03年9月20日(土) 対清水エスパルス戦   5−1で勝利
 台風の影響で午前中から雨。気温も昨日に比べると10度くらい低い。薄暗い天気のせいか気持ちが弾まず、出かけるのが億劫だ。OB戦があるのを知っていたし、井原をはじめ懐かしい選手が出場するので観戦したい気持ちもあったが、けだるさに負けた。

 今日は徒歩で競技場に行く。いつもと違う道を選ぶ。ワールドカップ大橋を越え、第三京浜につながる道を歩く。車の往来は激しいが、歩行者には一人も会わなかった。「バス待機所」という看板を持つ警備員が何人か歩道に立っていた。「アルプスエクスプレス」の観光バス数台が通過していったが、エスパルスサポーターのバス?全然関係ないのかも。

 競技場に着いたのは6時15分頃。2階席に上がる。雨のせいで、いつもより2階席に来る人が多い。アウェイ側の一階席屋根下はオレンジ色に染まっている。屋根下は満員だ。エスパルスの動員力はなかなか大したもの。応援の声も大きく、オレンジ色が膨張色だけに、迫力を感じた。

 スタメン発表。奥のときにひときわ大きい歓声があがった。音楽とともに選手が出てきた。奥が先頭、ゲームキャプテンだ。サインボールを投げ込む。中澤はいつものようにバックスタンドへ。

 私の前には中年のご夫婦と若者3人組。両横は一人で観戦の男性。ご夫婦の奥様の方がかなりノリノリで応援していた。私は恥ずかしいので静かに見ているつもりだったが、結局最後の方はタオルを振り回して応援してしまった。

 今日はマリノス、アウェイ側に陣を取る。だから前半はホーム側に攻めてくる。開始3分。由紀彦のセンタリングに久保が高い打点で合わせシュート!目の前でのゴール1点。「すごーい」と思わず、独り言(というには大きな声)を言ってしまう。静かに見ていた隣の男性たちも立ち上がって手をたたいている。

 その後は互角。お互いプレッシャーが早い。安は位置取りがいいし、シュートを打つタイミングも速いから、やはり怖い存在だ。市川も右側を駆け上がるスピードはさすがだ。ドゥトラが追いつかない。クロスをあげる技術も巧みだ。

マリノスも負けてない。由紀彦も何度も上がってきてボールを上げる。三都主に勝っていたと思う。マリノスはボールを奪うとパスでつなぎ、サイドに振る。マルキもよく走る。守備も落ち着いている。エスパルスもゴールに迫るが最後の所、詰めが甘いと思った。


 前半は1−0で終了。柏より清水の方が強いと感じた。力が拮抗していてワクワクするような試合だ。点を取られるような気はしなかったが、局面局面での争いが見所があった。ただ、久保も奥もマルキもボールを取られても後を追わない。浦和戦では清水も坂田も良く走り回って守備をしていたというが、今日はこのメンバーだから必要ないのかな、と疑問を持ちつつ自分を納得させた。

 ハーフタイム。鳥の群れが飛んでいる。鳩より小さく、雀よりは大きい。背側は黒っぽく、腹側は白い。一斉に群れ飛ぶ様子はムク鳥の様でもあり、それにしては色や形が違うような。「何だあの鳥」「どこから入ったんだ」と周りの人も口々に言い出す。岡田主審が笛を吹いて追い払うが、だめだ。「テレビカメラが追ってるからテレビにも映るんだな。」と前の若者がいう。スポーツニュースにも確かに映っていた。

 後半が始まっても、鳥は低空飛行を続けている。つい鳥に目が奪われてしまう。マリノスはエスパルスの攻勢に晒される。河合は足技では安にはかなわない。柳もトゥットにかわされ、冷や冷やの場面が続く。

 どういうわけかマリノスの応援歌も、聞こえてこない。休み休み応援している感じだ。エスパルスの応援団は雨に濡れる前部席にも出てきて、首を左右に振る可愛い振りの応援で盛り上げる。すごく頑張っている。

 大丈夫かなぁと思い始めた頃に、森岡から三都主にロングボール。DFが詰めるが抜かれ、そこにGK達也が中途半端に飛び出し、ゴール前が空く。三都主からのクロスを安がやすやすと決めて、同点。

 これで目が覚めた。マリノスの攻撃が鋭く、早くなる。
3分後由紀彦FK。柳のヘディングシュート、「ゴール」。みんな立ち上がる。2階席はあまり声を出した応援はないが、柳だけは別。コールしやすい。「ユ、サンチョルっ」みんなで声を合わせて、柳に感謝する。いつも本当にいいところで決めてくれる。同点にされてあまり時間の経たないうちに勝ち越したのは大きい。

 久保から清水へ交代。清水は走り回ってくれるから、守備も攻撃も一段と活性化するだろう。
 するとマルキーニョスへボールが出た。。ドリブルで切れ込んでシュート。3点目。マルキのバック転。エスパルスががっくりくるのがわかった。

 マルキーニョスから坂田へ交代。坂田は入るとすぐにチャンス。ドリブル、DFをかわしてシュート。4点目。
前の若者「坂田っ待ってました!」仲間から「お前、いつから待ってたんだよ、聞いてねぇよ(笑)」。観客席は高揚してしまう。エスパルスのオレンジ応援団は沈黙。

黒河U22韓国戦以来不調?彼は緑のユニでゴールキックの時芝生に同化してしまう。ピッチ君。

 このあと、エスパルス、「1点でも返さなくては」という意地からだろう、攻めが分厚くなる。それを総力でしのぐ。マリノスは無理にキープしたり、つなごうとしたりせず、シンプルに蹴りだす。
(安のハンサムな顔をじっくり見ようと思ったが、こっちを向いている時は危ない時だから双眼鏡どころではなく、そうでないときは後姿で、見られず)。

 マリノスにボールが渡る。奥からドゥトラ、ドゥトラがエンドライン際で粘って、中央へ折り返す。坂田がダイビングヘッドで叩き込む。5点め。

 後は余裕。5−1の大勝利。奥や遠藤も後半はボール奪取にスルーパスに実力を発揮した。柳は勝負どころできちんと仕事してくれる。由紀彦も今日は最後まで走りぬいた。マルキも坂田もドリブルで持ち込んでシュートを決めた。FWなら当然のことながら、エライと思ってしまう

 そして坂田もドゥトラも倒されそうになっても(倒れても)、倒れずボールに食らいついく執念をみせた。あきらめずひたむきにボールを追うこと、これが岡田監督のいう、アイルランドのようなサッカーなのだろう。

 インタビューは遠藤、奥、坂田。遅れてサポーターに挨拶に回る3人は、両手で大きく何度も手を振った。

 帰り道の東ゲート橋、負けた試合は人々は黙々と歩を進めるが、今日は笑いさざめいている。
私もまた、雨の降る暗い夜道を鼻歌を歌いたいような気分で歩いた。

 F・マリノスは3位浮上。本当に強くなったのだろうか。本当に強さを信じてもいいのだろうか。あと一歩のところでやっぱりなぁと思うことに慣れてしまっている。

こうなると、一試合ごと力が入って疲れるよ、と嬉しい悲鳴を上げたくなる。

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