軟らかな弾力。
動きにつれて絡まり蕩ける熱い感触。
包み込まれ、呑み込まれ、溶けあってゆく感覚に満たされながら、
狂暴なまでの快感を動きに変えて、直江は高耶の中で突き上げ抜き差し、
更なる悦楽を追い求めた。
あなたも感じているだろうか?
快感だけではない、この満たされてゆく幸福を…
届けたい。
感じて欲しい。
あなたに…
痛みと快感の狭間で歪む顔、
切れ切れに上がる甘い喘ぎ声、
全てが愛しくてたまらない。
無意識に直江を締め付け絡みつく高耶の内側が、そのまま心と繋がっている気がして、
どれほど欲情を解き放っても、また離れたくないと思ってしまう。
明け方になって気を失ったようにベッドに沈んだ高耶は、不意に目を開けると、
シーツを握り締めていた手を広げ、不思議そうな顔で見つめた。
「花びら…?」
いつの間に掴んだのか、手の中で揉み潰された赤い花びらが、優しい香りを放っている。
「これはね、薔薇の褥といって、特別な夜をお祝いするポピュラーな方法なんですよ。」
微笑んだ直江は、そう言って高耶の手を唇に押し当てた。
「いい匂いだ…。あなたの香りがする。」
深く息を吸って、シーツに散らばった花びらで、滑らかな肌を擽る直江に、
「も…ダメだっ…こらッ止めろよ…くすぐったいって…」
高耶は笑いながら身を竦めた。
こんなことして、どれだけ今夜を楽しみにしてたんだ?…と突っ込みたくなる直江が、
可笑しくて嬉しくてならない。
抱きしめてくる腕の中で、高耶は笑って目を瞑った。
家では今頃、直江がくれた朝顔が、蕾を開きかけているだろう。
おまえの心を思わせる、優しくて深い青…
「一緒に見よう、直江。きっと…まだ咲いてる…」
眠りに落ちる間際、寝言のような呟きを、直江は優しいキスで吸い取った。
白みかけた空を、爽やかな風が吹き抜ける。
直江は眠る高耶の顔を見つめ、おやすみなさいと囁いた。
咲き始めたばかりの朝顔は、今日でなくとも、また見れる。
だから…
今はまだ、この腕の中で…
そっと高耶を抱きしめたまま、やがて直江も心地良い眠りに落ちていった。
明るくなってゆく空の下、高耶に贈った朝顔と対で育てた朝顔が、
青く美しい花を開こうとしていた。
ー完ー
ようやく完結。お話は、7月の高耶さんの誕生日なのに、もう10月…
こうれんさんにリク頂いたのは、8月のことでした。時間が経つのって早いですね〜(^^;
TOPに戻る