奇門遁甲を勉強しているとかならず目にするのがこの金函玉鏡です。このコーナーでは金函玉鏡に焦点をあてて簡潔ながら解説していきたいと思います。浅学なので納得のいくものにはならないと思いますが、これを見て皆さんのご意見などいただければ幸いです。  
 
  ●金函玉鏡とは・・・●

金函玉鏡は、簡単に言えば日の方位の吉凶を見るものと言えましょう。いわゆる日盤です。

でもこちらの場合は、八門、九星、十二神などで判断するために俗に八門遁甲とか呼ばれます。

知らない人はこの八門遁甲と奇門遁甲をごっちゃにしてしまいますが、実際は別術としてとらえる必要があると思います。

通常の遁甲盤とくらべると作盤法は幾分簡単です。ただ、この作盤法も流派、古書により複数存在します。

私の知っているだけでも3つあるのでそれ以上まだあるのかもしれません。

八門と九星、十二神以外に、喜神方、財神方、十二黒黄道、天乙貴人、

截路空亡、五不遇時などといった判断要素も使います。日盤といえば、通常の奇門遁甲にも日盤があります。

奇門遁甲では局数を用いますので作盤はやや難しいですが、

金函玉鏡は日の干支により決まっていますのであらかじめ作盤しておけばその日の方位判断くらいは容易にできます。

また、金函玉鏡にも陰遁、陽遁とがありそれぞれ60ずつあるのでパターン的には120通りの盤が出来ます。

金函玉鏡が出てくる原書としては『遁甲演義』、『古今図書集成 奇門遁甲』、『五彩活盤 奇門遁甲大全』、

『奇門遁甲全書』、『諏吉便覧』などなどがあります。興味のある方は購入されて参照してみるとよいと思います。

また、国内ではあまりこの金函玉鏡は浸透していないようです。

一部の研究家、遁甲家たちは熟知しているようですが、一般的にはまだまだ知られていないのではないでしょうか。

国内の金函玉鏡に関する書籍で読めるものは林巨征先生の『秘占「金函玉鏡」方位術』という書があります。

また先生はこの他にも『八門遁甲方位術』という書も出されておりこちらにも金函玉鏡の解説があります。

口語で読めるのはこの二書くらいだと思います。古書には、柄沢照覚先生の『八門遁甲秘伝』という書があります。

当然古書店でしか手に入らないと思います。こちらの金函玉鏡は簡単な解説にとどまっています。

以上のように書籍数からみても国内では圧倒的にマイノリティの様相を持っています。

それでは、以下金函玉鏡を『古今図書集成 金函玉鏡』を基に簡潔に見ていきましょう。

 

 
           
  ●金函玉鏡の要素●


 (1)八門

八門は通常の奇門遁甲と変わりなく、杜門、景門、死門、驚門、開門、休門、生門、傷門の八門です。象意も通常の八門と大差ないと思います。ですから、奇門遁甲の八門を参照してください。


 (2)九星

こちらの九星は大きく違います。太乙星、攝堤星、軒轅星、招搖星、天符星、青龍星、咸池星、太陰星、天乙星の九つを金函玉鏡の九星といいます。このなかで太乙星、青龍星、太陰星、天乙星を四吉星といい一般的に吉とされます。また、軒轅星、招搖星は吉凶半々とされます。のこりは凶星です。それぞれの星は象意を持っております。詳しい解説は上記一般書にも書かれてありますのでそちらを参照ください。


 (3)十二神

十二神とは十二支に配置されるもので参照程度にしかみない遁甲家もいます。五符、天曹、地符、風雲、唐符、國印の吉神と風伯、雨師、雷公、天關、地鎖、天賊の凶神とがあります。配置法としては、五符を基準に配置していきます。これは日干によって位置が決められているので簡単に配置できます。


 (4)喜神方

『古今図書集成 奇門遁甲』には喜神の解説は見受けられないように見えますが台湾や大陸書の金函玉鏡の本にはみられるので触れておきます。よろこび事の多い方位とされています。喜神方を割り出す方法は簡単というかこれも日干によって決まっているのでわかりやすいです。日干が甲・己の時は東北、乙・庚の時は北西、丙・辛の時は南西、丁・壬の時は南、戊・癸の時は東南の各方位に喜神が巡るとされています。


 (5)十二黒黄道

金函玉鏡は日の方位の吉凶を論ずるだけでなく、時間の吉凶も論じています。つまり、金函玉鏡を使用する際は日の吉方と吉時を選ぶ必要があるということです。その吉時を知るすべがこの十二黒黄道です。青龍黄道、明堂黄堂、天刑黒道、朱雀黒道、金匱黄道、天徳黄道、白虎黒道、玉堂黄道、天牢黒道、玄武黒道、司令黄道、勾陳黒道の十二種あります。黄道が吉時となり、黒道が凶時となります。これらは青龍起点として日支を基に配置していきます。例えば、子、午の日ならば青龍は申時にあり以下酉時明堂、戌時天刑・・・といった具合に配置していきます。


 (6)天乙貴人

これも時間の吉凶を推すもので、天乙貴人が入っている時間は大吉時とされています。日干によりその配置の仕方は決まっています。金函玉鏡って作盤の多くが日干支を基にしているのでパターンさえおさえれば比較的楽な作盤法です。


