森岡正博さんの「脳死・臓器移植」専用掲示板過去ログハウス 2002年06月19日〜06月27日

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死後の精子 投稿者:のり  投稿日: 6月27日(木)19時44分27秒

「亡くなった男性が、生前に精子の利用に明示的に同意してなかった場合、
生殖医療に使って良いのだろうか?」
という問題があると思います。
誰かそんなこと言ってるのかなあ。

血統主義? 投稿者:一見さん  投稿日: 6月26日(水)11時36分34秒

牛じゃあるまいし・・・ご本人が灰になってから、その人の精子を使って子供を作るというのは、私は良いことだとは思わない。

ただ、わからないのは・・・遺産などで争議にでもなっていないかぎり
裁判なんてやらなければ、よいのにとも思ってしまう。

戸籍の問題であれば、書類上父親不詳であっても、それほど大きな
問題にはならない。たしかに、不利益はあるでしょうが・・・。

遺産の分配についてなら・・・遺伝的な父親が死亡した時には、この世のどこにも
存在しなかったわけであるから、民法の規程を引用するまでもなく、
妻には相続権があっても、"この子供に"法定の相続権がないことは、嫡出子・非嫡出子の概念と関係なく、当然のことだと考えられる。

だけど、法定相続人でなくたって、遺言だとか契約・委任といった形で、
財産を分与することは可能であるし、遺産を受け取ることもできる。

この裁判・・・背景について、もう少し注目したい。


りんごさん 投稿者:森岡正博  投稿日: 6月26日(水)07時34分27秒

レポートありがとうございました。様子がよく分かりました。

重症新生児の看取りの医療 投稿者:てるてる  投稿日: 6月25日(火)21時28分47秒

非常に示唆的な報告だったのではないでしょうか。
脳死の医療や、安楽死の考え方にとって。

りんごさん 投稿者:てるてる  投稿日: 6月25日(火)21時23分13秒

神戸のくわしいレポート、ありがとうございます。
やはり本職の方が学会に行って報告すると、ポイントを突いた詳細な報告になって、読み応えがあります。

こどもの病死後の解剖について、親が反対するのは、私は、親としての責任を果たさない行為だと思っています。
乳幼児突然死症候群かどうかわからなくて訴訟になる場合でさえ、親が病理解剖を拒否した例がある。そんなんでどうして真相の解明ができるのか。
もっとも、私の母親なんかは、病理解剖にも献体にも臓器提供にも反対しています。
じゃあ、もし、私が母親に対して、逆の立場になったらどうするのか。
そりゃ、本人が嫌悪感を表明していたのだから、検視解剖(そんなのが必要にならないでほしいが)以外は、拒否しますが。

夫の死後の人工授精について、読売新聞、産経新聞の記事が、妻に同情的なのは、これが、伝統的な貞淑な妻のイメージに合ったできごとだからなのでしょうか。
生殖医療の進歩が、非民主的な、民法の家族法の改正を迫るものとなるならば、肯定的したいと思います。
しかし、伝統的なジェンダー差別を助長するものとなるならば、否定したい。
とはいうものの、ひとりひとりの女性の気持ちには、一見、伝統的なジェンダー差別に則っているように見えるものも、伝統的な差別を否定するものも、ともにあり、そのどちらを、他人から押し付けられても苦しむばかりか、自分で選び取ってさえ、苦しむ場合がある…… ので、判断はむずかしい、という、いつもの、決まり文句に落ち着いてしまうのでした。


re:夫の生前に採取した精子で出産 投稿者:りんご  投稿日: 6月25日(火)14時39分13秒

既成事実が作られたって感じです。
人工授精をした医師たちは、大人たちの望みだけで、生まれてくる子どものことは何も考えないで、実施してしまったのでしょうか。
脳死脳蘇生学会での議論の席で、国立がんセンターでは、化学療法前の精子を採取することがあるが、その患者が亡くなった場合は破棄することになっている(あいまいモード)という話がありました。

http://www.sankei.co.jp/news/morning/25pol001.htm
http://www.sankei.co.jp/news/morning/25iti001.htm


