2005年 新種恐竜
ティラノサウルスノ研究
発表年 名前 分類 生息年代 生息地域
2005 ドラゴン・パッキィ 堅頭竜 パキケファロサウルス科  白亜紀末期 北米
2005 ネウケンラプトル 獣脚類 ドロマエオサウルス類 白亜紀後期 南アメリカ
2005 バイトレラプトル(Buitreraptor) 獣脚類 ドロマエオサウルス類 白亜紀後期 南アメリカ
2005 ファルカリウス 獣脚類 テリジノサウルス類 白亜紀前期 北米
2005 アウロラケラトプス 原始角竜 白亜紀前期 アジア
2005 ホンシャノサウルス 角竜 プシッタコサウルス科 白亜紀前期 アジア
2005 蘭州竜(ランゾウサウルス) 鳥脚類 イグアノドン科 白亜紀前期 アジア
2005 ジンフェンゴプテリクス 始祖鳥類 ジュラ紀後期 アジア
2005 ブラキトラケロパン 竜脚類 デクラエオサウルス科 ジュラ紀後期 南アメリカ
2005 ペトペンナ 獣脚類 ドロマエオサウルス類 ジュラ紀中期 アジア
【 右より べトペンナ ドラゴン・パッキィ 蘭州竜(ランゾウサウルス)

メール:a9609477@mvd.biglobe.ne.jp

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≪南米でのラプトルの発見≫

2005年は南米でのドロマエオサウルス類のニュースがあった。南米・アフリカ・オーストラリアインドといった南半球のゴンドワナのゴンドワナ大陸はジュラ紀に北半球のアジア・北米のローラシア大陸と分離したといわれており,そこに棲む恐竜も一部の例外を除きジュラ紀の恐竜の系統の子孫であった。

しかし,南米で白亜紀ローラシアの代表的恐竜であり鳥類に系統的に元も近い恐竜であるドロマエオサウルス類が発見されたことは,すでに地球上の大陸がひとつであったジュラ紀には鳥類へ続く系統の恐竜は出揃ってたことを示す。南米では原始的な鳥類の化石が発見されており。鳥類の進化が南米でもおこった可能性も指摘されている。

【右上段】 ネウケンラプトルの脚の化石。
ドロマエオサウルス類の特長の鉤爪がある。

【左上段】 ネウケンラプトルの復元図
【右下段】 バイトレラプトル 復元図
鳥類のような口ばしがありこれはドロマエオサウルス類ではこの恐竜だけの特長である。
【左下段】 バイトレラプトル 全身骨格標本
≪南米でのラプトルの発見≫
《参考;白亜紀ゴンドワナの恐竜》
【上段右より】
 ティタノサウルス:ゴンドワナで一般的なカミナリ竜
 カルノタウルス :ゴンドワナで繁栄したケラトサウルス類
 アフロベナル  :アフリカのカルノサウルス類
 二ジェールサウルス
    :北半球の鳥脚類に似た歯を進化させたカミナリ竜
 ミンミ:オーストラリアに生息したスケリドサウルスの子孫
【中段段右より】
 ラホビナクス   :マダガスカルに生息した原始鳥類,始祖鳥に似ている。
 マカシアサウルス
    :マダガスカルに生息した小型のケラトサウルス類,出っ歯が特長。魚食性だったらしい。
 クリトサウルス
    :白亜紀末期に北半球から来たハドロサウルス類。逆にカミナリ竜が北米に進出した
【下段】
 スピノサウルス
    :魚食性のスピノサウルス類はゴンドワナで進化し、
     ヨーロッパ〜アジアにも生息し,日本でも化石が見つかっている。

【上】 ペドペンナ :ジュラ紀中期に生息したマニラプトラ類。脚にミクロラプトル・グイのような翼
            がある。始祖鳥の生息したジュラ紀後期以前に羽毛を持ったマニラプトラ類
            の化石が発見されされてなかったことが鳥と恐竜の関係性を否定する論拠
            となっていたが,南米のラプトルの発見とぺドペナンの発見で始祖鳥登場以前
            に鳥へと繋がる恐竜の系統が揃っていたことが有力となった。

【左上段】 ジンフェンゴプテリクス :始祖鳥と同時代(ジュラ紀後期)に中国に生息した始祖鳥類
                      (右が化石写真/左が化石スケッチ)

【左中段】 始祖鳥の10番目標本 :この標本により始祖鳥の脚の形がドロマエオサウルス類と
                      同じであるとわかり『最初の鳥』始祖鳥が恐竜ではないか?
                      との説が出てきた。
                      恐竜と鳥は線引きが出来ないほど連続していることが分かる。
                      (右が化石写真/左が骨格復元図。脚の爪に注目)

【左下段】 白亜紀前期の中国に生息した最古のくちばしを持った現代型鳥類

 
≪南米でのラプトルの発見≫
獣脚類でありながら草食という変わり者の恐竜の
テリジノサウルス類の祖先型動物が北米の白亜紀
前期の地層からみつかった。

ファルカリウスと命名されたその恐竜は肉食から草食に移行する段階の歯(肉切歯が小さくなり植物をすりつぶすような形)をもち,また植物を発酵させるため
骨盤が他の獣脚類に比べ幅広になっていた。

これらの特長から彼らはテリジノサウルス類が肉食
から草食へと移行する段階の雑食恐竜ではと考えられている。




【右上段,左上段】 ファルカリウス 全身骨格
【右下段】      ファルカリウス 生態復元
【左中段】      ファルカリウス 頭骨
【左下段】      ファルカリウス 歯    
 
