『魔法使いの年始』

久しぶりに会った家族や友達。
それはとても楽しい時間だった。
だけど…夜になって…
あいつが迎えに来ないまま、夜になっちまって…

「どうした? もう酔ったのか?」
「ばぁか。 んなくらいで酔うかよ。」
笑い飛ばして、グイッと酒を煽った。

来いよ、直江…
早く来い…

魔法使いなんだろう?
だったら、呼んだらわかるんじゃねぇのか!

俺の声…言えなくても、おまえには聞こえるんだろう?
いつもそう言って俺を抱くから…
おまえには本当に聞こえてるのかと思っちまう。

有り得ないのに…頭の中で、おまえの声が俺を呼ぶ。

おまえは今、どんな夜を迎えてるんだろう?
なぁ、お願いだから…
 

「あらら、寝ちまったの?」
「おーい高耶!…ダメだ、起きないよ」

布団を出して寝かそうとした時、誰かがふわりと高耶を抱き上げた。

気がつくと、高耶の姿は消えていて、
でも皆はちっとも不思議に思わなかった。

「また遊ぼうぜ」
高耶の笑顔と声が、まだ残っている気がした。

******************

目を覚ますと、直江がいた。

「直江…」
囁くように呼びかけると、
「お目覚めですか、高耶さん」
柔らかな声が耳をくすぐる。

「気持ちいい…おまえの腕ん中…」

なんか変だ。
思ったことが、そのまま言葉になっていく。
まだ夢の中なのか?

でも体に感じる温もりも、俺を抱く腕の力強さも、夢じゃない。
これはおまえの魔法?
だったら…

そっと直江の背中に腕を回した。
胸に頬を寄せて、目を閉じる。
このまま時が止まればいい。

おまえとふたり…
このまま…


酔っているせいか、それともまだ眠いのか。

無防備に身を寄せる仕草が、まるで甘い誘いのようで、
直江は思わず、空を飛んでいることを忘れて、両手で高耶を抱きしめた。

グラリと揺らいだ箒を慌てて支えながら、
それでも重ねた唇はそのまま熱を増していく。

早く帰ってあなたを抱きたい…

直江の言葉に、高耶は笑って頷いた。

これは魔法。
いつ解けてしまうか、わからないから…
だから急いで帰ろう。

おまえとふたり、もっとひとつになりたいから

 

甘い新年を迎えた二人ですが、このままでは終わらない(笑)
魔法使いの年始、本番はこれからなのです〜♪

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