りんごレポート神戸・学会編(2) 投稿者:りんご  投稿日: 6月25日(火)13時53分15秒

<感想>
はじめての学会だったので、どんな考えの人が参加しているのか非常に未知。
知っている人は、杉本先生しかいなかったし(^^;。
そうそう、あと、近所の病院の先生も見かけましたけど。
質疑応答の時間は、たっぷりあったのですが、りんごは、このシンポ全体からは、しっくりいくものが得られなかった。

このシンポが、何を伝えたいのか、あらためて抄録をみると、
>本シンポジウムでは、子どもの死を受け入れるのが難しい時代にあって、救急の現場に今何が求められているのかを探り、亡くなる子どもたちとその家族にとってより良い医療とは何か考えたい
とあった。

でも、はっきりいって盛り上がらなかったのです。
これは、会場の聴き手の関心の問題なのかしらん?
りんご的には、このてのシンポには欠かせない医療職以外の、森岡先生のような生命学や生命倫理の視点をもった人文社会系、子どもの人権を守る弁護士などが、今回はいないのが第一点。
子どもの立場のシンポジストがいてもよかったかも。
それに、救急医療の現場では、突然、不慮の事故や災害に巻き込まれた場合や、この世に生まれる前に亡くなってしまう死産なども起こりうるなあと思いました。
しかしながら、「NICUチームで取り組むファミリーケア 家族のはじまりを支える医療」(メディカ出版)を読むと、ファミリーケアの視点で、心理士やソーシャルワーカーも含め、関わっている病院もあるようなので、足りないと思ったところは、自分で補完しなくては、などと思い、さっそく、会場で、この本に紹介されていた長野県立こども病院の先生を見つけてお話していたのでした(行動化するりんご)。

ところで、りんごは、「医療と子どもの人権(子どもの人権双書4)」(明石書店)という本を探していたのだけど、会場には置いてなかった。
でも、地元の図書館に予約していたので、借りにいこう思う。

そして、大宮でのシンポに期待をふくらませ、関空から羽田へ飛んだのでした。

以上、杉本先生の発言を中心にまとめたりんごレポートですけど、かなりバイアスかかってますね(笑)。
りんごレポート大宮編へ、つづく。
http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_contents.cgi/3c4ecaa827f300101e08?aid=p-morioka00730&bibid=01583685&volno=0000&cntfg=1


りんごレポート神戸・学会編(1) 投稿者:りんご  投稿日: 6月25日(火)13時51分03秒

第16回日本小児救急医学会、シンポジウム「子どもの死とバイオエシックス」を聴く。

トップバッターは、スギケン先生こと杉本健郎先生(関西医科学附属男山病院)で、詳しい抄録とシンポの感想はスギケン先生のHPで公開されています。
http://web.kamogawa.ne.jp/%7Esugimoto/index.htm
杉本先生は、息子さんが交通事故で脳死状態になり、心臓停止後に腎臓を提供するという体験を患者ファミリーの視点で語られました。
説明なく脳波の検査を繰り返す、シーツの血痕や顔の汚れに気づかない、治療方法への意見をもの申すことの難しさ、入院して24時間しかたってないのに「人工呼吸器、どうしますか?」という質問をされ、心身の極限状態にある家族に判断を求められて困ったことなど、家族の視点だからこそ見える医療者の姿、この医療者へのいらだちが感じられました。また、移植医の手術中の私語や態度にもふれていました。
腎臓提供を決意した理由は、「灰になるのはいや! 親の勝手な判断、悲しみを和らげる、子どもの最後の社会貢献を」だったそうです。

そして、ファミリーの視点から医療者に望むこととして
1、十分な説明のなく、治療側の考えを押し付けない
2、別れの場と時間を死に逝く側の視点で
3、ファミリーの意見が医療者側に伝えられるように、公的な立場のサイコセラピスト、コーディネーターの必要性
をあげられました。

さらに、子ども自身の自己決定をどのように保証していくのか、親が自分たちの価値判断で治療内容を変更してよいのかなどを問題提起され、子どもの自己決定を考えるにあたっては、自己決定可能な年齢の検討、小児のドナーカード、小児のコーディネーター、死の教育などの必要性があり、小児科医の学会でも取り組んでいきたいとのこと。

りんごが杉本先生のお話を聴くのは、昨年5月の小児フォーラム以来、2回目で、先生のHPも拝見しているせいか、言いたいことがよくわかりました。
スライドの色使いも、シンプルでOK!
りんご自身は、先生のお話に引き込まれていきました。

