4.メジャー恐竜の系譜
【白亜紀末期のメジャー恐竜達】
白亜紀末期、我々の知っている恐竜達が恐竜時代の最期を飾っていた。
ティラノサウルス、トリケラトプス、パキケファロサウルス、エドモントサウルスetc・・・・
みんな誰もが名前を聞いた事があるものばかりである。
彼らは白亜紀の最末期に生息したゆえに、恐竜が絶滅しなかったら当然彼らの子孫がいるはずである。
誰もが知っている恐竜達は6500万年の時を経て、どのように姿を変えているのだろうか。
あなたが恐竜に興味があれば絶対に知りたいはずだ。
それではメジャー恐竜の子孫達の姿を見てみよう。
【1.パキケファロサウルスの場合】
(左:ゲルシュタット、右:ゲルシュタットのコロニー)
”ゲルシュタット”はパキケファロサウルスの仲間が進化した恐竜である。彼らユーラシアの森林地帯に生息している。
もともと山岳地帯に住んでいた彼らは氷河期の厳しい環境の中、繁殖を一頭の雌(女王)に任せ、繁殖から開放された個体は餌集めに集中するという戦略をとった。蟻や蜂のような社会性昆虫と同じライフスタイルである。彼らは餌を守るため木の上に砦(コロニー)を作る習性がある。これも社会性昆虫と同じである。彼らの砦は我々の世界のビーバのダムにも似ている。
また彼らの石頭はもうすでに群れで順位を決めるのに使うのではなく、外的から巣を守るため致死性の毒をもった武器になってている。パキケファロサウルスの石頭は群れの順位を決めるために進化したと言われるように、社会性が強い恐竜といわれている。彼らのそんな特性が氷河期という厳しい環境で極端に進化したのである。
【2.ハドロサウルスの場合】
”スプリントサウルスは北米のプレーリーに生息している。彼らは白亜紀末期のエドモントサウルスの子孫である。またパラサウロロフスの子孫である鶏冠のあるスプリントサウルスも存在する。ちなみに彼らの場合は尾が極端に短くなっている。
エドモントサウルス,パラサウロロフスを含むハドロサウルス類は白亜紀にはおもに森林地帯に生息していたが、新生代に草原という新たな環境が出現するとそこへ彼らは進出して言った。ハドロサウルス類の特長であるデンタルバッテリー(何度も生え変わる歯を集積した奥歯)は草原という新たな環境に容易に適応できたのだ。その証拠にスプリントサウルスの頭骨は白亜紀のハドロサウルス類とほとんど変化していない。変わったのは彼らの体である。草原でくらすうちに半二足歩行だった彼らは完全な四足歩行に移行した。またすばやく逃げるために脚が我々の世界の馬や鹿のように細長く進化した。そのため彼らの外見は我々の世界の馬や偶蹄類に似たものになっている。彼らの生態もまた馬や偶蹄類に似たものになっている。
【3.トリケラトプスの場合】
”モノコーン”は北米、ならびにユーラシアに生息している。
彼らは白亜紀末期に繁栄した角竜の子孫である。外見は白亜紀の角竜に比べると草原でより早く移動できるようつま先立ちで歩くようになった以外は基本的なデザインに変更はない。頭骨が角質で覆われていること、アンバランスなほど大きな角を持っているが、これらの特長はトリケラトプス(頭骨が角質で覆われている点)、パキリノサウルス(角質でできた巨大な角を持っている点)など祖先に近い白亜紀の角竜でも指摘されているので真新しいものではない。
また群れで行動し、角で群れの順位を決めるなど基本的な生態もあまり白亜紀と変わっていないようだ。
【4.ティラノサウルスの場合】
”グルマン”は南米のパンパに生息するスカベンジャー(死体掃除人)であり、彼らの先祖はティラノサウルスである。ティラノサウルスは白亜紀末には日和見的なハンター(死肉があればそれを漁るし、なければ狩をする。)として暮らしていたが、新生代に他の系統の肉食恐竜の台頭により、巨大化しすぎてしまったためティラノサウルスは狩人としての性格の強いものは淘汰され、よりスカベンジャーとしての傾向が強いものが逆に生き残るという皮肉な事態となった。その証拠に、死体漁りをする彼らは狩をする必要がないため、とうとう白亜紀から退化傾向にあった前足が完全になくなってしまっており,グルマンから祖先のティラノサウルスの姿を想像するのは難しい。