久しぶりに会った家族や友達。
それはとても楽しい時間だった。
だけど…夜になって…
あいつが迎えに来ないまま、夜になっちまって…
「どうした? もう酔ったのか?」
「ばぁか。 んなくらいで酔うかよ。」
笑い飛ばして、グイッと酒を煽った。
来いよ、直江…
早く来い…
魔法使いなんだろう?
だったら、呼んだらわかるんじゃねぇのか!
俺の声…言えなくても、おまえには聞こえるんだろう?
いつもそう言って俺を抱くから…
おまえには本当に聞こえてるのかと思っちまう。
有り得ないのに…頭の中で、おまえの声が俺を呼ぶ。
おまえは今、どんな夜を迎えてるんだろう?
なぁ、お願いだから…
「あらら、寝ちまったの?」
「おーい高耶!…ダメだ、起きないよ」
布団を出して寝かそうとした時、誰かがふわりと高耶を抱き上げた。
気がつくと、高耶の姿は消えていて、
でも皆はちっとも不思議に思わなかった。
「また遊ぼうぜ」
高耶の笑顔と声が、まだ残っている気がした。
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目を覚ますと、直江がいた。
「直江…」
囁くように呼びかけると、
「お目覚めですか、高耶さん」
柔らかな声が耳をくすぐる。
「気持ちいい…おまえの腕ん中…」
なんか変だ。
思ったことが、そのまま言葉になっていく。
まだ夢の中なのか?
でも体に感じる温もりも、俺を抱く腕の力強さも、夢じゃない。
これはおまえの魔法?
だったら…
そっと直江の背中に腕を回した。
胸に頬を寄せて、目を閉じる。
このまま時が止まればいい。
おまえとふたり…
このまま…
酔っているせいか、それともまだ眠いのか。
無防備に身を寄せる仕草が、まるで甘い誘いのようで、
直江は思わず、空を飛んでいることを忘れて、両手で高耶を抱きしめた。
グラリと揺らいだ箒を慌てて支えながら、
それでも重ねた唇はそのまま熱を増していく。
早く帰ってあなたを抱きたい…
直江の言葉に、高耶は笑って頷いた。
これは魔法。
いつ解けてしまうか、わからないから…
だから急いで帰ろう。
おまえとふたり、もっとひとつになりたいから