* 船戸正久先生(淀川キリスト教病院)は、重症新生児の看取りの医療と題して、子どもの「最善の利益」に基づいた治療選択として、生命予後が不良な子どもに対する「より良い医療の選択」と倫理的許容範囲の決定」のために、医療チームで症例検討をし、さらに、倫理委員会での検討、顧問弁護士の査察を経て承認された「倫理的、医学的意思決定のガイドライン」を紹介。
ClassA「積極的医療」、ClassB「制限的医療」、ClassC「緩和的医療」、ClassD「看取りの医療」と定義されていて、実際に、家族に囲まれお母さんに抱っこされながら亡くなる場面のスライドが印象的でした。
くわしくは、ネオネイタルケ2月号「悲しみを乗り越える赤ちゃんの死と家族のケア」(メディカ出版)にも掲載されています。

*箕面嵜至宏先生(川口市立医療センター) は、「乳児を亡くした両親へのアプローチ」として、亡くなった原因究明と診断のために剖検(解剖)をしているというお話でした。これ以上、傷つけないで、と思わなくもないのですが、承諾された場合は、死因を調べて、その結果を家族に説明しているそうです。
もっと、何かお話されたかもしれませんが、記憶に残っていませんです。すみません。

*坂下裕子さん(インフルエンザ脳炎の会 小さないのち)は、子どもを亡くした家族の立場でお話になりました。りんごの関心は、阪大の知人からもらった「グリーフケア研究会、第一回:病気で子供を亡くした遺族のために」の案内の問い合わせが「坂下」となっていたもので、もしかして、この坂下さんなのかなということでした。発言の中では、研究会の紹介がなかったので、坂下さんに確認したところ、研究会の主催者とのことでしたー。世間は狭いものですね。

ディスカッションで、座長の阪井裕一先生(国立成育医療センター)は、「子どもの死」に焦点をあてた議論は、はじめての企画なのだということを強調されていました。
杉本先生は、小児科医に何ができるかということで、家族も大事だが、子ども自身の権利や自己決定を保証するために、小児科学会などで、「死」についてどう考えるか、医師自身の意識の向上を図り、いのちの教育についても、小児科医が関わっていく必要があると述べられていました。
最後に、脳死臓器移植にふれて、NO!といわなければ、家族の承諾だけでOKとなってしまうことにどう意見を持つのか、という問題提起をされました。
なるほどですう。


夫の生前に採取した精子で出産 投稿者:てるてる  投稿日: 6月25日(火)12時59分27秒

先の脳死の例ではなく、別の事例で、夫の生前に採取した精子で、夫の病死後、
妻が人工授精し、出産したというニュースです。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20020625-00000004-yom-soci

夫の生前の精子で出産

 西日本在住の30歳代の女性が、医療機関に凍結保存していた夫の精子で、夫が病死した後に人工授精し、昨年5月に男児を出産していたことがわかった。夫の生前の精子を使って出産した事例は海外にはあるが、国内で判明したのは初めて。

 夫の死亡に伴い夫婦関係が消滅したため、男児は法律上、夫の子として認められていない。

 女性が出産した西日本の病院の医師によると、女性は西日本の別の医院で人工授精を受けた後、昨年2月、出産準備のためにこの病院を訪れた。

 現在の日本産科婦人科学会のガイドラインによると、夫以外の第三者の凍結精子を死後に使うことは制限されており、この医師は「夫婦の場合でもこうしたケースでは疑問があるかもしれない」と説明した。

 しかし、すでに女性が妊娠26週に入っていたうえ、出産を強く希望したことから、そのまま診療を継続し、女性は5月、無事に男児を出産した。

 女性は、今年4月になって同病院を再び訪れ、医師に対し、父親の死後認知を求める申し立てを裁判所に行う意向を説明し、提訴に必要な書類を受け取っていったという。

 居住地の市役所などによると、女性は当初、この市役所に「夫婦の嫡出子」として出生届を提出した。しかし、民法上、夫が死亡し、夫婦関係が消滅して300日以上経過してからの出生は、夫の嫡出子として認めていないことなどから、市役所は所管法務局に相談、昨年9月に「不受理」の回答があった。

