メーラルアン村に不時着した日本軍機1

 メーラルアン小学校はクンユアムの日本軍部隊の休憩地だった。たとえばメーサリアンに行く時、またチェンマイに行
く時やターク県などに行くときに度々使用された。日本軍部隊が来るという予定の日は、事前に連絡されて学校は休み
となった。昭和18年の6月〜7月のことだった。この日の午後、メーラルアン小学校の生徒たちはいつものように教室で
授業を受けていた。この時、飛行機の爆音が聞こえてきたが、それは益々大きな音となってきた。みんな窓から顔を出
して空を見た。ビルマから飛行機がこちらに向かってくるぞと生徒たちは大騒ぎになった。先生は生徒たちに、急いで
外に掘った穴に隠れるようにと声を上げて指導した。みんな夢中で逃げて隠れた。
 
 少したって空を見上げた。同じ型の飛行機が三機並んで飛んでいた。真ん中の機体からは黒い煙が出ていた。この
仲間を助けるように両脇にくっついたように飛んでいた。



 音が出たり消えたりして、エンジンが故障したようだった。フォイパーファーは学校の近くの田んぼが広がる地域だ
が、ここに不時着しようとしていた。脇の二機がゆっくりと離れ、故障した飛行機はそのまま着陸した。地面がでこぼこ
だった為に機体はごろんごろんと転がった。何回か転がった後に小川の手前で止まった。村人と先生、生徒は我を先
と走って見に行った。パイロットは前席と後席の二人いた。この時二機の飛行機は上空を旋回していた。一人パイロッ
トが出てきて日本の国旗を村人たちに向かって振ってきた。助けてくださいといった感じだった。村人は怖がって、離れ
て見ているだけだった。パイロットは飛行機に戻り、今度はタイ国旗を振りはじめた。警察と村人はすぐにパイロットに
駆け寄った。
 
 パイロットの二人とも大きな怪我ではなかった。また言葉は全く通じなかった。パイロットは田んぼの休憩小屋の屋根
の葉を取り、それを並べて地面に大きく字を書いた。上空の仲間に無事を知らせたようだった。二機はチェンマイ方面
に飛び去って行った。その後、村人は二人をメーラルアンの診療所につれて行った。いま診療所はワットシーラーパー
近くにある。