補足訂正 投稿者:てるてる 投稿日: 2月28日(木)08時43分54秒
>私は、ドナー家族とレシピエントへの精神的アフタケアの充実と、本人意思の表示を呼びかける
広報の徹底が先だと思います。
↓
私は、ドナー家族とレシピエントへの精神的アフタケアの充実と、本人の意思決定のための
情報提供と意思表示を呼びかける広報の徹底が先だと思います。
ドナー家族 投稿者:てるてる 投稿日: 2月28日(木)08時40分46秒
心臓死後の腎臓提供には、本人の事前の書面による意思表示がなくてもよい、という
ことを強調する移植医や報道は、ドナー家族の会の人々の意見をちゃんと聴いている
のかな、と思ったら、一応、聞いてはいるのですね。↓心停止後の腎臓移植、角膜移植には、臓器移植法施行以前に、既に20年以上の歴史が
あるにもかかわらず、臓器提供者の遺族へのアフターケアや、レシピエントへの精神的
支援をさぼってきた。そのつけが、いざ、臓器移植法が施行されると、臓器提供者が
減ってしまった、というところに現れているのではないでしょうか。家族の同意だけでもいいんだという経過措置を錦の御旗に掲げて臓器提供をふやそうと
いきごむ移植関係者は、またぞろ、中島みちさんの「見えない死」で書かれていたような、
死の床に望む患者のそばで、遺族を何時間も説得し続けて看取りの時間を奪うというような、
甚だしい人権侵害を犯すつもりなのでしょうか。私は、ドナー家族とレシピエントへの精神的アフタケアの充実と、本人意思の表示を呼びかける
広報の徹底が先だと思います。
それから、またついでですが、移植医療に慎重な人々が、そういう広報やアフタケアを、移植
医療の宣伝、臓器提供のおしつけだと過剰に警戒するのも、よくないと思います。http://www.medi-net.or.jp/tcnet/kouza98_11_30.html
臓器移植ネットワーク 投稿者:森岡正博 投稿日: 2月27日(水)22時35分15秒
それよりも、ネットワークの金の流れ、理事その他のポストの問題などのスキャンダルを解明して自浄してほしいです。先日、あるところで講演した大学医学部の移植医も、移植ネットワーク批判を堂々としてましたよ。
てるてる案 投稿者:森岡正博 投稿日: 2月27日(水)22時33分13秒
てるてる案の細部は、やはり、てるてるさんご本人に説明していただかないとダメですね。こういうときに、PDFが役立つというのは、うれしい。
臓器移植斡旋料 投稿者:てるてる 投稿日: 2月27日(水)21時56分38秒
日本臓器移植ネットワークが、4月以降、移植手術を受けた患者から、
臓器一個につき10万円の斡旋料を徴収することに決めたそうです。↓毎日インタラクティブにも記事があります。
http://http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20020227-00000774-jij-soci
「てるてる案」について 投稿者:てるてる 投稿日: 2月27日(水)21時19分26秒
最近、メールで、「てるてる案」について御質問をいただきました。
それには御返事を差し上げたのですが、こちらでも、参考になるかと
思いまして、概略を御紹介したいと思います。Q.
> てるてる最終案、PDF P.169 下から3行目に「臓器提供希望者は、試験を受
> け、臓器移植に関する、最低限必要とされている知識を持っている事を確認する。」
> とあります。これは、臓器提供意思登録カードについての説明の項目にあり、前後の
> 文はすべて意思登録にかんするものばかりです。そこで質問なのですが、試験を受け
> る必要があるのは、意思を登録しておこうとする人だけですか、それとも、登録せず
> に、提供意思表示カードを持とうとするとする人も、試験を受ける必要があるのです
> か。A.
