「機動戦士〜僕はなんのために戦い、君は何を守るのか」


【プロローグ〜21世紀概観〜開戦】

21世紀、成長の限界に達しつつあった人類は世界大戦による滅亡を回避するため2つの選択を行った。
ひとつはそれまでの国連に代わる強力な超国家政府:地球連邦(E.F)の設立による世界の統一であり、
もう一方のそれは宇宙への移民である。

前者についてはアメリカ合衆国を中心として多くの血を呑み込みながらも進められ、後者についてはアメリカ中心の国際秩序に反発するロシアを含むヨーロッパ諸国だけではなく、イスラム圏、アフリカ、アジアなどさまざまな
国家・団体が
乗り出していった。
しかし、その中でも、もっとも強力に宇宙移民を進めたのが日本国であった。日本人が宇宙へ乗り出していった背景には21世紀になって頻発した地殻変動が原因とも、資源を求めてともいわているが、正確なところはわからない。
日本人たちは2海外からの移民を受け入れ、だけではなくクローン出生を合法化してまでも宇宙移民へとその情熱を傾けた行った。

ともあれ、2140年代初頭には人類の居住領域は月、ラグランジュポイントの8つのスペースコロニー群ばかりではなく
火星圏、そして少数ながらも小惑星帯、木星圏にまで及んだ。特に月、コロニー群には人類の全人口の20%が居住し
人類社会において無視し得ない存在となっていた。
特に21世紀強力に宇宙移民を進めた日本は移民とその子孫を含む総人口8億人のうち、約9割に当たる7億1千万の国民が月面都市、L3ポイントのコロニー群、火星都市に居住し、そこで日本列島に代わる故郷としていった。

しかし、21世紀に人類が情熱を傾けてきた事業はその目的を果たすことはなかった。
なぜならば、2145年8月15日、世界大戦ははじまってしまったからだ。

地球の資源の枯渇は明らかであり、それに伴って向上した宇宙の経済的/政治的なポジションに制度が追いつかなくなっていた。地球人たちは宇宙居住者を妬み、宇宙居住者たちにとっては目障りな干渉者出しかなかった。
政治、経済、感情すべてのものがもつれ、溝は広がるばかりであった。
そんななか宇宙に完全に依存する日本は地球での孤立を深めてゆき、追い詰められていった。
そして、緊張が臨界点を超えたとき日本は最終的な外交手段に踏み切る。軍事力による事態の打開
すなわち開戦である。

物語は開戦から2年、地球・宇宙での戦線がこう着状態に陥ってしばらくたったその日にはじまる。戦場となった街で、一人の少年と機動歩兵機(モビルスーツ)が、そして人々が運命的な出会いを果たす
少年は血を流し、涙を流し未来を求める。

「君は未来を掴むことができるか。」



 機動戦士 第1話「安室 玲」


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