武蔵随想
武州傳来記(改)


「宮本武蔵研究第二集 武州傳来記」(福田正秀著)が出版された。
これは、簡単にいえば、「丹治峰均筆記」(武州傳来記のこと)を扱った本である。
「二天記」は改竄が多く信憑性にかけるので、「丹治峰均筆記」こそ武蔵の正伝である、とした内容になっている。
通説では、「丹治峰均筆記(武州傳来記)」は説話集のようなもので史料の価値は低いとされてきた。
「丹治峰均筆記」は武蔵に近いものが関連せず、しかも取材源が明らかでなかったからだ。
そして、「顕彰会本」(1909年刊)が「二天記」を中心に武蔵伝を語り、後続の研究本がそれに倣ったため、
池辺義象たちの本意はともかく、結果として「丹治峰均筆記(武州傳来記)」は隅に追いやられた。
そして、この状態は100年間続いた。
しかし、「宮本武蔵研究第二集 武州傳来記」では「二天記」は「武公伝」を改竄した、
あるいは創作という表現が多いが、この考えはどうであろうか。
知らなければ書かなければよいのだ。現に武蔵最初の仕合の有馬喜兵衛のことは詳しく書かれていない。
小倉碑文に書かれている記念すべき最初の試合であるにもかかわらず、だ。
「宮本武蔵研究第二集 武州傳来記」で、「丹治峰均筆記(武州傳来記)」が見直されることを期待する。