試験を受けるのは、臓器提供意思を登録する人だけです。てるてる案では、講習と試験を受けて登録することによって、
本人の意思表示だけで臓器提供ができる人と、
講習も試験も登録もなく、臓器提供の意思表示だけをして
(ただしチェックカードと保証人は必要ですが)、
かつ、臓器提供拒否権者を指定しておく人と、
ふたとおりの意思表示のしかたを用意しました。現行法では、家族が、
本人の事前の書面による臓器提供の意思表示にもかかわらず、
臓器提供を拒否することができます。
それを、てるてる案では、
家族とは限らず、本人が指定した人が、臓器提供拒否権者になることにしています。それでは、保証人とどう違うのかというと、
保証人は、
本人の意思表示の実行を見届けるためにいるのですが、
その本人の臓器提供の意思が充分に生かされないような、
不充分な救命治療や不審な臓器保存術などがおこなわれていると思ったときに、
臓器提供の中止を求めることもできる、ということです。それに対して、臓器提供拒否権者は、
ただ感情的あるいは感傷的に耐えられないからという理由で、臓器提供を拒否しても良い。
たとえば、高齢の母親だとか。
そういう人を、臓器提供意思表示をした人が、指定する。現行法では、せっかく臓器提供の意思表示をしたのに、いざ脳死になると、
家族が勝手に臓器提供を拒否することもできるので、
てるてる案では、それはできるだけ避けて、
本人が、
この人になら、拒否されてもしかたがない、
と思った人にだけ、拒否権を認めることにしています。しかし、それでも、どうしても、いざ、脳死という状態になって、
家族が耐えられそうにないと判断して、医師が臓器提供をやめたとしても、
それについての罰則はありません。
ただ、どうしてそうなったのかについてくわしく書いた報告書を出す必要はあると
考えています。
レス御礼と今後 投稿者:黒崎宣博 投稿日: 2月27日(水)19時52分53秒
てるてるさん、りょうこさん、レスありがとうございます。
一般知識と風説またはタブーというものが見えてまいりました。
しかし、これを風説の流布としてNHKに抗議しても、村上氏の問題と流されるだけですね。
これを手がかりに、今後もすっぽんの如く調べてみたいと思います。ありがとうございました。
胎児の行方 投稿者:りょうこ 投稿日: 2月27日(水)19時24分58秒
ちょっとひっかかったので、病院の事務方にも確認しましたが、
中絶された胎児(流産胎児も同じですが)は、通常は、分娩の時に
出た胎盤とともに、胎盤回収業者(というのかな?)が回収します。
これは「病院が売っている」のではなく、「お金を払って回収して
もらっている」のです。回収された胎盤と胎児は、焼却することに
なっています。これには自治体の認可が要ります。少なくとも
法的には「横流し」はできないはずだと思います。
ただしこっそりやっていてもわからないかもしれません。中絶の場合も、流産の場合も、お骨をひきとりたいという方も多く、
この場合は、亡くなった方と同様、お棺に納めて火葬場に行きます。
水子供養の発展したようなお寺があって、お骨を納めて弔ってくれたりも
するようです。
ついでですが 投稿者:てるてる 投稿日: 2月27日(水)08時56分39秒
臓器移植に慎重な人も、家族の同意が必要ということを強調しすぎるのはよくないと
思います。
やはり本人の意思の尊重が第一です。
臓器移植に慎重な人が、家族の同意を重視しすぎるから、推進する人も、本人の意思は
後回しにしても家族の同意さえ得られればよいと考えるのではないでしょうか?
