『ヒートアップ!』−2

 

「せーのっ!」
中川がボールを真上に放り上げると同時に、両側の直江と小太郎がジャンプした。
パァンと乾いた音が響いた。弾いたのは小太郎だ。
ボールは狙ったとおり、嶺次郎の腕にスッポリ納まった。
悔しげな直江を横目に見ながら、小太郎はすぐさまゴール前に走った。

直江は高耶をマークしに走り、兵頭がゴール下、潮は嶺次郎からボールを奪おうと必死に攻勢をかける。
「こんのおぉ。邪魔じゃっちゅうに!」
力づくで押しきるようにして潮から逃れると、嶺次郎は高耶にパスを送ろうとした。
だが直江の大きな体が前にあってパスが出せない。
「小太郎! 行くぜよ。」
大きく腕を振り上げて小太郎にパスをしようとするのを、潮と直江が遮ろうと動いた隙に、嶺次郎は斜め後ろにボールをバウンドさせた。
そのボールの先には高耶がいる。
みごとな連携に、ほおお〜とどよめきがあがった。

さっと素早く直江が高耶を追う。
だがあと一歩の距離が縮まらない。
ゴールまで一気に攻め上がった高耶だったが、ゴール下で冷静に待っていた兵頭にブロックされて、シュートが上手く決まらない。
] リバウンドを取りに行った兵頭の目の前に、すいっと手が伸びた。
「おんし、いつのまに・・」
あっという間にリバウンドボールが、そのままゴールへと押し込まれた。

すとんと着地した小太郎の顔に、かすかに笑みが浮かんだ気がした。
兵頭の拳が震えた。
こんなところにも負けたくない相手がいたのだ。
これだから勝負は面白い。
小太郎を追う視線がキラリと光った。

その後も小太郎が抜群の運動神経で点数を稼ぎ、高耶達の優勢で試合が進むかと思われたが、根性でボールをもぎ取った潮が見事なジャンプシュートを決め、続いて兵頭が正確なショットで一本。
直江が長身とジャンプ力を活かしてダンクを決めると3対3の同点になった。
やがて嶺次郎の投げたボールが美しい弧を描いてゴールに入り、両者は5点で並んだ。
内訳は潮が2本、兵頭が2本。直江は1本を入れた後、高耶の堅いガードに阻まれてボールに触れもしない状態になっていた。
高耶の方は、嶺次郎が1本、小太郎が残り4本で、高耶自身は一本も決めていない。
それは高耶が直江のガードとチームプレーに重点を置いたからで、的確なパスとフェイントに掻き回され、同点にも関わらず直江達は追い詰められている気がしていた。

「どうした、直江。そんな程度で俺に勝てるのか?」
余裕たっぷりな表情が憎らしい。
「あなたの方こそ、同点なんて不本意じゃないんですか。」
冷静を装ってそう言いながら、このまま終わるはずはないとわかっていた。
「これ以上一点もやらない。」
直江の目を見て微笑むと、獲物を狙う野獣のように瞳を燃やして、高耶は攻撃に転じた。

 

第一戦の始まり、始まり〜(笑)
実況中継はいかがでしょうか。試合展開わかります? すっごく不安・・(汗)
勝負はやっと中盤。さあて、結果はどうなるのでしょう〜(^^)

 

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