番外編
【アメリカ竜類の起源】
アメリカ竜類とは第二地球においてkT境界線を生き延び、暁新世初期に北米に生息していた恐竜ならびにその子孫をさす。
第二地球においてもヘリ・クリール類層は存在し、インドデカン高原を形成したマントルプリュームによるイリジュウムほか、地球内部のレアメタルの集積層がありこれを便宜的にKT境界線と呼んでいる。北米では他の大陸と違いこのKT境界の直前直後恐竜化石が観察され、現生恐竜と遺伝子比較をすることでアメリカ竜類の系統をたどれるのである。
以下の恐竜がKT境界線を生き延び、アメリカ竜類となった暁新世初期のアメリカ竜類である。
ティラノサウルス・レックス
白亜紀最大のティラノサウルス類であり、もっとも進化が進んだ種でもあった。
彼らはKT境界を生き延び新生代のテイラノサウルス類の祖先となった。
ティラノサウルス属自体は始新世中期まで生き延び、いかに白亜紀の時点でティラノサウルスが洗練された進化を遂げた生物であったことが分かる。
ティラノサウルス類はハンターとスカベンジャーの2つの顔を持っていたが、乾燥化と寒冷化が進んだ漸新世に、小型のハンター型と大型のスカベンジャー型にはっきりとした分化が始まり、現在では対照的な生態をした生物群を生み出している。
角竜:トリケラトプス&パキリノサウルス
ケラトプス科の角竜は白亜紀後期に北米西部で多様化を遂げた種族である。
しかし、KT境界線を生き延びたのはトリケラトプスとパキリノサウルスの2種類である。彼らは暁新世以降再び多様化を遂げる。
特にパキリノサウルスの子孫は角質の角を伸ばし我々の世界の絶滅大型四足草食獣のような生態系での地位を占める動物を生み出していった。一方、トリケラトプスはティラノサウルスと同じく始新世中期まで生き延びた。洗練された進化が仇となったか
古第三紀においては分化が起きなかったが、中新世にこの系統からネオケラトプス類が登場し、我々の世界で言うゾウやブタのような生物になっていった。現在では大型のネオケラトプス科は竜脚類と共に大形恐竜の主要な部分を占めており、小型種は主要草食動物として生態系の底辺を支えている。一方、パキリノサウルスの系統は更新性ウルム氷期を最後に絶滅した。
ハドロサウルス類:アナトサウルス
ハドロサウルス類は白亜紀後期に北米とアジアで繁栄した恐竜であるが、北米でKT境界線を生き延びたのはとさかのないハドロサウル亜科である。一方、アジアではとさかのあるランベオサウルス亜科が生き延びた。両者は暁新世にはベーリング氷河で隔てられていたが、我々の世界の有蹄類の様な動物へと進化していった。つまり、四足歩行化とイネ科の植物を効率的に消化できる消化管の発達である。彼らは新生代に大きく姿を変えた恐竜の一種であり、暁新世後期にはすでに四足歩行化が進み、新生代には生きる巨大草刈機というべきネオハドロサウルス亜科が誕生している。ネオハドロサウルス亜科は角竜やより草原の生活に適応したエクウスノドン亜科のハドロサウルス類に滅ぼされたが、ネオハドロサウルス亜科らから派生したヒッポポハドロス亜科が東南アジアのデルタ地帯、北ユーラシア・北米の海岸地域に生き延び、我々の世界のカバや海牛類のような地位を占めている。
パキケファロサウルス
恐竜の中でも比較的原始的な特長を残したパキケファロサウルスは唯一、KT境界線を生き延びた恐竜のひとつである。彼らは新生代に通称:イワトビと呼ばれる我々の世界のカンガルーに似た生き物に進化した。彼らが最大の成功要因は小回りの聞くガンガルー型への進化よりも、オウム状の鋭いクチバシを発達させたことにある。イワトビ自体は古第三紀に絶滅したが、小型化した子孫が発達したクチバシを武器に我々の世界の大型げっ歯類やウサギに相当するイマイワトビ類へと進化を遂げている。
テスケロサウルス
第二地球で最も驚異的な生物を挙げろといわれれば、このテスケロサウルスの名前は必ず挙がるだろう。第一次降下調査隊が北米で最初に出会った生物がこのテスケロサウルスであった。テスケロサウルスはKT境界を生き延びただけではなく、属レベルで6500万年間何も変わらない恐竜であった。南米やオーストラリアなど南半球のヒプシロフォドン類が白亜紀の原型を留めていないことと比較するとこのことは驚異的なことである。小型鳥脚類:ヒプシロフォドン類のデザインはすでに中期ジュラ紀に確立しているの。そのこととあわせて考えればテスケロサウルスの事例はいかに彼らが汎用性に優れた生物であるかが良く分かる。
【アメリカ竜類の進化】
1.ティラノサウルス・レックスの末裔
≪フラグロ・アマゾニア≫
【DATA】
学名:フラグロ・アマゾニア
体長:15メートル
体重:13トン(推定)
分類:コロエサウリア ティラノサウルス科
