『ヒートアップ! 第2戦』−3


卯太郎の懸命なジャンプが、寧波のバランスを崩した。
ゴールの淵に当たって撥ね返ったボールに、一蔵と青月が同時に飛んだ。
「まだじゃ。まだ負けん!」
一蔵の耳に卯太郎の声が響いた。
(そうじゃ! オレらはまだ負けちょらせん!)
直江の旦那に、安心して見ててくれって言うたんじゃ。
旦那なら絶対ここでボールを取る。
オレだって! 

伸ばした指の先が、回転しながら飛んできたボールに触れた。
「でえええい!」
雄叫びをあげて、力の限りに腕を振り下ろした。
逆回転になったボールが、卯太郎の頭上に高く上がった。
「行っけぇーっ! 卯太郎!」
だが、ボールを掴んだ卯太郎は、自分でシュートしなかった。

「入れとうせ!」
願いを込めて高耶にパスした。
卯太郎がシュートするものと思い込んでいた全員の予想を裏切り、高耶の放ったシュートは綺麗な放物線を描いて、ゆっくりとゴールに吸いこまれた。
「なんで自分で入れなかった?」
諦めたのか?と問いかける高耶の瞳を、卯太郎は澄んだ目でまっすぐに見返した。
「勝負ですき。勝つために一番ええ方法を取るんじゃち思うたんです。」

負けたくないと、ずっと思っていた。
一蔵さんの活躍を見て、自分もそうなりたいと思った。
せめて一本でも入れたい。おれだってやれるんだってところを見せたかった。
でも本当に大事なのは、負けないことなんだ。
自分でゴールすることじゃない。誰が入れたっていい。
勝ちたいんだ! このまんま負けるなんて絶対イヤだ!

「おれ、諦めてませんき。」
チャンスが来たら入れてやる!
今度こそ。力で負けても気力じゃ負けん!
卯太郎の瞳は、迷いや焦りをふっきって力強く輝いていた。

それを眩しそうに見て頷くと、高耶は小源太の前に出た。
「来い! 一蔵!」
疲労は既に足にきていた。
だが、気力は充実している。
卯太郎の、一蔵の、体から溢れる気迫が力を与えてくれる。
一蔵からのパスを、小源太と競り合ってもぎとると、速攻でシュートした。
シュッと風を切ったボールは、ゴールの真ん中を滑り落ちた。

 

これで両チーム7点に並びました! 卯太郎、がんばってます(^^)
接戦が続いてますが、高耶さんの体力は持つのでしょうか?
あやしい四国弁(笑)こんなキャラなの〜??という声が聞こえそうな・・(滝汗)
どうか大目に見てやって下さい〜(>_<)

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