臓器移植推進の会議 投稿者:てるてる 投稿日: 2月27日(水)08時54分28秒
山梨県で、15の病院の代表が集まって、臓器移植推進の会議を開いたそうです。
その結果、各病院に臓器提供情報担当者を配置することを決めた、とあります。
さらに、脳死でない、心臓死後の臓器提供は本人の事前の書面による意思表示が
なくてもよいということを強調して腎臓や角膜の提供を推進するつもりのようです。
そんなに、本人の事前の意思表示という条件が、移植の邪魔だと思うのは、なぜなのか。
臓器移植についての根本的な考え方が、おかしいと思います。
提供臓器をふやすことさえできれば、臓器を提供する本人が移植についてどう思っていたかは、
気にしなくてもよいというのでしょうか。
どうしてそんなに、本人の意思表示がなくてもよい、ということを強調したがるのか!!!>県医務課は「脳死と心停止の誤解から腎臓提供が減った」と分析しており、まずは院内での周知と理解を深めていく考えだ。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20020226-00000003-mai-l19
移植手術を受けた選手 投稿者:てるてる 投稿日: 2月27日(水)08時24分18秒
きのう、NHKで、オリンピックの特集をしていましたが、そのなかに、臓器移植の手術を受けた、
オリンピック選手の話がありました。
移植者スポーツ大会ではなくて、オリンピックに出るということは、すごいことだと思いました。>黒崎さん
>中絶された胎児は病院から企業に売られて、薬品や化粧品に用いられているそういう話は、前に、「週刊モーニング」か「月刊アフタヌーン」かに載っている漫画で、
読んだことがあります。産婦人科医を主人公にしたもので、女性の漫画家が描いていました。
一見、冷たそうだけど、ほんとうは暖かい心にあふれている主人公でしたが……
それから、大沢在昌の「新宿鮫」でも、犯罪として描かれていました。
こういう漫画や小説があるということは、そういう事実が存在するということだと思いますが、
それについての詳しい情報は知らないです。
結局、お役に立てなくてすみません。ごめんなさい。
中絶された胎児 投稿者:黒崎宣博 投稿日: 2月25日(月)15時45分07秒
だいぶ前になりますが、NHK教育テレビで科学哲学の村上陽一郎氏が、中絶された胎児は
病院から企業に売られて、薬品や化粧品に用いられていると述べておられました。
この件について、より詳しい情報があればご教示いただきたく、よろしくお願いいたします。http://www.geocities.co.jp/Bookend-Ohgai/5582/
親族への臓器提供 投稿者:てるてる 投稿日: 2月21日(木)08時55分37秒
前から思うんですが……脳死・心臓死後の臓器移植において、初めから他人への臓器提供を排除して、
親族への提供をおこなう場合は、高度先進医療保険も適用せず、全部、私費で
実施するべきではないでしょうか?
もっともそうすると、脳死・心臓死した人のからだは公共資源だという考え方を
受け入れることになってしまいますが。
脳死・心臓死しただけではだめで、脳死・心臓死する前に、移植への協力を
本人が認めた場合は、公共資源だとすることにしてはどうかと。
それゆえに、親族優先の臓器提供を禁止するか、実施する場合は、保険を
いっさい適用しないか、どちらかにするべきではないかと思います。親族間の移植を基本前提としている生体間移植は、枠組みをまったく別に
することになりますが…
法的な問題 投稿者:森岡正博 投稿日: 2月21日(木)07時29分23秒
法的な問題とは、なんだろう??
