| カトマンズ | 
        
        
          
			スワヤンブナート 
			  Swayambhunath | 
        
        
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			丘の上にそびえるスワヤンブナート寺院 
 
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			 カトマンズ盆地内には世界遺産が7つ認定されている。その一つがカトマンズの北西に位置するスワヤンブナート寺院である。小高い丘の上に建っていて、カトマンズのどこからでも見ることができる。 
			 伝説によれば、カトマンズが湖の底であった太古の昔、スワヤンブナートの丘は島であった。そこにやってきた文殊菩薩(マンジュシュリー神)が、剣で山を切り開いたため、水が流れ出し、盆地が現れたのだという。文殊菩薩が剣で切り開いたのが現在のチョーバル峡谷である。ちなみに
			文殊菩薩というのは仏教の神様で、同じ伝承がヒンズー教ではヴィシュヌ神だということになっているそうだ。 
			 
			 カトマンズが湖の底だったというのは、どうやら事実だったようである。その後の地質学の研究によると、それは2万年前とのことである。もしそれが事実なら、スワヤンブナート寺院はまぎれもなくネパール最古。いや世界最古の寺院である。もっとも2万年前は人類すら生まれていなかったわけだから、超古代文明が存在していたというオカルトめいてくる話ではあるが…。 
			 紀元前3世紀にはアショーカ王(前268?〜前232?)がこの地を訪ねたという伝説もあるし、紀元460年代にはリッチャヴィ王朝を築いたマーナデーヴァ1世(在位464頃〜505頃)がこの地に寺院を築くよう命じたという記録もあるという。いずれにせよネパールでも古くからある寺院であることは間違いないだろう。 
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			チェトラパティ・チョーク 
			ここから西(右手)へひたすら進む 
 
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			 スワヤンブナートへ行く方法はいくつかあるが、タメル地区からだったら歩いても30分ほどでたどり着く。タメルの南のチェトラパティからとにかく西へ進めばいい。しばらくいけばスワヤンブナート寺院が丘の上に見えてくるから、それが目印になる。 
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          | ◆インドラヤニ寺院(Indrayani 
			Temple) | 
        
        
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			インドラヤニ寺院入り口 
			 
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			 スワヤンブナートの少し手前でヴィシュヌマティ川を越える。そのほとりにあるインドラヤニ寺院はぜひとも訪ねておきたい。 
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			インドラヤニ寺院 
 
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			 インドラヤニ寺院の本堂は色鮮やかな三重の塔。その壁の支柱には色鮮やかな彫刻が彫られている。中には官能的な模様もある。 
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			インドラヤニ寺院の壁 
 
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			 インドラヤニ寺院のすぐそばを流れる川には葬儀ガートがある。この日、たまたま葬式の行列に出くわした。めったに見られないものでもあるし、不謹慎かもしれないが、こっそりと撮影をし
			てしまった。 
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			葬儀の行列 
 
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			 この後、川辺の葬儀ガートに遺体を持って行き、焼くのだろう。 
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			葬儀ガート 
 
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          | ◆ソババグワティ寺院(Shobhabaghwati 
			Temple) | 
        
        
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			ソババグワティ寺院 
 
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			 インドラヤニ寺院から川を渡った対岸にはソババグワティ寺院がある。 
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			ソババグワティ寺院 
 
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			 壁に鮮やかな神様の像が飾ってあるなど、それなりに見どころの多い寺院である。 
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			ソババグワティ寺院の神像 
 
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          | ◆ビジェシュワリ寺院(Bijeshwari 
			Temple) | 
        
        
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			ビジェシュワリ寺院 
 
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			 ソババグワティ寺院から急な石段を上るとビジェシュワリ寺院に出る。 
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			 寺院の中に入ると仏塔が立ち並ぶ。どうやら仏教寺院のようであるが、ここからは代表的な仏教寺院のスワヤンブナートが近いのだから当たり前だ。 
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			ビジェシュワリ寺院 
 
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			 ビジェシュワリ寺院から、小さな三重の塔の横を抜けて、スワヤンブナートのほうへ向かおう。 
			 スワヤンブナートの東階段まではほぼまっすぐ一本道。寺院が丘の上に見えるにつれ、土産物屋なども増えてくる。だんだんスワヤンブナートが近づいている。 
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			スワヤンブナート寺院へ続く参道 
 
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          | ◆東階段から | 
        
        
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			スワヤンブナート東階段の入り口 
 
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			 茶店などが並ぶにぎやかな場所に出たら、そこがスワヤンブナートの入り口。ここから上るのが一番オーソドックスな方法と言える。 
			 階段の入り口には色鮮やかな門がある。 
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			階段入り口にある足跡 
 
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			 その門のすぐ手前には、仏足石があり、石の上に足型がある。スワヤンブナートを開いた文殊菩薩のものとも、釈迦のものとも言われている。日本の寺院で見る仏足石はやたらと大きいものがあるが、ここのは普通の人間と同じぐらいの大きさである。 
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			3人の仏陀像 
             
