ひと夏の恋人


地球温暖化 異常気象? 

9月なのに!

大木の樹液を 吸いながら

狂ったように鳴く セミ 

何が そんなに切なく 苦しいのか

夏の残り火を 激しく燃やしている


身体が発するまま 全力疾走で鳴き

最後に太く短く チィ〜っと! 一声残し

次の枝に 飛び移る 一休みした後

再び 狂ったように鳴き 身体を震わせ

中枢の樹脂を吸いあげる 


君がどんなに 体液を吸い取っても

太く大きい 僕の根っこは 

地中の奥深く 侵入するだけ・・・ 

思う存分 吸ってくれ   

そして蝶のように 優雅に舞えばいい 


激しくて 求める欲望が

自然の摂理なら それはそれ

思う存分 吸い取ってくれ

大きく繰り返す 歓びのうねりが 遠ざかると

救急車のサイレンが大きく迫ってきて

静かに停まった!


        2009.09.15日照 高













   ※大木の写真はオーストラリアの原生林で
   写したものです   
   大蛇のような、つるが 全身に巻きつき
   その上、養分も全て吸い取られて枯死した
   巨木もあった。その木の芯は煙突のように
   上部まで総て空洞になって天が見えていた。
   死んでも良い、1度は完全に抜き取られて
   みたい?そのまま救急車でも良いから・・・