検証会議 投稿者:りんご 投稿日: 2月21日(木)00時48分31秒
Yahoo!ニュースより<脳死検証会議> 親族への腎臓提供 「厚労省対応に問題」と指摘
聖路加国際病院で昨年6月、脳死となった60歳代の男性の腎臓が、二つとも男性の親族に移植された問題で、厚生労働省の「脳死臓器提供に関する検証会議」(座長、藤原研司埼玉医大教授)は20日、「例外的な対応で、結果的にやむを得なかったが、厚労省の対応には法的な問題が指摘できる」との見解をまとめた。(毎日新聞)
[2月20日19時16分更新]http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20020221-00002043-mai-soci
信濃毎日新聞の社説 投稿者:てるてる 投稿日: 2月20日(水)22時11分33秒
2月12日付の信濃毎日新聞に「脳死移植3年 曇りない実例を重ねよ」という社説が載っています。↓
この社説では、次のように述べています。> 大事なひとつは脳死判定や移植患者選定、手術経過にかかわる厳正、公正、公開の原則を守ることだ。
>
> 定着しない要因として、臓器提供病院に課された規則を挙げる見方が出ているのは気にかかる。臓器摘出までの細かく、厳しい手順が病院の重荷になっているとされる。規則緩和の法改正を求める意見もある。> 現行制度では認められていない十五歳未満の人からの脳死臓器提供も重要な検討課題だ。自民党内などに家族の書面承諾だけで提供を認める法改正を模索する動きが浮上している。その場合、提供者本人を軽んじるようなことになってはなるまい。
>
> 厳格さを保ち続けることが理解を広げ、ひいては移植の定着につながっていく。「本人の意思表示」の原則を維持しつつ道を開く方法がないか、検討を深めるときだ。一方、先の投稿で紹介した「ソーシャルワーカーのための医学」の「第8章 医療の専門性と規制」では、臓器移植に関しては、15歳以下の人の臓器提供について、本人の意思表示について、
規制を緩和する必要性を述べています。
それゆえに、私は、この本では、臓器移植における医療ソーシャルワーカーの役割は、臓器移植コーディネーターのようなものとしているのだろうか? と思うのです。http://www.shinmai.co.jp/news/2002/02/12/005.htm
「ソーシャルワーカーのための医学」 投稿者:てるてる 投稿日: 2月20日(水)21時46分45秒
「ソーシャルワーカーのための医学 医学一般 (社会福祉基礎シリーズ 15)」
(有斐閣、2002年2月)の「第8章 医療の専門性と規制:1 生命倫理」に、
「1-6 臓器移植」(p.287-289)という章があります。
臓器移植における医療ソーシャルワーカーの役割は、臓器移植コーディネーター
のようなものなのか? きょう、拾い読みしましたが、新刊ですので、本屋さんで
見かけたら立ち読みなさってください。http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi/3b6414ed735de0104e81?aid=&bibid=02125926&volno=0000
ピーター・シンガーのTV 投稿者:森岡正博 投稿日: 2月20日(水)18時09分59秒
MLで回ってきたものです。ピーター・シンガーが、意識のない患者への人体実験はOKだし、脳性マヒ者の安楽死(?)もOKという発言をしているそうです。相変わらずですなあ・・・。CONTROVERSIAL ETHICIST SAYS EXPERIMENT
ON MEN, NOT BEASTS - WEDNESDAY ON "60 MINUTES II"
Philosopher Peter Singer is known throughout the world for his
controversial belief that all life is not equally precious. In fact,
Singer tells correspondent Dan Rather that it may be ethical to
kill handicapped babies and argues that the lives of animals are
not inferior to the lives of humans. Rather's report on Princeton
University's controversial ethicist will be broadcast on
60 MINUTES II, Wednesday, Feb. 20 (8:00-9:00 PM, ET/PT) on
the CBS Television Network.Although many consider Singer's views on medical
research immoral, he maintains that his views are simply
unconventional and explains to Rather why he thinks that in
certain situations it may be better to conduct dangerous
experiments on certain humans as opposed to animals. ".I think
there, perhaps, are some things which could be done with people
who are no longer conscious at all and will never recover
consciousness," says Singer "It would be ethically justifiable to
approach the relatives and to say, 'Look, we want to find out
whether certain drugs produce adverse reactions in human beings.
Do you have any objections to doing this test on your relative who
can no longer suffer from it because he or she can no longer feel
anything at all?'.Without consciousness, human life has dropped
to a level, in fact, below that of a chimpanzee or a dog."Singer's ethical views about ending life aren't just words
scribbled on a college blackboard -- they have real world application.
In fact, Singer agrees with Diane Arnder's decision to fight an
advocacy group in court for the right to end the life of her 29-year-old
daughter who was suffering from cerebral palsy, severe mental
retardation and seizures. "People have to understand you can
only do so much to keep a person here and then, after that, it's
time for God to intervene.or somebody to intervene and say, 'Hey,
it's time to let go,'" says Arnder.But Steve Drake, a spokesman for Not Dead Yet, the disabled
person's advocacy group that asked a judge to intervene in Arnder's
case, disagrees -- he himself survived a childhood brain disorder.