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			 さてここから長い階段を上ることになる。とあるガイドブックによると全部で385段あるとのことだが、実際に僕は数えたことはない。なお、この階段が作られたのは17世紀、プラタップ・マッラ王(在位1641〜74)の時代とのことである。 
			 その階段を上りはじめてすぐのところに3人の金色の仏陀像が座っている。 
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			左がヴィシュヌ神、右がガネーシュ神 
             
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			 階段はところどころが踊り場のようになっていて一息つくことができる。3人の仏陀像から登ってすぐのところ、階段の両脇に白い祠堂があるが、ここからが本格的な階段といった感じ。白い祠堂は左側にガルーダに乗ったヴィシュヌ神、右側にガネーシュ神が収まっている。 
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			 さらに階段を登ると、またしても踊り場があり、3人の仏陀像が見えてくる。ふもとにいたのよりは一回り小さい。ここらでちょうど半分ぐらいであろうか。 
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			マヤ・デビのレリーフ 
 
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			 この踊り場に一つ興味深い石のレリーフがあった。「マヤ・デビ」と書いてあるが、これは釈迦ことゴーダマ・シッダールタの母。このレリーフはシッダールタが生まれて7日目に歩いて天地を指差したという伝承に基づいたものである。 
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			 この辺りから階段は険しくなってくる。登っているとすっかり汗だくになる。僕を見かけて乞食が寄ってきたが、はっきり言って相手をしている余裕はない。ひたすら登るだけ。 
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			ガルーダと孔雀              ゾウとライオン 
			   
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			 頂上に近づいてきた。階段の両側に様々な動物の色鮮やかな彫刻がある。ヴィシュヌ神の乗り物であるガルーダを始め、孔雀、馬、ゾウ、ライオンである。 
			  
			 ライオンのすぐ上の左側に料金所があり、外国人はここで100ルピー(約200円)を払わなければならない。そこを過ぎると頂上である。 
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            ◆西駐車場から | 
        
        
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			西側入り口 
			 
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			 300段以上の階段を登るのが面倒な場合は、タクシーで中腹までいくことができる。 
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			金色の仏像の建つ噴水 
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			 門をくぐると広場があり、金色の仏像の建つ噴水や、ミニチュアのストゥーパがある。 
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			ストゥーパ 
 
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			 さすがに、頂上にまで行くには多少は階段を登らなければいけないが、このルートをたどった場合、階段は10分ほど登る程度なので東階段を行くよりははるかに楽である。 
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            ◆北のバス停から | 
        
        
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			アミデバ・ブッダ公園 
 
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			 カトマンズ中心部からバスでスワヤンブナートへ出かけた場合、スワヤンブナート北側のバス停に着く。ここからスワヤンブナートへ行くという方法もある。 
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			3人の黄金仏陀像 
 
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			 丘のふもとには「アミデバ・ブッダ公園(Amideba Buddha 
			Park)」という公園があるので、まずそこを見学。すると、東階段のものよりも巨大な3人の黄金仏陀像がある。 
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			仏陀像の裏にある石のストゥーパ(?) 
 
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			 黄金仏陀像の座る台座には様々な趣向を凝らされていて、一見の価値がある。 
			 仏陀像の裏には石のストゥーパのようなものがあり、中央に仏像が祀られている。こういったものを一通り見たら、公園のすぐ裏手の階段を登ることにしたい。 
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			北側の階段入り口 
 
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			 階段は東階段ほど急ではなく、15分ほどで西駐車場に出る。だから、体力やお金のない人はこのコースで行くのをお勧めする。 
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            ◆スワヤンブナート寺院 | 
        
        
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			カトマンズの町を一望 
 
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			 いずれにせよ、やっとのことでスワヤンブナートの頂上へやって来た。ここからはこの寺院の見所を紹介していくことにしたい。 
			 
			 東階段を登った場合、登りきった正面にドルジェ(大金剛杵)がある。これはすぐ近くの獅子像と共にプラタップ・マッラ王によって作られたもの。 
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			ドルジェ(大金剛杵) 
 
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			 ドルジェの土台にはチベット暦の十二支が描かれている。見ていくと、酉が普通の鳥で、亥が豚というところが日本のものと違う。 
			   
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			あれ、ドルジェはどこ? 
 