分布:北米、南米、ユーラシア、オーストラリア
植生:腐肉食・魚食
生息年代:更新世〜完新世(現生)
フラグロ・アマゾニアはスカベンジャーに特化したティラノサウルスの直系の子孫である。彼らは第二地球において最大の肉食動物であり更新世の間氷期の間に分布を広げたある意味もっとも成功した肉食動物である。彼らは腐肉を探すため嗅覚が非常に発達している。また魚食性でもあるため泳ぎがうまく、ウォーレス線を越えてオーストラリアに進出した唯一の北半球の恐竜である。彼らはスカベンジャーであるため動きはのろく、のんびりとした性格である。調査によればハンター型のティラノサウルス類に比べ、代謝・知能共に低いという報告がされている。また姿はワニのような装甲に覆われ、普段は尾でバランスをとって低い姿勢で歩いている。前足は完全に退化し、肩甲骨が痕跡程度に残っている程度である。彼らは餌を探すとき、他の肉食動物から餌を横取りするとき尻尾を支えに立ち上がることがある。その姿は祖先のティラノサウルス・レックスの旧復元を髣髴とさせる壮観な光景である。
≪パンテラサウルス・レオ≫
【DATA】
学名:パンテラサウルス・レオ
体長:4.5メートル
体重:0.3トン(推定)
分類:コロエサウリア ネオティラノサウルス科
分布:北米、ユーラシア
植生:肉食
生息年代:更新世〜完新世(現生)
パンテラサウルスはハンター型に進化したティラノサウルス類である。彼らは祖先のティラノサウルス・レックスに比べ狩猟に適応するため体がだいぶ小さくなっている。これは獲物になる恐竜が白亜紀に比べ小型化したこと、竜脚類・大型のネオケラトプス類は群れで狩りをするため大型の体が必要でなくなったことがある。しかし彼らのハンティングスタイルは頭から獲物に突撃するという白亜紀のティラノサウルスの基本を受け継いでいる。そのため獲物までの距離を性格に測るため両目は完全に正面を向いており、また強力なあごの筋肉をもっているため正面から見た顔は丸顔である。頭骨を見ると後頭部は箱型になっており
筋肉を通すための穴、衝撃を和らげるための関節などでかなり複雑な構造になっている。またハンターとして俊足を誇り、モモの筋肉が発達している。
前足はフラグロ・アマゾニアと異なり完全に退化しておらず、一本の爪が獲物への衝突時のセンサーとしての役割をはたしている。しかし、実際にはショックアブソーバ用の分厚い胸肉と羽毛に埋もれておりかろうじて爪先が出ている程度である。
また彼らは、フラグロ・アマゾニアよりも視覚を発達させる方向に進化しており、頭部と尾部先端にコミュニケーション用の飾り羽がついている。彼らは鳴き声と飾り羽の振り方で仲間とコミュニケーションをとるのでる。
彼らは狩猟のため非常に社会性が発達しており、観察によればチンパンジーのような複雑な社会を構成している。また縄張りの境界に後ろ足の爪で模様を描く習性があり、南米に降下した第一次降下調査隊がこれと正面を向いた風貌が人間に似ていることから、第二地球の原住民と誤解したのは有名なエピソードである。
2.角竜の進化
≪エレファンタサウルス・アフリカヌス≫(上)
【DATA】
学名:エレファンタサウルス・アフリカヌス
体長:6メートル
体重:8トン(推定)
分類:角竜 ネオケラトプス科
分布:北米、ユーラシア、アフリカ
植生:草食
生息年代:鮮新世〜完新世(現生)
≪ピグケラトプス・タタラス≫(下)
【DATA】
学名:ピグケラトプス・タタラス
体長:3メートル
体重:0.5トン(推定)
分類:角竜 ネオケラトプス科
分布:北米、南米、ユーラシア、アフリカ
植生:草食
生息年代:更新世〜完新世(現生)
ネオケラトプス類はトリケラトプスから進化した恐竜であり、中新世に草原が広がるのにあわせて登場した恐竜である。彼らの特長は
@頭骨が下を向き、角が真正面を向く
A棘突起肩が発達し肩が盛り上がり、そこに脂肪分をためられる。
B尾が短く、胴体が寸詰まりに見える。
という点が共通している。彼らは主に地表面の草、地下茎や球根、低木を角で倒すなど幅広い特性を持っている。
彼らの生態系における地位はゾウとブタを兼任しているというような感じである。かれらは祖先のトリケラトプスと同様に群れで行動する。エレファンタサウルスは頭部に個体を識別する模様がついている。
また角竜は獣脚類以外でけをもつ恐竜であり、それが彼らの分布を広げた原動力でもあった。
また頭部は角質の鞘に覆われているがこれは祖先のケラトプス科から受け継いだ特徴である。
ちなみにアフリカに降下した第一次降下隊によればエレファンタサウルスの肉は美味であったという。
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