失敗山日記 U−3
10月に凍傷寸前? in 黒倉山  岩手山系,971012日) 
by 山へ行っちゃあいけない男(登山不適格者?)
その2
 リフト乗り場まで歩き、1つ目のリフトを降り、2つ目のリフト乗り場に着いたときだったと思いますが、手のかじかみが強いので、やっと予備の手袋をリュックから出しました。
 濡れた手袋をぬごうとしますが、指がかじかんで自由が利かず、なかなか脱げません。手袋を脱ぐだけなのに、5分程もかかってしまいました。
 そこにリフトの係員が控え所から出て来たので、立ち話を始めました。気温を聞くと、まだ10月の中旬だというのに2℃とのこと。ということは、30分以上撮影をしていたあの吹きっさらしは氷点下であったのではと思われます。

 今度は手袋をはめる番ですが、防水性のレイングローブを着ける前に、防寒用のインナーグローブを着けることにしました。これは女性用ストッキングのように、はめる前は幼児の手ほどに縮んでいます。それを指の1本1本にピッタリ入るよう、これもかじかんだもう片方の手で伸ばしながらはめていくのですが、おそろしく時間がかかります。

 見かねた係員が
「中でどうぞ。」
と勧めてくれるのを、
「まあ、滅多にない経験ですからボトボチやります。どうぞ中に戻ってく
 ださい。」
と、辞退したのが4つ目の失敗。
 やっとインナーを着け、その上からレイングローブを着けるのですが、これもなかなか根気のいる作業となりました。
 結局、両手の手袋を完全に交換するまでに、なんと20分前後かかりました。大袈裟に書いているわけではありません。

 じれったい手袋交換の後、2つ目、3つ目のリフトを乗り継いで、雪のほとんどない駐車場に戻りました。
 かじかんだ手でどうにかキーを回してエンジンをかけます。車内は暖房ですぐに暖かくなったのですが、ふつう1、2分で消える手のかじかみが中々治りません。指に力が入らず、シフトギアさえ片手では動かせないのですから、運転どころではありません。
 結局、車を運転できるほどに指が快復するまで、小1時間もかかってしまいました。

 翌日は車で八甲田に向かいましたが、昼頃に両手親指にしびれ感があることに気づきました。10月の前半だというのに、凍傷の1歩手前までいっていたということでしょうか? 

 翌年リベンジをと思っていましたが、6月の火山性の大地震で、岩手山は登山禁止。何度かお世話になった滝ノ上温泉も被害に遭い、天然記念物の、あの玄武洞も崩落してしまったとのこと。なんとも残念で仕方がありません。
 ところで震源は黒倉山の辺りがだったとのこと。あのゴーンという大音がその前兆とは勿論思いませんが、なんだか心に残る場所ではあります。 

 
*連載の読み物のように、1日1ページずつ読んでいただくのが私の希望です。
 
   
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