カトマンズ
キルティプール
  Kirtipur



キルティプール バーグ・バイラブ寺院
 


  カトマンズの西南の丘の上にある古都キルティプール。今でこそカトマンズ郡の1都市でしかないが、かつては独立したネワール人の王国であった。ネパールを統一したゴルカ王プリトゥビ・ナラヤン・シャハ(1723〜75)がカトマンズ盆地を攻略した際、最も苦戦したのがキルティプールであった。1768年の攻略戦は半年に及ぶ。1990年の民主化運動の際にも、解放区が設けられ、政府に対する最も激しい抵抗を行われるなど、住民の反骨精神は未だに残っているようだ。
    



丘の麓のバス停周辺
 


  カトマンズのバスパークからキルティプール行きのマイクロバスに乗って約30分。キルティプールの丘の麓のバザールに着く。ここからは階段を上ってキルティプールの町へ入る。
  



階段の入り口


 


 キルティプールへ行くにはどの階段を上ってもよいが、かつては12の門があったという。
  



門の一つ
 

◆チランチョ・ビハール(Chilancho Vihar) 



チランチョ・ビハールの入り口
 


 門をくぐってしばらく階段を上っていたら、行き先に古びた門を発見した。チランチョ・ビハールである。
 

 

チランチョ・ビハール
 


 チランチョ・ビハールは中央にストゥーパ(仏塔)があり、その周りを4つのストゥーパと、数多くの像やオブジェが取り囲んでいる。
   
 



中央のストゥーパ


周りを取り囲むストゥーパ
 

  
 ストゥーパの裏手にあるシカラ様式の尖塔はロハン・デハル(Lohan Dehar)である。
  

 

ロハン・デハル
 

◆バーグ・バイラブ寺院(Bagh Bhairab Mandir) 



キルティプールの街並み
 

 
 キルティプールは2つの丘からなる。チランチョ・ビハールのある東側の丘から、西側の丘へ向かって歩く。いったん丘を降りて低地に降り立った。
     
 

 

 


 キルティプールの人びとの生活が垣間見れる。
 しばらく行くとバーグ・バイラブ寺院(写真一番上)の入り口が見えてきた。
   



バーグ・バイラブ寺院の入口
 


 バーグ・バイラブ寺院にはバーグ・バイラブ神が祀られている。この神はシヴァ神の化身で、虎の頭と人の体を持つ。
 
 



バーグ・バイラブ寺院
 

   
 バーグ・バイラブ寺院は3重の屋根からなり、その壁には刀剣の装飾が施されている。これは、キルティプールがプリトゥビ・ナラヤン王によって征服された際に、敗北したネワール軍が用いていた武器であるという。
   

  

壁の上部には刀剣が飾られている
 

   
 また、水牛の角で飾られた壁もある。
  



水牛の角の装飾
 

    
 入口の扉の上の装飾は、ガルーダにまたがるヴィシュヌ神が上部にあり、その下の中央にバイラブがいる。バイラブの左隣がガネーシュ、右隣は女神クマールである。
  



入口の装飾
 

     
 バーグ・バイラブ寺院の右側の祠堂にある女神像は衝撃的である。その女神は出産中であるらしく、下腹部から子供の神様が顔を出しているのだ。実に生々しい。子宝に恵まれない女性や、妊娠中の女性が祈願に訪れるとのこと。
 たまたまその場にいたキルティプールの住人が、ぜひ見てみるといいと教えてくれたのだが、うっかりして女神の名前を失念してしまった。シヴァ神の妻パールバティだろうか?
  



出産中の女神像
 

      
 バーグ・バイラブ寺院は眺望が良く、カトマンズの町が一望できる。遠くにはスワヤンブナート寺院も見えた。
  



バーグ・バイラブ寺院から見たカトマンズ
中央やや左の丘の上にスワヤンブナートがある
 

◆ウマ・マヘシュワール寺院(Uma Maheshwar Mandir) 



ウマ・マヘシュワール寺院が見える
 

  
 今度はキルティプールの西側の丘へ向かう。ウマ・マヘシュワール寺院が見えてきた。
  



 

   
 ウマ・マヘシュワール寺院へは、やや急な階段を上る。
   



ウマ・マヘシュワール寺院
 

 
 ウマ・マヘシュワール寺院は3重の屋根。1673年の建設当初は4重の屋根を誇っていたそうだが、1934年の大地震で大きな被害を受けている。
 寺院の正面には2頭の象が控える。
  





 

   
 2頭の象をよく見ると、足で何者かを踏みつけている。また、背中には人が跨がれないように棘がついている。
  



シヴァ神とパルバーティ女神像
 

  
 ウマ・マヘシュワールはシヴァ神の化身。寺の中央にもシヴァ神とその妻パールバティ女神の像が建っている。同じ2人の像は寺院の外にもあった(写真下)。
     



シヴァ神とパルバーティ女神像
 

  
 シヴァ神と言えば、そのシンボルが男性器(リンガ)であることからもわかるように、とてもエッチな神様である(笑)。彼を祀った寺院の多くには男女交合図が描かれていることが多い。そこでこのウマ・マヘシュワール寺院はどうかと思って探してみた。
  





 


 すると…
 お、あったあった。
  



 


 え!?
 



 


 まあ、なんと!?
 う〜ん。ウマ・マヘシュワールの交合図は大胆である。
 バーグ・バイラブ寺院の出産女神もそうだったが、キルティプールの人は性的に奔放なのかもしれない(笑)
    



 

 
 こうして、キルティプールの町を後にした。
   



もう一つのキルティプールの門


 

  
 行きとは別の門を出て丘の下のバザールへ出た。そこから再びバスに乗ってカトマンズへ。
 キルティプールの町は、カトマンズのように車が走っていない。店も少なく客引きもいなければ、観光客も少ない。静かに散策するにはうってつけだ。昔のネワールの町並みを感じることができる場所ではないだろうか。
   

(2009年8月28日)


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