知らずに力をこめさせる。


「さっき ─ ・・」

ふと、エドワードは胸に押し付けていた顔を上げた。

「何処かに行ってしまうかと思った」

「窓から?」

小さい頭が頷く。

「ここに迷ってきた小鳥を放してやっただけだが」

笑って手の平を見せると、エドワードはその手首を掴み、自分の両頬に押し付けた。

「・・以外・・触るな ─ 」

「難しいなそれは」

そうして、まだ青ざめている額にキスすると、エドワードの腕が首の後ろに伸びた。

「思いのほか 我がままだな でも ─ 」

強く結んでいる唇が、言いかけては止める言葉が知りたい。

「もっと何でも言っていいよ」

エドワードは、

「何でもきいてあげるから」

頷いて、耳元に唇を寄せた。

─ 大佐がいるだけでいい ・ ・ ─



光のような言葉

君はなにも知らないで

たやすくそれをくれる

おしげもなく許してくれる


エドワードを抱き上げて部屋の鍵をかける。

この物語りには続きがある

それはこれから

ゆっくりと歩きながら語ろう

走り過ぎて息が切れないように

急ぎ過ぎて通り過ぎないように

その題名は探さなくてもいい

君の胸にある

私の胸にある

ただ一つの言葉に決まっているから ─       E   





                                



─ back ─





戻る