わたしも街道をゆく/1988年/九州へ
わたしも街道をゆく 1988年 九州へ

1988年10月8日 東京から福岡へ 本日の走行距離1102Km

 会社を辞めた。これから先、こんな暇な時なんてもうないかもしれない。そう思うと、どうしたって遠くに行きたくなってしまう。そうだ、九州だ(ってJRのコピーみたい(^^;)。
そして、退職を決意した5月から楽しみにしていた、出発の日がやってきた。

10月8日。
 夜12時、いつ帰ってくるかも決めていない、計画なんてないも同然のツーリングが始まる。いい気分ではある。

 いきなり渋滞の首都高をやっと抜け、東名高速へ。海老名SAでお見送りの彼(当時(^^;)と別れてひとり。ここから九州までいったいどのくらいかかるんだろう。最初の宿泊地は、疲れて高速を下りたところTと決めてある。広島くらいまでは行けるかな。
 もう10月、それも夜中とくればとっても寒い。夜中だからかトラックがやたらと多い。夏に東北でコケた後遺症から立ち直っていないので、右コーナー(で、コケた)に来ると体が硬直してしちゃう。こんなことで無事に九州まで行けるんだろうか。

 やっと夜が明け、名古屋での渋滞(なんでこんな早朝から渋滞してんの?)はスリヌケでかわし、養老SAで休憩。あれ?荷物を二重に縛っておいたゴムが1本ない。…うわあ、なんとちぎれてタイヤの軸に巻き付いてる。こ、これってチェーンに絡み付いて切れたの?まったく気が付かなかった。こわーい。下手したら死んでたかもしれない(?)。急に疲れがどっと出た。

 …眠い。とにかく眠い。頭の芯がボーッとして、ガムを噛もうが大声で歌を歌おうが、全然だめ。効果なし。大津SAで休んだ時には、死にそう、というか半分死んでる。九州なんて、地の果てに思える。バイクの陰でぐったりしてたら、大丈夫?って声を掛けられた。…大丈夫じゃないですう。

 なのに一体どうしちゃったのか、名神から中国自動車道に入ったとたん、元気になってしまった。とにかく道はすいているのが気持ちいい。お日さまはポカポカいい気分、空は青いし、さっきまでの苦痛もなんのその。このままでいくと今日中に九州に着けそうだぞ〜。SAのトイレで顔を見れば、排気ガスで真っ黒だし目は充血して真っ赤、きったない顔をしてるのに、なんでこんなに元気なんでしょうか、私は。休憩時間なんてもったいないと、ろくに休みも取らないで走り続け、午後5時半、とうとう関門橋まで来てしまった。

 やったやった、九州に着いた!「福岡県」の標識に、思わず目が潤んでしまう。あああ、嬉しい。夕暮時の関門海峡、金色の日差しが眩しいくらい。きれいな夕日に迎えられ、無事、九州上陸!

 チェックインが午後6時半。つまり18時間半、1,102km、頑張ってしまったということですね。自分の体力にびっくり。VTZもお疲れ様でした〜。
 コンビニのプチ明太子丼にアサヒスーパードライで無事上陸、そして明日からの楽しいツーリングを祈って、乾杯。沁みるなあ。

 ……ねえ、でも今本当に九州にいるなんて信じられないね。


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