 このため、女性は11月、生まれた子を夫婦の嫡出子とするよう、地元の家庭裁判所に不服申し立てをした。しかし、不受理との判断は変わらず、上級審を経て、今年5月には最高裁も同様の判断を最終的に下したため、女性は改めて父親が空欄のまま出生届を提出したという。(読売新聞)


生まれたこどもの出生届では、父親の欄は空欄になりました。
これは、現在の民法では、夫の死後300日以上たってから生まれたこどもは、
夫の嫡出子とは認められないからです。

現在の民法で、嫡出と非嫡出との差別があることには反対ですが、
それにしても、一人の男性が死亡しても、生前に精子を採取しておけば、
こどもを生むことができる、ということは、希望なのか、どうなのか。
男性の意思ならばよいとするべきか。
だって、男性本人の許可なく勝手に誰かにこどもを生まれても困る……
本人は既に死んでいるから困らないか?
また混乱してきました。


日本で卵子バンク 投稿者:てるてる  投稿日: 6月25日(火)09時23分07秒

長野県の根津医師が、卵子バンクを設立し、インターネットで希望者を募るという記事が、
品の毎日新聞と毎日新聞に載ったそうです。
http://www.shinmai.co.jp/news/2002/06/24/008.htm
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20020624-00000062-mai-soci

イタリアで死者の精子・卵子の提供を禁止 投稿者:てるてる  投稿日: 6月25日(火)09時20分03秒

イタリアで、生殖医療を規制する法案が可決されたそうです。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20020624-00000045-mai-int

<生殖医療法>人工授精などに厳しい規制 伊下院が可決

 中道右派が多数を占めるイタリア下院でこのほど、人工授精や体外受精に厳しい枠をはめる包括的な生殖医療法案が可決され、野党は「時代逆行の法案」と批判するなど波紋を広げている。

 法案では、不妊の夫婦または同居する不妊の男女に限り人工授精を認め、未婚の母には認めていない。先進国で多く実施されている第三者の精子提供を禁止している点が特徴。死者の卵子や精子を凍結保存したり使用することも認めないという厳しい基準を盛り込んでいる。

 さらに、人工授精に反対する医者と看護婦が協力を拒否できる「拒否権」を定め、人のクローン技術や受精卵の実験、第三者に子供を産んでもらう代理母も禁止している。野党の一部には国民投票で審判を仰ぐべきだとの主張も出ている。

 イタリアでは、同国の医師アンティノリ氏が4月、クローン技術によるヒトの妊娠を発表。63歳の女性が、第三者が提供した卵子を使って体外受精させて出産したり、死亡した女性の体外受精卵を使って夫の妹が出産したりするケースがあり、社会に混乱をもたらすとして包括的な法案整備を望む声が出ていた。(ローマ共同)(毎日新聞)


続編に期待 投稿者:てるてる  投稿日: 6月25日(火)09時15分15秒

>りんごにとって、この視点がシンポジウムを聴くにあたってのポイントになるとは、この時点で、まだ気付いていなかったのでした。

なんですと。プレゼンテーションの技術と効果が重要な視点になるとのこと。ふむふむ。
乞う御期待! って、これはりんごさんのせりふか。


りんごレポート神戸・予告編 投稿者:りんご  投稿日: 6月25日(火)01時43分26秒

実は神戸に行くというのに、ガイドブックを買う暇がなかったの(おいおい大丈夫か)。
伊丹空港に着くとワールドカップ関連のブースがあって、神戸の地図をゲット、ラッキー!
着いた日は、モノレールで千里に行く。見えたよ、エキスポタワー!
まずは、阪大病院の小児科でお仕事をしている心理士さんと会う。
阪大生協では「脳死の人」を発見。
そしてなぜか、「プレゼンテーション学特別講義」を聴くことになりました。
広告を作っているという講師の話によると、「メッセージを100%(以上)相手に伝えることにより、人を期待通りに動かす。ねらった反応を得るための表現(技法)。」が重要のようです。
りんごにとって、この視点がシンポジウムを聴くにあたってのポイントになるとは、この時点で、まだ気付いていなかったのでした。