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			 ちなみに、数ヵ月前にここを訪ねた時は、ドルジェが無かった。修繕でもしていたのだろうか。 
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			スワヤンブナート・ストゥーパ 
 
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			 スワヤンブナート寺院のシンボルは巨大なストゥーパ。絵葉書やガイドブックでおなじみの、カトマンズのシンボルともいうべきもの。 
			 広場の中央の白い台の上に四角い柱が建ち、四方に目が描かれている。この目は仏陀の目で、四方を見据えているのだそうである。 
			 目の下にある模様はネパール数字の「1」。ずっと僕は鼻だと信じていた。 
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			アナンタプラ・シカラ 
 
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			 さて、スワヤンブナートを見て回ろう。チベット仏教のルールに従って時計回りで回らなければならない。東側階段で登ってきた場合、ドルジェのある場所から出発することになる。 
			 ドルジェのある場所に向かって左側に白いシカラ様式の寺院がある。それは1646年に建てられたアナンタプラ・シカラ(Anantapura 
			Shikhara)である。これと対になったもう一つのシカラが、右側にもあるが、これは後で見ることにする。 
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			パティ 
 
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			 東階段から見ると裏側になるが、そこにはパティがある。パティとは、巡礼者のための宿泊施設のこと。2階はカギュ派のゴンパになっている。 
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			仏教博物館 
 
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			 パティのすぐ左手には仏教博物館があり、いろいろな仏像が展示してあるが、それほど見る価値はないかと思う。それだけ周りに面白いものがあるからだ。 
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			タラ女神彫像 
 
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			 パティの正面に2体の女神像が安置されている。これは女神タラの彫像である。左が“白”、右が“緑”と呼ばれている
			が、特にそんな色をしているわけではない。 
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			ハラティ(アジマ)寺院 
 
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			 パティの北にあるのがハラティ(アジマ)寺院(Harati (Ajima)Temple)。ハラティ神は天然痘の女神とのことで、日本でいえば鬼子母神にあたる。なお、アジマ神とはネワール人にとっての名前である。 
			 この寺院は撮影禁止となっていたが、遠くから撮影するぶんには何も問題がなかった。 
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			ゴンパ 
 
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			 ストゥーパの北側にゴンパがある。中は自由に入れるようになっているが、高さ6メートルの観音菩薩像が安置されている。 
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			観音菩薩像 
 
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			 以前、仏陀生誕日にこの寺院を訪ねたことがあったが、急に土砂降りのにわか雨が降ってきた。急遽このゴンパに避難したが、その時は同じような人たちでここもごった返していた。 
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			プラタプラ・シカラ 
 
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			 ゴンパの前にはプラタプラ・シカラ(Pratapura Shikhara)がある。先ほど見たアナンタプ・シカラと対になったものである。 
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			風の象徴ヴァユプル 
 
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			 スワヤンブナートにはこの他、水風土火空の各元素を象徴がある。これを探すのも面白い。 
			 風の象徴ヴァユプル(Vayupur)と土の象徴ヴァスプル(Vasupur)はアナンタプ・シカラのすぐ裏手にある。 
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			土の象徴ヴァスプル 
 
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			 ストゥーパの北側には水の象徴ナグプル(Nagpur)がある。 
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			水の象徴ナグプル 
 
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			 火の象徴アグニプルは、西のはずれにひっそりと建っている。 
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			火の象徴アグニプル 
 
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			 アグニプルの左には大きな仏陀像がある。「ディパンケル・ブッダ(Dipanker 
			Buddha)」という名前で、7世紀に作られたものだそうだ。 
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			ディパンケル・ブッダ 
 
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			 最後の空の象徴シャンティプル(Shantipur)は、少し離れたところにある。アグニプルの前から北のほうにしばらくいった突き当たりにある。 
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			空の象徴シャンティプル 
 
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			 シャンティプルのすぐそばには黄金色の仏陀の座像もある。 
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			黄金の仏陀像 
 
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			 さて、スワヤンブナート寺院は別名を「モンキー・テンプル」という。その名の通り、猿が多い。 
			 寺院のあちらこちらを猿たちが我が物顔で歩いている。 
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			スワヤンブナートの猿 
 
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			 そして、こんな丘の上にまで野良犬がおおぜいいたりする。 
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			チベット仏教旗の中で眠る犬 
 
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			 日本では「犬猿の仲」といって犬と猿は仲が悪いものと相場が決まっているが、どうやらこの国ではそんなことないようだ。 
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             (2008年10月29日)  | 
        
        
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            (追記) | 
        
        
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			 その後ある人から、スワヤンブナートは日の出を見なければだめだと言われた。そこでとある早朝スワヤンブナートへ出かけてみた。 
			 朝6時少し前。まだ暗いうちにカトマンズの町は起きて動き始めていた。自転車で20分。スワヤンブナートについた頃にはすでにだいぶ明るくなってきていた。驚いたことに朝6時過ぎという早い時間にもかかわらず、スワヤンブナートはかなりの人で賑わっている。ネパール人の信心深さには敬服する。 
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			 6時25分。太陽が東の空から顔を出した。すると、見る間に空へ上っていった。 
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			 考えてみたら、ネパールで日の出を見たのは、初の日の出を見に行った2008年元旦のナガルコットが唯一の経験であった。 
			 この日はまだ秋の頃で、カトマンズに霧は出ていなかった。冬の霧深い朝などは、スワヤンブナートが海にぽっかり浮かんだ島のように見えるとのこと。それは、カトマンズが湖の底だった伝説を思い起こさせるとのこと。 
			 どうやらもう一回、早朝のスワヤンブナートに行く必要があるようだ。 
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             (2008年11月9日)  |