【「新恐竜」の世界】
恐竜の魅力とは何だろう。
それは、彼らが絶滅してしまったからでは、ないだろうか。
地球の陸生大型動物は三畳紀に主竜類→鳥類、獣弓類→哺乳類の大きく2つの系統がうまれた。
中生代は前者が地球を支配した時代だった、恐竜は彼らの代表である。
しかし、白亜紀末の大絶滅で形勢は逆転し、新生代は哺乳類の時代となった。

            そして我々、人類が生まれた。


写真の生き物はペンギンである。彼らも恐竜である。われわれは日常で、動物園で進化した恐竜達の姿を見ることができる。しかし、私たちが見ることがで切るのはあくまでも恐竜の一系統が進化した鳥だけでしかない。白亜紀末65000万年前にティラノサウルスコエルロサウルス類トリケラトプスカミナリ竜ハドロサウルスパキケファロサウルスアンキロサウルス類ヒプシロフォドン類などわれわれが知っている恐竜の多くの系統が絶滅した。
もし彼らが絶滅しなかったとしたら。
今の地球にはどのような生物達が闊歩しているのだろう。われわれの知っている恐竜達はどのような進化を遂げているのだろうか。
恐竜達が闊歩する私たちホモ・サピエンスのいるこの地球とは違う地球。我々がいない地球。
とっても興味深いではないか。いちどどんなところか見てみたい。


しかし、それはわれわれの想像の中にしかありえない世界なのだ。
もし、そんな世界を見ることができたとしたら?
かってそんな疑問に答えた本があった。

『新恐竜〜絶滅しなかった恐竜の図鑑』
(ドゥーガル・ディクソン著、楠田枝里子訳 1988年 太田出版)

これから、ほんの一部ではあるがそのもう一つの地球を紹介しよう。

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1.トロピカルワールド

現在、地球でもっとも豊かな生物相を誇るのは熱帯であることはいううまでもない。
アマゾン、アフリカ、東南アジア、ニューギニアのジャングル、そしてアフリカのサバンナ。
われわれが動物園でみる動物達に多くがそういった地域の出身であることを思い出すといい。
当然ながら、恐竜達が絶滅しなかった地球でも熱帯は豊かな自然にあふれているのだ。


そんな、トロピカルワールドの恐竜達をこれから紹介しよう。



【1.樹上に暮らす恐竜達。】 
  
右の恐竜達は樹上で暮らす恐竜達である。
かれらは、新生代に樹上生活者として進化した
アブロサウルス類と呼ばれる恐竜達である。彼らの先祖は中生代のコエルロサウルス類に属する小型肉食恐竜に進化したのである。白亜紀にすでにミクロラプトルのように樹上性の恐竜は存在したが、鳥への進化の過程で樹上生活をしていた彼らと違い、アブロサウルス類はわれわれの世界のサルやナマケモノにあたる生き物である。

右が
”ギンプ”。南米アマゾンのジャングルに生息し、ハチドリのように花の蜜を吸って生きている。ちなみに世界最小の恐竜である。

左が
”ワスプイーター”。赤道アフリカのジャングルに生息する。蜂や樹上性の蟻を主食としている。木の上で暮らすアリクイのような生き物である。


【2.地上に降りた翼竜】
左の動物は
”ランク”という。
アフリカのサバンナ地帯に生息し、我々の世界のインパラキリンに該当する生き物である。
この動物は恐竜ではない。信じがたいがこの動物は翼竜の子孫である。
翼竜。恐竜が絶滅しなかった世界でも彼らは外洋を中心に空の支配者である。
しかし、いくつかの種類はダチョウのように翼を捨てて地上で生活する道を選んだ。
ニュージランドにはモアやキゥーイに該当する生物が生息している。
ランクは翼を前足に戻し、恐竜との生存競争に打ち勝ちアフリカのサバンナで主要な草食動物として繁栄している。






【3.アマゾン川へ適応した水棲恐竜】
”ウォーターガルプ”
は南米アマゾン川に生息する水棲恐竜である。
現在の動物としてはマナティもしくはカバに該当する。
彼らは白亜紀末期に北米に生息したヒプシロフォドン類の子孫である。
ヒプシロフォドン類は比較的原始的な形質を残す小型の草食恐竜であり、中生代も世界中に生息していた。新生代以降、彼らはアフリカを除くすべての大陸で熱帯雨林、砂漠、高山、シベリアの針葉樹林帯など地球上のさまざまな環境へ適応した種を生み出している。








【4.南米の肉食恐竜】
”カットラスツーツ”は南米のパンパ(アルゼンチン)に生息している肉食恐竜である。彼らはパンパに生息するカミナリ竜を獲物としている。
彼らはコエルロサウルス類から進化した肉食恐竜である。彼らは後述するロッキー山脈に生息する”マウンテンリーパ”の直系の子孫である。
基本的な肉食恐竜の基本形を残しつつも、上あごの前歯を極端に大型に進化させ、カミナリ竜の肉体を出血多量で死ぬまで切り裂くという残忍な狩りをする。



【5.変わらぬ姿の恐竜】
これまで見てきた恐竜・翼竜は私たちの知っている恐竜達と大きく姿を異にしている。
それは白亜紀から今日まで大きく地球の環境が変化したためである。恐竜も生き残れば進化する。進化とは環境への適応、生存に有利なライススタイルへの適応である。当然、姿形も大きく変わってくる。しかし、逆に言うと白亜紀から環境が変化しなければ、ライフスタイルが変わらなければ、我々は今日でも白亜紀とほぼ同じ姿の恐竜を目にすることができる。

左のマダガスカル島に生息
”メガロサウルス”はジュラ紀に生息した同名の恐竜と姿形はほとんど変わらない。白亜紀から今日までマダガスカルでは大きな環境の変化はなかった。また早くからアフリカ大陸から切り離されていたため、外来種の進入もなく恐竜達のライフスタイルも代わらない。そのため、マダガスカル島では今でも白亜紀と代わらない恐竜達の姿を見ることができるのだ。


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