目的地への移動は、御堂筋線で新大阪、JRで住吉、モノレールで六甲アイランド、やっと宿泊ホテル、シンポの会場である神戸ベイシェラトンホテルに着きました。

この神戸ベイシェラトンホテルですが、ネットで予約。学会の設定値段よりもお得価格。
交通について電話で問い合わせると、とても丁寧な対応で、サービスの期待が。。。
しかし、とても期待はずれで残念でした。
チェックアウトにも時間がかかって、9時からのシンポも、ぎりぎりになっちゃった。


re:ちょっと混乱 投稿者:けい  投稿日: 6月24日(月)13時11分59秒

りんごさん、てるてるさん、

>日本産婦人科学会の「現在、日本での人工授精には、夫婦両方の意思確認が必要であること」という意見
>・・・ならないとしたら、ここには、ジェンダーによる差別がないでしょうか。

スーザン・シャーウィン著の『もう患者でいるのはよそう−フェミニスト倫理とヘルスケア』のp112に、
「医学的に適応となる女性全員が体外受精を利用できるのではなく、指定された医師からその価値がある
と判断された人だけが利用できる。ほとんどのクリニックで、男性のパートナーと安定した(結婚
していればなお良い)関係にある女性だけが、体外受精を受ける資格があるとされている」とあります。

実際、医師がコントロールしているようなこの生殖(補助)医療、別な意味で私、混乱しています。


ちょっと混乱 投稿者:てるてる  投稿日: 6月23日(日)08時21分50秒

妊娠中の女性が脳死状態になった場合に妊娠を継続して出産することは、
女性の妊娠中に男性が死亡する場合に比較するべきでした。

臨床的に脳死と診断された男性が人工「授」精で女性を妊娠させることは、しいてたとえるなら、
臨床的に脳死と診断された女性が人工「受」精で妊娠することにたとえるべきでした。


不妊治療を脳死後も続行? 投稿者:てるてる  投稿日: 6月23日(日)08時15分57秒

>りんごさん さらに御報告ありがとうございます。
日本産婦人科学会の意見で、人工授精には夫婦双方の意思確認と一ヶ月の猶予期間が必要だとしていたとは、知りませんでした。

きょう、6月23日付神戸新聞第28面にも、このニュースが載っています。
「脳死の夫から人工授精したい」
「妻の願い 実現せず」
「意思確認なく 昭和大病院」
この記事によると、
>夫婦は不妊治療を受けたこともあったという。
とのことです。
記事の見出しでは、妻の願いが強調されています。

世の中には、妻の妊娠中に亡くなる男性もいるのだから、それとたいしてかわらないじゃないか、という考え方もあると思います。
しかし、妊娠中の女性が脳死状態になり、そのまま出産した、という事例が、脳死を死と定義しようとする立場を批判するときの根拠の一つになったように、脳死状態の男性が人工授精によって女性を妊娠させたならば、それもまた、脳死を死と定義する立場を批判する根拠の一つにはならないのでしょうか。
ならないとしたら、ここには、ジェンダーによる差別がないでしょうか。
また、技術的に可能だから、夫婦間の人工授精の場合は許可するとしたら、今度は、脳死と診断された患者から、不妊治療を受けている他者に、精子や卵子を提供したり、子宮や精巣を移植したりしてもよいのではないか、という人も現われるかもしれないと思います。

http://www.kobe-np.co.jp/


つづき 投稿者:りんご  投稿日: 6月23日(日)00時28分40秒

>脳死は死であるという考え方がまた批判されるから

ということは、話題になりませんでした。
このセッションの座長である杏林大・島崎修次氏は、「脳死は医学的に死」であるという主旨のことを言っていました。

日本産婦人科学会の「現在、日本での人工授精には、夫婦両方の意思確認が必要であること」という意見が紹介され(プログラム・抄録)、また、実施するにあたっては、その意思確認したあと一ヶ月の期間をおく のだそうです(記憶モード)。


りんごさん 投稿者:てるてる  投稿日: 6月22日(土)23時17分32秒

御報告ありがとうございます!

妻だけの希望じゃないということは、どこまでどれだけ妻が強く希望していたのかと、疑問に思ってしまいます。
妻からの希望に、夫の両親も賛成した、ということなら、いいでしょうけれども。
不妊治療を受ける夫婦でも、周囲からの、夫婦にはこどもが生まれて当然という考え方が圧力になるといいます。

一方、病院が、脳死と診断された患者からの人工授精を実施しなかった理由には、もしそれでこどもが生まれてしまうと、脳死は死であるという考え方がまた批判されるから、という点は含まれていなかったのでしょうか?