"It is dressed up nicely, it is spoken in very polite tones by a very
polite person, but what [Singer] is really saying is that some
people's lives are not worth living -- are not worth it for us, as a
society, to put up with -- is not worth families having kids with
disabilities," says Drake.
ヴィーチ先生の講演 投稿者:りんご 投稿日: 2月20日(水)01時28分52秒
行けますです。
ヴィーチ博士 投稿者:森岡正博 投稿日: 2月20日(水)00時44分43秒
早稲田大学で、ヴィーチ博士が講演されますが、臓器移植について、どのような内容なのか興味があります。私は東京にいけませんが、どなたか出られますか? ↓
http://www.bioethics.jp/waseda2002/
やすさん 投稿者:森岡正博 投稿日: 2月20日(水)00時42分07秒
ご論文、移植法ページにリンクいたしました。
すんません 投稿者:りょうこ 投稿日: 2月19日(火)22時24分52秒
3人でしたね。すんません。
どれも「イブニングトーク」の内容のまとめ的なものだと
思いますが(直接聞いてないのでよくわからない)短いものです。国立小児病院集中治療科の阪井さんの、「重症患者の看取り」と
「臓器移植を前提とした脳死判定」との間のズレ、という話も
いささか興味深い感じですが、いかんせん短いので・・・
りょうこさん、りんごさん 投稿者:てるてる 投稿日: 2月19日(火)15時53分56秒
補足訂正、ありがとうございます。深謝。m(__)m
「脳と発達」より 投稿者:りんご 投稿日: 2月19日(火)15時16分15秒
>「報告 第42回小児神経学会総会/イブニングトーク:
子どもの脳死について」 という記事で、4人の方の発言の抄録が
あります。ということですが、第5号には、抄録というより、
以下の3つの論文しか見あたりませんでした。・竹下研三「子どもの脳死についてーこれまでのまとめー」
・阪井裕一「集中治療の立場から」
・宮林郁子「ドナー家族に対しての看護婦の役割ーアメリカの現状」
脳と発達 投稿者:りょうこ 投稿日: 2月19日(火)12時53分30秒
てるてるさんご紹介の「脳と発達」
22巻じゃなくて32巻ですね。念のため。
「報告 第42回小児神経学会総会/イブニングトーク:
子どもの脳死について」 という記事で、4人の方の発言の抄録が
あります。
仏教から見た脳死・臓器移植 投稿者:やす 投稿日: 2月18日(月)22時57分43秒
こんばんわ。私は僧侶であり、名古屋大学の大学院生でもある者です。
仏教から見た脳死・臓器移植問題について、様々になされた意見についてまとめた修士論文「脳死・臓器移植に関する仏教的思考の考察」を自分のHPに載せましたので、ご興味のある方はアクセスしてご意見などを頂けたら幸いです。下のHPから「STUDY」の項に載せてあります。http://homepage3.nifty.com/yasuconnect/
「小説臓器移植」(5) 投稿者:てるてる 投稿日: 2月18日(月)17時51分24秒
臓器移植コーディネーターの話から、ちょっと寄り道してしまいましたが、元に戻って、
「小説臓器移植」の紹介を続けます。この小説には、医学的なこともよく書かれています。アルコール性肝硬変、肝臓の摘出と
移植の実際についての描写、免疫抑制剤シクロスポリンの発見など、いい資料です。それから、オーストラリアとUSAの移植事情の違いもおもしろい。最初、主人公に移植を
勧めるのはオーストラリアの友人です。しかし、オーストラリアの臓器の提供システムが
未整備のために、臓器は極端に不足しており、先天性胆道閉鎖症などの、それしか方法が
