武蔵随想
漂流巌流島


迂闊にも知らなかった。
『第二回 ミステリーズ!新人賞』(東京創元社 2005年)の受賞作品が、高井忍『漂流巌流島』だった。
「宮本武蔵は冤罪だ!驚愕の推理が炸裂する」と紹介されている。
この作品は、巌流が佐々木小次郎、津田小次郎や上田宗入の名で伝わっていることに合理的解決を求めたものである。
選評者のコメントが載っていて、綾辻行人は2ヶ月経ってもさめないほど興奮し、有栖川有栖はよくぞこのような新説を考え付いたものだ、と感心したようだ。
しかし、加納朋子はマイナス評価で、その理由は、そもそも日本史が苦手で、そのうえ小倉出身だから巌流島近辺はよく知っていて、
島へ渡る手段や潮の流れ云々など特に新発見ではないのでは、と評価していた。
エンターテイメント性よりも巌流島決闘の新説で評価されたということか。
偶然だろうか、加納朋子は小倉出身で巌流島は地元であった。
綾辻行人が京都大学出身で、有栖川有栖が同志社大学の出身で、著者の高井忍は立命館大学の出身だから
一乗寺下り松は大学の近くにある。一乗寺下り松の新説だったら評価が逆転していたのだろうか。
少し言わせてもらうと。。。
作中の推理で、武蔵が決闘したのが十代とするのはいくら何でも早すぎる、と考えているが、それは早計でしょ。
あの男は、十三歳からやっているのだ。