人工授精 投稿者:りんご  投稿日: 6月22日(土)23時07分36秒

第15回日本脳死・脳蘇生学会プログラムによると、

>患者両親と妻より「患者の精子を取り出して、妻を妊娠させて欲しい。以前から夫婦間で子供がほしかった」との強い希望が出された。

となっています。


代理出産とは比較できない 投稿者:てるてる  投稿日: 6月22日(土)22時46分04秒

不妊治療に利用したのではなくて、脳死と診断された患者本人のこどもを患者の妻が産みたい、ということだから、代理出産と比較するのは、適切ではありませんでした。
でも、妻が産むことができるのなら、それこそ、不妊治療を受けている夫婦のために、精子を提供することが、技術的には、可能なのだろうと思います。

私が気になるのは、人工授精を要請した家族というのが、患者の妻本人だったのかどうか、それとも、妻以外の親族が要請したのか、ということです。

>脳死状態になった20歳代の男性の家族が、精子を採取し、妻に人工授精してほしいと申し入れていた

>家族に病状を説明したところ、翌朝「以前から夫婦間で子供が欲しいと話し合っていた。患者の精子を取り出して凍結保存し、妻を妊娠させてほしい」と申し出があった。

この記事では、「妻から、夫の精子を人工受精して妊娠したいという申し出があった」とは書いていません。
妻も人工授精を希望したいと言ったのかもしれませんが、妻以外の家族も一緒に要請したのでしょうか?


脳死者の精子での人工授精 投稿者:てるてる  投稿日: 6月22日(土)22時35分52秒

Yahoo!でも紹介されていますが、読売新聞に、脳死と診断された患者の精子での人工授精を、その患者の家族が要請し、病院の判断で実施しなかった、という報告が、22日の脳死・脳蘇生学会であったということです。
病院は、成功率が低いことと、脳死と診断された患者本人の意思が確認されていないということを実施しなかった理由にしています。

http://www.yomiuri.co.jp/00/20020622i412.htm

脳死者の精子での人工授精を要請、実施には至らず

 昭和大病院(東京都品川区)で昨年12月、脳死状態になった20歳代の男性の家族が、精子を採取し、妻に人工授精してほしいと申し入れていたことが22日、さいたま市で開かれた日本脳死・脳蘇生学会で報告された。病院の判断で実現には至らなかったものの、脳死者からの臓器提供を定めた臓器移植法では想定していないケース。同学会では早急に倫理委員会を設置し、臨床現場で難しい判断を迫られる事態を検討する体制を整えたいとしている。

 病院によると、男性は交通事故で搬送され、7日目に臨床的脳死と診断された。その日家族に病状を説明したところ、翌朝「以前から夫婦間で子供が欲しいと話し合っていた。患者の精子を取り出して凍結保存し、妻を妊娠させてほしい」と申し出があった。

 病院内で検討した結果、▽技術的には可能でも成功率は低い▽夫の承諾書がなく意思が確認できない――といった理由から実施は難しいとの結論を下したという。男性は13日目に心停止し、死亡した。

(6月22日20:33)

以前、脳死と診断された患者の子宮を借りての代理出産についてここの掲示板で話題になりましたが、その男性版ということですか……


同一の医師が斡旋と摘出手術をおこなうこと 投稿者:てるてる  投稿日: 6月22日(土)08時33分50秒

小説ですが、同一の病院のなかに、臨床的に脳死と診断される患者と、肝臓移植を待機している患者がいて、肝臓移植待機患者の主治医が、移植候補患者の選定も脳死患者からの臓器の摘出もおこなおうとする話があります。 松浪和夫の「摘出」です。

http://members.tripod.co.jp/saihikarunogo/library42matsunami.html

毎日新聞の記事から 投稿者:てるてる  投稿日: 6月22日(土)08時26分48秒

>この問題は、同ネットワークで脳死判定のチェックに携わるメディカルコンサルタントの立場にあった東京女子医大教授が、臓器を摘出していたことがわかり、同会議で検討していた。臓器移植マニュアルには「医学的な専門事項はメディカルコンサルタントが支援する」としか書かれておらず、同一の医師が臓器のあっせんと移植を兼ねる可能性があった。