≪南米でのラプトルの発見≫
ブラキトラケロパンはジュラ紀中期に南米に生息したディオクレ
オサウルスのなかまのカミナリ竜である。カミナリ竜は長い首
をもつのが特長だが,彼らは極端に首が短く姿はのちの時代
の鳥脚類のシルエットに良く似ている。これは地表の植物を
食べるための適応だったらしい。
ちなみに同時代のアジアにはオメイサウルスやマメンキサウル
スのように極端に首の長いカミナリ竜が生息していた。
《参考;恐竜→鳥への道》
ラゴスクス
【主竜類】
・半直立歩行段階
エオラプトル
【恐竜・獣脚類】
・直立歩行
・二足歩行の獲得
マジュンガルスト
【恐竜・獣脚類・ケラトサウルス類】
・脚の親指が短くなる
・鎖骨・気嚢の獲得
アロサウルス
【恐竜・獣脚類・テタヌラ類】
・尾がピンと張る
シノサウリプテリクスティラノサウルス
【恐竜・獣脚類・コエロサウルス類
・手の指が3本以下になる。
・繊維状の羽毛を獲得
オルニトムミスガウデプテリクスアラシャンサウルス
【恐竜・獣脚類・マニラプトラ形類
・肩が上下に動く/手首が左右に動く
・羽軸のあるの羽毛を獲得
ミクロラプトル・グイバンビラプトルディノニクス
【恐竜・獣脚類・エウマニラプトラ類
・鋭くカーブした鉤爪
・左右非対称の羽毛を獲得
・親指が後ろ向きになる。
孔子鳥
【鳥類類】
・羽ばたいて飛ぶ
・首がS字で長くなる
・尾が短くなる
・胸肉をつける竜骨突起を持つ
《参考:テリジノサウルスのなかま》
【右より アラシャンサウルス,内蒙古竜,ベイピャオサウルス(三種とも白亜紀前期の中国に生息)ノースロクス(白亜紀中期北米)テリジノサウルス(白亜紀後期アジア)
【右】 ブラキトラケロパン の頚骨と背骨の化石。 【左】骨格図とシルエット
【右】 ブラキトラケロパン の生態復元図   【左】 ブラキトラケロパン(手前)とセイスモサウルス(奥)のシルエット比較
《参考:首の長いカミナリ竜》

【上】 バロサウルス
    カミナリ竜(竜脚類)が首が長いのは
     ・高所の植物を食べるため
     ・体を動かさずに広範囲の植物を
      食べるため
     ・表面積を広げ効率よく放熱を
      するため
   などの説がある。

【左上段】 マメンキサウルス
【左下段】 オメイサウルス
   二種類ともジュラ紀の中国に生息し
   体長の半分が首という恐竜である。
≪南米でのラプトルの発見≫
蘭州竜(ランゾウサウルス) は中国内陸部甘粛省の白亜紀
前期の地層から発見されたイグアノドン類である。彼らは長さ約14p,幅約7.5pと草食恐竜の歯単独としては最大の大きさを持っているちなみに体長は10mとイグアノドン類としては普通の大きさである。

【右】 中国学会誌表紙の蘭州竜(ランゾウサウルス)の歯
【中と左】 蘭州竜(ランゾウサウルス)の全身骨格
       左写真には足跡の化石も見られる。
《参考:アジアのイグアノドン類》
【右より プロバクトロサウルス(中国)   フクイサウルス(日本)   アルティヌス(モンゴル)
≪南米でのラプトルの発見≫
 ドラゴン・パッキィ は正式な学名はつけられていない。
 この恐竜は6500万年前の白亜紀再末期に生息して
 いた小型恐竜である。スティギモロクのような刺がある
 一方でアジアの堅頭竜のような平らな頭をしているのが
 特長である。

 従来恐竜の多様性は6500万年前のKT境界線に向けて
 徐々に減っていたと言われていたが,この発見から
 小型恐竜では白亜紀の最末期まで多様化がすすんで
 いたことが伺え,恐竜の絶滅論争に一石を投げる発見で
 ある。


【右】 ドラゴン・パッキィ の頭骨化石。
【左】 ドラゴン・パッキィ の生態復原。
《参考:最期の恐竜》
【北米】
ティラノサウルス
トリケラトプス
トロサウルス
アナトサウルス
アンキロサウルス
バンビラプトル
トロエドン
キロステノテス
オルニトムミス
テスケロサウルス
パキケファロサウルス
スティギモロク
レプケラトプス
【アジア】
オロロティタン
ナンシュウンゴサウルス
【欧州】
ヒプセロサウルス
アンペロサウルス
ラブトドン
ビロラプトル
タラスコサウルス
【マダガスカル】
ラホナビス
ラぺトサウルス
マジュンガルスト
マカシアサウルス
テリジノサウルス
タルボサウルス
タラルルス
アム-ルサウルス
マンチュロサウルス
サウロロフス
【インド】
ラジャサウルス
ブルハスカヨサウルス
【南米】
サルタサウルス
アベリサウルス
クリトサウルス
≪南米でのラプトルの発見≫
【右】 アウロラケラトプス 頭骨
【中】 ホンシャノサウルス 頭骨
【左】 ホンシャノサウルス 全身骨格
2005年は白亜紀前期に生息していた角竜
の祖先動物の化石が見つかった。
アウロラケラトプス,ホンシャノサウルス
である。

アウロラケラトプス
はプシツタコサウルスと
角竜が分かれた段階の原始的な角竜に当
たる。一方,
ホンシャノサウルスは角竜と
堅頭竜の共通の祖先動物と
プシッタコサウルスとの中間生物に当たる。
《参考:初期の角竜》
プシッタコサウルス
チャンヤンゴサウルス(角竜と堅頭竜の共通祖先)
リャオケラトプス(プロトケラトプス科とケラトプス科の共通祖先に近い初期の角竜)