天皇陛下の終戦の発表と日本兵の自決4

 太陽のような赤い色の旗だった。最後の国旗を入れて土をかけて埋葬した。皆は整列をして黙祷をした。話が終わってその後、ラッパが鳴り響いた。そして弾が無くなるまで空に向けて銃を撃った。その後敬礼をして式は終わった。この亡くなった将校の墓には名前とその階級が書いてある。その後、ここを通る兵隊は手を合わせて冥福を祈った。花を飾る人もいた。今でもこの墓は現存している。



 なぜに日本兵は「セップク」や、銃で頭を撃つ、また服毒自殺をするのかという事をタイ人は知りたいと思っている。これは、日本軍が「ブシドウ」の軍だったからだ。武士道とは勇気ある人の戦いの道のことだ。国の為ならば自分の命は捨てても良いという考え方だった。武士道は神道の影響を受けて成立した。これには三つの守るべきものがある。一つは自分の家族、一つは国、一つは天皇陛下。この三つの中で一番大切なものは天皇陛下だった。

 「ハラキリ」と切腹は同じ意味で、刀で自分の腹を切るという作法だ。この作法は日本の昔からあり、いろいろな場面で行われた。戦争での自殺はその他、銃で頭を撃つ、服毒する、崖から飛び降りる等あったが、平時の自殺とはまったく違った深い意味がある。自分の責任の取り方だった。武士道の軍の兵隊は先の三つの為に責任を取った。戦争に負けて、天皇陛下に申し訳ないということで自分の責任を取った。これは、責任を持った人間のけじめのある行為であった。

亡くなられたすべての人の魂が空高く天国に行きますように

(原文タイ語日本語訳文責 武田浩一)

この「天皇陛下の終戦の発表と日本兵の自決」は、POL.LT.COL.CHIEDCHAI CHOMTAWAT氏が長年の聞き取り調査等により纏め上げた労作であり実話です。