「同一の医師が臓器のあっせんと移植を兼ねる可能性があった。」
この表現は、誤解を招きます。
問題となっているのは、
「同一の医師が臓器のあっせんと摘出を兼ねる可能性」です。


コーディネーターが医師に相談すること 投稿者:てるてる  投稿日: 6月22日(土)08時22分30秒

同じくYahoo!にも紹介されていましたが、日本臓器移植ネットワークから出た、臓器斡旋の改善のために、あらかじめ複数の医師に委嘱しておき、コーディネーターが助言を求めること、という案が出ました。

http://www.mainichi.co.jp/news/flash/shakai/20020622k0000m040159000c.html

6月22日 0:54
移植ネット:臓器あっせんの改善方針示す

 厚生労働省の「第14回脳死臓器提供に関する検証会議」(座長、藤原研司・埼玉医科大教授)が21日開かれ、臓器移植ネットワークから臓器あっせん業務の改善方針が示された。

 この問題は、同ネットワークで脳死判定のチェックに携わるメディカルコンサルタントの立場にあった東京女子医大教授が、臓器を摘出していたことがわかり、同会議で検討していた。臓器移植マニュアルには「医学的な専門事項はメディカルコンサルタントが支援する」としか書かれておらず、同一の医師が臓器のあっせんと移植を兼ねる可能性があった。

 改善案では、ネットがあらかじめ複数の医師を委嘱し、助言が必要な際はコーディネーターがこれらの医師に助言を求めることにした。ネットワークの理事会の承認を得た後、関係者らに改善の徹底を行う。 【河内敏康】

[毎日新聞6月22日] ( 2002-06-22-00:54 )


私としては、そんなにも専門的知識の足りないコーディネーターしか、日本臓器移植ネットワークにはいないのか?という疑問が湧きます。 医師出身のコーディネーターはいないのかしらん。
あの臓器移植件数の多さを誇るスペインには、集中治療室の専門看護婦や医師で、コーディネーターになった人がたくさんいて、そういう人がチーフになって、臓器の摘出から移植手術までを指揮し、病院のスタッフに臓器移植や脳死について教育するともいいます。
USAでも、集中治療室や小児集中治療室の専門看護婦が訓練を受ける、コーディネーターの養成課程があります。
それはそれで、脳死を死として臓器移植を推進する人ばっかりがコーディネーターになって、他の考え方の病院のスタッフを教育したりして、ある意味、かたよっているのかもしれませんが、コーディネーターの専門職としての地位は確立していると言えます。

日本臓器移植ネットワークは、コーディネーターの医療職としての専門性を重視しないのでしょうか?


RE:臓器不足への米対応策 投稿者:てるてる  投稿日: 6月22日(土)08時11分58秒

Yahoo!で、臓器提供者への謝礼に関して賛成か反対か投票を募っています。

http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/science/organ_transplant/

臓器不足への米対応策 投稿者:けい  投稿日: 6月19日(水)13時56分09秒

臓器不足への対応は提供者への謝礼金…。yahooニュースより。
先行きはなんか見えていますねぇ。
森岡先生の主張の一つだと思いますが「提供者の善意による意思表示が前提」について、
先日行われたIARPのシンポでも、岡崎国立共同研究機構、基礎生物学研究所所長の、
勝木元也先生が「提供者の臓器をあげたいという心まで否定できない」といった消極的肯定を
されていたのが印象的でした。
で、臓器の謝礼金なんですが、善意からくる無償の行為を本人がしたときに、
その謝礼金は誰がもらうことになるんでしょうか。
自分を与える行為としての脳死臓器提供に加えて、それによって、あなたの家族(知人)に
何らかのお金も与えられる、というキャッチフレーズになるのでしょうか。
それこそ人体の資源化、商品化に荷担するようなリアルな話として私は非常に疑問です。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20020619-00000203-yom-soci


2002年3月15日「早稲田大学国際バイオエシックス・シンポジウム2002」(東京)
りんごレポート一覧(講演会、シンポジウム、脳死、臓器移植、生命倫理)

2002年6月21日 第16回日本小児救急学会(神戸)
りんごレポート一覧(講演会、シンポジウム、脳死、臓器移植、生命倫理)