ない幼児の移植例がほとんどで、アルコール性肝硬変の患者にまで臓器が回ってこないと
述べられます。
オーストラリアの法的な「脳死」の扱いについても説明しています。脳死の基準は明確に
定められて、医学界がこれを認めているが、法律が定められているわけではなく、政治は
不介入の立場をとっている。人間の死は医者が決めるもので、政治ではない、ということ
であろう、と述べています。おもしろいのは、この小説では、移植手術を受けさせてもらうために、オーストラリアの
医師や病院に贈り物や寄付をしたことを、あからさまに書いていることです。
次のUSAでの移植手術の話では、そういうことは書いていません。それでも非常にお金が
かかることは書いています。
p.199-200
----------------------------------------------
臓器移植には膨大な経費がかかる。手術を受け入れる病院側も、希望
者の資産状況を十分審査してからでないと受け入れない。もちろん、保
険はある。しかし、適用が日本人におよぶ都合のいいものなどあるはず
がない。
かかる費用はケースによって異なるが、三〇万ドル(日本円に換算し
て、三千万円から三千百万円位)はくだらないと言われている。検査、
手術、リハビリに要するもの、そのときの薬代、入院費、待機中の住居
費や生活費、それに往復運賃まで含めると、とてつもない額になる。
----------------------------------------------費用のことは、よく海外渡航移植手術の募金などで聴いていましたが、受け入れ側の
病院が、資産状況を調べるとは知りませんでした。このほか、この小説では、欧米人は、臓器は部品であると割り切っていると述べています。
それは、主人公に移植を勧めるオーストラリア人の言葉として描写されています。>「悪いものは、取り換えなければしようがないじゃないですか。脳死した人間がいて、
内臓はまだ生きている。一方で病んでいるが、部品さえ取り換えれば助かる人がいる。
移植は当然です。そこになんの矛盾も生じません」
>「(前略)脳死の人間は絶対に助からないんですよ。死んでしまえばただの亡骸です。
だから脳死者の臓器も部品です。それが役に立つのなら、だれもが喜んで提供します。」
(p.175-176)実際に、こういうふうに考えている人々も、オーストラリアにいるのでしょうが、皆が皆、
そうだとも限らないのではないかと思います。臓器不足や、移植手術の対象者は「先天性
胆道閉鎖症などの、それしか方法がない幼児の移植例がほとんど」というのは、システム
の不備のせいばかりではないのだろうと思います。
新生児医療看護の専門誌 投稿者:りんご 投稿日: 2月17日(日)17時48分17秒
メディカ出版の「Neonatal Care」2002年2月号
特集:「悲しみを乗り越える 赤ちゃんの死と家族のケア」http://bbs01.iws.ne.jp/tpshop-bin/medica_bp/magazine_info.pl?goods_id=30012490
「小説臓器移植」(4) 投稿者:てるてる 投稿日: 2月17日(日)09時00分20秒
「脳と発達」第22巻第5号、2000年、p.445-448、「ドナー家族に対しての看護者の役割--アメリカの現状--」より>ミシガン大学の心肺移植センターでは小児のもつ特殊性を考えて、小児専門看護婦に心肺
移植の継続教育コースをさらに用意し、小児心肺移植専門看護婦として活躍できる場を提供
していた。まだ日本には小児専門看護婦とよばれる看護婦さえなく、活動も法律で規制されて
いる。Critical Careに限らず、脳外科やICUなどで働く看護婦はドナーとなる可能性のある
患者や家族を見過ごしてはならない。そのための適切なアプローチ法やコミュニケーション
技法を学ぶことも必要である。「脳と発達」の論文は、レシピエントの立場優先で書かれているような気がします。
ドナーになる可能性のある患者を見過ごさないように訓練すべきとは……
