ECCの想い出

講師プロフィール
英語のクラス写真
ハロウィーン2004

    ハロウィーン2003

 1985年春、板橋区の前野町で「ECC前野台教室」を開講して以来20年間、英語を通じて実に多くのこどもたちと生活をともにしてきたような気がする。 幼稚園や小学校の小さな生徒たちが一週間ごとに成長して、いつのまにか中学生になり、高校生になって行く様子は何にたとえたらよいのだろうか。

 母親なら自分の子どもを毎日見ているから成長の度合い少しずつで、変化にさほど気がつかない。 ところが一週間毎というのはコマ落としの映画みたいなものかもしれない。 ある日突然見上げるようになった生徒の背の高さに呆然としたり、 顔立ちの変化に戸惑ったりする。 

 英語を教えると言う事は、外国の言葉をむりやり詰め込むのではなく、生徒それぞれの性格を理解し、優しい言葉のふれあいがなければうまくいかないと思う。 時にはエンターテイナーに徹して生徒の心を惹き付けたり、時には叱って教室の空気をきりりとさせたり、「ホームティーチャー」はかなり神経を使う仕事だ。

 開講した初日は緊張のあまり、授業が終わったとたんに激しい頭痛をおこし先が危ぶまれたがて、なんとか20年間頑張ってこれた。 振り返るとたくさんの想い出があるはずなのにいそがしすぎたせいか今はエピソードが心に浮かばない。

 願わくば、おそらく200人以上いたであろう教え子たちが英語を好きになってくれていて、私をほんのちょっとでも覚えていてくれたらそれで十分だと思っている。     ( 2005年4月15日 0:43:35)


1.Nickくんとおしゃれサンダル

 教室を開講した当初の生徒達は特に印象が深い。

板橋区のM団地に住んでいたから友達はたくさん居たけれど、児童英語教室に通ってくれるような小さい子はあまりいない。 親しくしていたYさんの次男で8歳(小3)のNick(愛称)くんが、ひとりだけのクラスでマンツーマンでやることになった。色白で丸顔、眉のはっきりした可愛い少年だ。 英語をリピートさせているうちに、ものすごく上手に読めるようになった。

 面白いことにNickくんは教室に来る時、いつもかかとの高いお母さんのしゃれたサンダルを履いてくる。 その姿がなんともほほえましく、或るときお母さんに何気なく話したら、注意されたらしい。 次に教室に来た時、やっぱり女性用のサンダルを履いてきて眼を泣き腫らしている。 「どうしたの?だれかにいじめられた?」と訊いても首を振るばかり。 気になって後でお母さんに聞いたら、サンダルのことを注意したら「僕の勝手でしょ!」と言って泣き出したそうだ。 「よっぽど気に入ってるのね。」 子どもっておかしいね、と二人で笑ってしまった。 

 ところが一年後の春に彼は進学塾に通うようになった。英語は続けたいと言うので相変わらずマンツーマンのクラスで上級クラスに進んだが、塾の勉強で疲れ果てているのか、5月頃から教室にきて30分もしないうちに目が重くなって机に頭をのせて居眠りをするようになった。 それからだんだん眠りに入る時間が早くなり、とうとう教室着いてから一分で白河夜船・・・ふっくらした頬をテーブルに押し付けて長いまつげを震わせてスヤスヤ眠っているNickくんを見て、しばらく休室するようにお母さんに提案したのはいうまでもない。 次の年には光が丘に引っ越すことになりそれ以来Nickくんには会っていない。

Yさんからの今年の年賀状にそのNickくんが結婚したことが書いてあった。 ( 2005年5月9日 22:47:36)  

                                 つづく