基礎知識Aでは、奇門遁甲の方位など使用される格局とよばれる天干、地干、八門、八神などの組み合わせについての解説をしていきます。『遁甲演義』を基本に解説していきます。その他原書からの引用もあると思います。なお、格局は原書、ならびに流派によって大変違うものです。ですからここに掲げている格局がすべてではないことをご了承ください。格局のほかにも日本でお馴染みの天干、地干による十干の剋旺もあります。また、今後基礎知識B、Cと続くかもしれません。

     
             
 

奇門吉格

奇門吉格とは、読んで字のごとく吉作用のある組み合わせのことです。
これら吉格を目的に合わせて利用するとよいと思います。代表的な吉格の解説をしてみます。あくまで基本的な解説です。

 
             
    ●天遁・・・天干 + 地干 + 生門

百事において吉とされています。天干が丙であることから財運関係には特に効果があるのではないでしょうか。

意外とこの天遁も原書により様々な説があります。最もポピュラーなのが上記ではないでしょうか。

原書の多くに、戦争、上書、献策、出行、商売など百事に吉と書かれてあります。

嫁入りや往来などに用いても大吉方とあります。


   
             
    ●地遁・・・天干 + 地干 + 開門

天遁同様百事において吉とされています。ただ、天干が乙なので乙奇の得意な

安定、結婚、和合などの方面に効果が顕著に現れると思います。

奇門遁甲を少しかじられている方にはこの格は違和感があると思います。

天干と地干の組み合わせが日奇入墓という凶の組み合わせであるからです。

通常の十干剋旺だと凶なのに開門が加わると大吉格となるのは何か妙な感じもします。

古書の解説では、乙己は、凶門であれば事必ず凶となるとあります。

吉凶は八門の状態によりけりということです。

ゆえに吉門が合わさればその凶事も花開く程の吉となると言えるのではないでしょうか・・・・・・。

勝手な解釈かもしれませんが・・・。汗


   
             
    ●人遁・・・天干 + 休門 + 八神太陰

人遁はよんで字のごとく人にかかわる象意の解説が目立ちます。

古来、賢人や猛将を求めるのによいとされていました。

その他にも、婚姻や和合、献策、交易、商売などによいとされています。

 

   
             
    〈ちょっと小耳に〉
この天遁、地遁、人遁は俗に三遁ともいわれています。天干を見れば、丙、乙、丁と三奇がそろっています。この組み合わせは三奇の吉意を強めるので三光の精英ともいわれています。三遁の時はおおよそ万事大吉とされます。ただし、これはあくまで基本です、三遁の組み合わせだから必ず大吉となるわけではありません。この他、神遁、龍遁、雲遁、風遁、鬼遁、虎遁などがあり、すべて合わせて九遁ともいいます。九遁の解説はおいおい追加していきます。
   
             
    ●飛鳥跌穴・・・天干 + 地干

この格は第二吉格ともされます。商売、就職、旅行など百事において吉とされます。

この格は吉卦の強い格です。しかし、飛鳥跌穴や青龍返首などの格には様々な説もあり、

効果は少ないとする向きもあります。

 

   
             
    ●青龍回首・・・天干 + 地干


この格は第一吉格とされます。商売、学業、旅行、百事において吉利を得るとされています。

古書中にはこの格が奇門遁甲最高の格とするところもあります。

しかし、私はこの格をあまり使用しません。この格にはさらに研究する余地があるようです・・・。

 

   
             
    ●三奇得使・・・三奇得使とは乙奇得使丁奇得使丙奇得使です。以下解説します

乙奇得使は天盤乙に甲戌、甲午が加わることをいいます。『遁甲演義』ではこの甲戌、甲午をそれぞれ
己、辛と解釈し乙己、乙辛を乙奇得使としています。


丁奇得使は天盤丁に甲辰、甲寅が加わることをいいます。甲辰、甲寅はそれぞれ
壬、癸と解釈され、丁壬、丁癸の組み合わせを乙奇得使としています。


丙奇得使は天盤丙に甲子、甲申が加わることをいいます。甲子、甲申はそれぞれ戊、庚と解釈され、
丙戊、丙庚の組み合わせを丙奇得使としています。

 

   
             