 (7)截路空亡

引き続き時間の吉凶を見るもので、こちらは天乙貴人とは対照的に大凶の時間帯を指します。はい、これもまた日干により定まっております。笑


 (8)五不遇時

これは説明不要とは存じますが、時干が日干を剋する時間帯をいいます。これもパターンです。なんか数学チックですね。(^_^)
この時間帯に動き始めたり物事をスタートさせるのはよくないとされています。奇門遁甲のやつと同じです。甲日は庚午時が五不遇時になります。以下、乙日は辛巳時、丙日は壬辰時、丁日は癸卯時、戊日は甲寅時、己日は乙丑時と乙亥時、庚日は丙子時と丙戌時、辛日は丁酉時、壬日は戊申時、癸日は己未時となります。

 

 
           
  ●作盤法●

作盤法はいたって簡単ですが、詳細を述べるとやはり図表とかが必要になるので、ここでは簡単に述べるにとどまります。

金函玉鏡は日の干支と陰遁陽遁の別により作盤をします。八門の配置は休門を基準とします。

この休門の基準となる位置は干支と陰・陽により決まっておりそれほど流派による大差はありません。

例えば陽遁甲子日であれば休門は坎宮が定位置となります。実はこの休門は三日でその定位置を変えます。

その変化の方法は九宮順に飛泊しています。陽遁なら順に陰遁なら逆に飛泊しています。

ま、こんなこと考えるより一般書に載っている一覧表などを見たほうが早いとは思います。笑

休門の位置が決まればあとは生門、傷門、杜門・・・・といったように配置していきます。

この配置法は流派により異なります。各人でご研究ください。

あと九星ですが、これは気学の九星と同じように飛泊させます。これも日干支によって中宮する九星が決まっています。

これは陰陽関係なく同じ定位置になります。たとえば陽遁甲子であれば中宮する九星は咸池星になります。

飛泊法は陰陽により順逆の違いが生じます。以上が簡単な作盤法です。

 

 
           
  ●吉凶判断● 

金函玉鏡の吉凶の判断について述べます。金函玉鏡の吉方位判断は比較的簡単です。

基本的に八門を重視します。八門は、開門、休門、生門の三吉門を使用するとよいでしょう。

もちろん開運に用いるのであれば用途別に八門を選ぶ必要もありますし、

詳しく見るには五行まで判断せねばならないと思います。

ですから、伏吟や反吟などもある程度考慮しなくてはいけないと思います。次に九星です。

九星はすでに解説済みの吉星をしようします。これも目的別に合わせる方が良いでしょう。

ですから基本は三吉門と四吉星が逢った方位を吉方位とします。

もちろん詳細な判定はする必要があるんでしょうがここは基本を述べるにとどまります。

その他喜神などの方位があればなおよいとされます。もちろん十二神も忘れてはいけません。

ただ幾ら奇門遁甲よりも要素が少ないとはいえなかなかこれらすべてが吉となるのは難しいので

八門と九星の吉がそろえば一応使えると思います。そして金函玉鏡で忘れてならないのが吉時の判定です。

黄道時を選択しなくてはなりません。太乙貴人等があれば尚よいと思います。

もちろん五不遇時は避けるべきでしょう。では、その具体的使用方法ですが、

私は台湾や大陸の師に弟子入りしているわけではないので私の口から詳細を述べることはできません。

先述した国内書に使用方法が載っているのでまずはそれを利用されてみるのがいいと思います。

 

 
           
  ●金函玉鏡についての個人的見解●

以上金函玉鏡のさわりをさらぁーっと見てきました。

本当はもっと詳しく書きたかったのですがそうなると図表など追加せねばならなくなり

大変膨大な時間を要するので(ようするに面倒くさい 笑)このように簡潔に書いてしまいました。

金函玉鏡も作盤等簡単ではありますが、単一ではなく流派、古書、原書により違う点もあります。

ですからどれが効果あるのかは真剣に研究していかなくてはなりません。

また、台湾書、大陸書、原書もそれほど解説には大差はありません。

むしろ国内書の方が開運法まで述べてあり書籍のつくりとして丁寧であると思います。

大陸の劉広斌奇門遁甲大師著の『遁甲金函玉』も手元にありますが

後半部に少し事例が載っている程度であとは情報の羅列にすぎません。

当然、大陸や台湾の遁甲書は口伝の部分が多くを占めるらしいのでそういう内容なのでしょうけれど・・・。

また、大陸では日盤を解説している書籍が圧倒的に少ないです。

日盤などは異流派とする向きもあります。

そのなかでも劉広斌師をはじめとして幾人か金函玉鏡を述べてある方もおられます。

ちなみにこの劉広斌師は、かの劉伯温公の子孫であるとされています。

批判も見受けられますが中国大陸でもかなり著名高名な方です。

この他にも、張光大師、張志春大師などの著名な奇門遁甲老師がおられます。

おっと話がずれる前に(いつも脱線が多いです 笑)、私は今まで金函玉鏡は参考程度にしか看ていませんでした。

今までの方位実験ならびに実践の記録には付けるのですが事前にチェックするようなことはしていませんでした。

ただ、原書遁甲を研究するにあたって原書に載っている以上無視はできないのではとも思っています。

金函玉鏡といえば、これを風水に応用している方もおられます。

同じ方位を論じてはいますが、動の方位と静の方位使用では概念が違います。

こういうのを見るととても頭が悩みます。

金函玉鏡の国内書も出ていますのでこれからどんどん金函玉鏡を実践されるかたもおられると思います。

そういう方ともどんどん意見交換して本当に効果のあがるものを研究していきましょう。

なお、金函玉鏡についても新たな情報、文献等入りましたら追ってこのHPにて追加報告します。

 

 
           
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