脳死する患者の看取りをりっぱにやりとげられる訓練が先ではないでしょうか……「小説臓器移植」も臓器移植推進の立場です。
この小説では、脳腫瘍で亡くなった少女から、日本の中年の、アルコール依存気味だった
男性に、肝臓が移植されます。
日本人は、平均して、USAの人よりもからだが小さいので、少年少女の肝臓でも移植しやすい
のだと書かれていました。
しかし、この小説でも、USAで、有名なプロ野球選手などが、移植手術を受けやすいという批判
があったことが書かれています。
「小説臓器移植」(3) 投稿者:てるてる 投稿日: 2月17日(日)08時51分00秒
「食道溜破裂」と書いてしまいましたが、「食道静脈瘤」破裂です。
溜ではなくて瘤です。m(__)m小説というかたちをとっていますが、ほとんどノンフィクションではないかと思われます。
前書きで謝辞を捧げている、UCLAメディカルセンターの医師やコーディネーターは、小説の
なかでも実名で登場しています。
小説では、臓器カウボーイ、臓器移植コーディネーターのことがくわしくかかれています。
臓器カウボーイは、臓器調達機関のメンバーでしょう。次のように書いています。
(p.77)
----------------------------------------------
「これはすばらしい肝臓だ」
「どうしようもないな」
取り出されようとしている臓器の状態に、あからさまに感嘆したり、失望したりすることも
お構いなしである。彼らは、深刻な作業のなかで自分の気持を滅入らせないように、ことさら、
エネルギッシュに行動する。ちょっとしたジョークを交えながら、時間の経過を争い、細密な
作業を進めていく。
----------------------------------------------臓器移植コーディネーターのことは、次のように書いています。
(p.51-52)
----------------------------------------------
臓器移植コーディネーターとは、アメリカでも一九八八年になってはじめて国家資格として
認められたもので、臓器移植を円滑に行うための調整役で、ドナーとレシピエント(臓器受容
者)の双方につく。看護婦出身者が多く、特にドナー側の患者や家族への説得、調整には、
女性特有の優しさと粘り強さとが不可欠であり、時として強力な武器となる。
彼女たちは、二十四時間、いつもポケットベルを肌身離さず持ち歩き、患者、全米臓器配分
センター(UNOS)、ドナー関係の住所録から、移植に関するマニュアルのすべてを入れた黒紺
のショルダーバッグを、かたときも手放すことがない。
そして、いついかなるときでも----たとえデート中であろうと----親類の葬式の最中で
あろうと----ポケットベルが鳴ると最優先で動き出す。
手術後のケア、患者の心得、薬の飲み方からあらゆる処し方まで、すべてにわたって指示、
教育する重要な役割を負っている。
----------------------------------------------小説に登場するコーディネーターが、「クリニカルナースコーディネーター」の「バーバラ・
ヌーシー、及び同アニラ・バラクシ嬢」(p.15, まえがき)という二人の女性だからなのか、
「女性特有の優しさと粘り強さ」、「たとえデート中であろうと」という表現が見られます。
しかし、コーディネーターには男性もいます。向井承子さんの「脳死移植はどこへ行く?」で、
向井さんがインタビューしていたドナーコーディネーターは、アレン・ディビスという、
この道15年のベテラン男性コーディネーターでした。
「小説臓器移植」の作者の若林照光氏は、まえがきでのドナーコーディネーターの紹介でも、
なまえの後に「嬢」などと余計なものをつけています。男女共通に、「さん」でも「氏」でも
敬称略でもいいでしょうに。
まあ、実際に、USAでは、Missとつけて、二人とお話ししていたのかもしれませんが。
若林氏が見た、臓器カウボーイのチームには、女性がいなかったのでしょうか?