    〈ちょっと小耳に〉
この三奇得使は大変頭を悩ませる格の一つです。上記は『遁甲演義』をベースとしましたが、古書・原書により解釈は様々です。しかも、どれも一理ありますし、同時に矛盾もあります。上記も見てもらえればわかりますが、十干の剋旺でみれば凶となるのに三奇得使となるのは違和感ありありになってしまいます。ですからこの格は研究の余地を多く残しております。この他にも三奇を九宮に配置する説や直使との兼ねあい説、これらすべてを融合させる説など諸説紛紛です。私は『遁甲演義』の説を採らず別の説を採用していますが、これが結論ではないと思います。ここに挙げたのはあくまで『遁甲演義』をベースとしておりますのでそのように解説しています。ご了承ください。
   
             
    ●玉女守門・・・丁奇 + 天乙直使門

丁奇は玉女を表すともいわれるのでこの名が付いたとされます。

婚姻、恋愛、和合、宴会などに効果があがるものだと思います。

 

   
             
この他にも奇門吉格と呼ばれるものは、三詐、五假、天三門、地四戸、地私門、太冲天馬方、などの吉格がありますが、今後順を追って解説していきます。
     

奇門凶格

奇門凶格は、吉格とは対照的に凶意を伴う天干、地干、八門などの組み合わせをいいます。以下代表的な凶格の解説をします。

     
●青龍逃走・・・天干 + 地干

主客ともに傷つき、百事に凶とあります。乙は青龍を表します。辛は白虎を表します。

金剋木となり青龍が逃げる様をあらわすのでこのような格名がつきました。

商売や結婚、取引など大変損害を被るとされています。三奇得使のところを見るとわかると思いますが、

この組み合わせは実は三奇得使でもあるんです。私は、この組み合わせは青龍逃走の説を用いております。

こういうこまかいことは皆さんの経験に判断していただくしかないと思います。

 

         
    ●白虎猖狂・・・天干 + 地干

青龍逃走の逆バージョンです。主客両方とも傷つきます。

出兵に良くなく、結婚、修造にも凶とされています。災禍に見舞われやすくなります。


         
    ●朱雀入江・・・天干 + 地干

百事に凶とされます。丁は火に属し朱雀を意味します。一方癸は水です。

朱雀が水に入る様を表しています。火と水は相容れません。ゆえに凶格とされます。

音信が途絶えたり、訴訟や揉め事が起きたり、文書ごとで失敗したり、火難に遭ったりと大変よくありません。

 

         
    ●蛇夭矯・・・天干 + 地干

朱雀入江の逆バージョンですね。百事に不利とされています。文書ごとにもよくありません。

吉門があったといってもこの格の時は用いない方が無難でしょうね

 

         
    ●大格・・・天干 + 地干

これも百事に凶とあります。商売などは破財し、人も集まらず、出行にもよくないとされています。

交通事故の危険性もあり下手すると死にいたるとの解説もあります。造作等もよくありません。

 

         
    ●白入ケイ・・・天干 + 地干

凶格の多くが庚が混じってます。この格は、財を失い、盗賊・盗難の卦があります。


         
    ●ケイ入白・・・天干 + 地干

白入ケイの逆の組み合わせです。商売などもうまくいかず、失財し、盗難などの恐れもあります。

 

         
    ●五不遇時・・・時干 剋 日干

五時不遇などともいいます。これは時間的吉凶を述べたものです。

択吉の原則はまずは吉時を選ぶことにあります。古書によっては大凶とありますが、

三奇や三吉門があれば使用可としている人もいるみたいです。私個人としては避けたほうがよいと思います。

 

         
    ●伏吟・・・九星や八門がそれぞれ定位の位置にある

古書・原書は伏吟を最凶としています。確かに一般的に見て伏吟は不吉とされています。

ただ、三吉門や吉星の場合は使えないこともないと思います。

 

         
    ●反吟・・・九星や八門がそれぞれの定位の反対の宮にある

伏吟と同じく一般的に凶とされています。ただ、ある場合には吉とする看方もあります。

基本的には避ける必要があるでしょう。

 

         
    ●門迫・・・八門 剋 九宮

八門が九宮を剋することを門迫といいます。吉門の門迫のときは吉とならず、凶門の門迫の時は甚だ凶となります。

門迫の時はその方位は避けるほうが無難です。

 

         
    以上、簡単に凶格についてみてきました。この他にも、小格、歳格、月格、日格、時格、刑格、伏干格、飛干格、伏宮格、飛宮格、三奇入墓、六儀撃刑、といった凶格も存在します。もちろんこの他も書籍によりさまざま存在します。ここは基礎知識なので代表的なものだけを載せてみました。今後時間を追って追加していければ追加していきたいと思います。
         
     
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