つい、こまかいことを書いてしまいましたが、要するに、おやじっぽい小説なのです。ドナーコーディネーターは、集中治療室の専門看護婦、こどものドナーコーディネーターには、
小児科の専門看護婦の出身者が多いということは、日本の専門誌でも紹介されていました。「脳と発達」第22巻第5号、2000年、p.445-448、「ドナー家族に対しての看護者の役割--アメリカの現状--」より
>移植に関わる職種には、専門の看護婦に関わる立場で働くPediatric Clinical Nurse Specialistの中で特にCritical Careの専門看護婦とCPTC(Certified Procurement Transplant Coordinataorいわゆるドナー側のコーディネーター)がおり、現在1,046人が登録されている。ドナー側のコーディネーターCPTCとレシピエント側のコーディネーターCCTC(Certical Clinical Transplant Coordinator)は、ともに基礎資格として医療専門職国家資格が必要であり、コーディネーターの研修期間(フロリダ大学では1年間)を経て、米国移植コーディネーター評議会の行う資格認定試験に合格しなければならない。なお、各機関がコーディネーターとして採用する時のポイントは、ICUでの経験、脳外傷等の詳しい医学的知識、コミュニケーションの能力、体力であるといわれている。役割は日本のコーディネーターのそれと大差はなかった。ただ、彼等の仕事には、病院職員への教育が含まれていた。医療関係者の認識不足で、ドナーとなりうる患者が見過ごされていたり、説明が不適切で移植へと進めなかった場合が多いからといわれている。
「小説臓器移植」(2) 投稿者:てるてる 投稿日: 2月16日(土)09時02分19秒
小説のまえがきでは、移殖医療の歴史についても簡単に説明されています。
最初の移殖は、皮膚の自家移植でした。小説の主人公は、事業に成功した中年の男性で、長年の飲酒癖の結果、思い肝臓病になり、USAへ渡って脳死患者からの移植手術を受けることにします。
手術のきっかけになった、食道溜破裂のようすについては、先日、書評掲示板で紹介した、浜辺祐一さんの「救命センター当直日誌」の最初のエピソード「破裂」にも出てきます。
食道溜破裂は、大量の出血を伴い、亡くなることも多い。かろうじて一命をとりとめた人が、最後の頼みの綱として、肝臓移植を受けるかどうかを考えます。USAでは、肝臓移植を受けるためには、断酒が絶対条件なので、テストを受けることになります。
主人公は、コーディネーターと相談して、AAに入会します。その前に、日本の同種の団体から、移植手術の少なくとも7ヶ月前から断酒している証明をもらっています。
「小説臓器移植」(1) 投稿者:てるてる 投稿日: 2月16日(土)08時51分58秒
若林照光著「小説臓器移植〜脳死肝移植A氏の場合〜」(インテリジェンス出版社、1997年10月16日)を御紹介します。(臓器移植を扱った小説が図書館にたくさんあることを知ったので、順次、借りて、内容を御紹介していきたいと思います。でも、全部熟読するわけではなくて、拾い読みです。すみません。)
まず、まえがきで、臓器移植法について、作者の考えが紹介されています。
>一九九七年(平成九年)十月十六日、日本でも欧米に遅れること三十年にしてやっと、
重く固い"岩戸"が少しだけ開いた。臓器移植法の施行である。作者は臓器移植推進の立場から、以下の諸点について、慎重派・反対派の説明責任を説いています。
(以下、引用)
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[1]こんなにガンジガラメでは、ドナーがでてこないのではないか。
[2]手術費用は一体いくらかかるのか。健康保険は使えるのか。
[3]ドナーは十五歳以上でなければならないとされているが、これでは子供の重症患者は救えない。本当に救済が必要なのは、先天的に胆道閉鎖症で胆汁が十分に分泌できない子供、心臓、肺、膵臓、腎臓などに欠陥を持ったまま生まれてきてしまった子供、暴走する新種のウイルスに冒され悪性の肝炎などに罹患してしまった子供たちではなかったのか。
[4]病院が限定されているが、これでは遠隔地の患者は猛烈に不利な条件にさらされることになる。
[5]ドナーが有料あるいはその他の条件をつけて臓器の提供を承諾した場合には実際どうするのか。
[6]「脳死の判定」はだれがするのか。移殖医や臓器カウボーイたちでは従来と同様の疑念が残ることになる。救急救命医あるいは全くの第三者、有識者らの参加が求められるが、この人たちの人数が多いと、逆に彼らが集合するための時間がかかりすぎて、緊急には用をなさないことになる心配もある。
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