山川惣治と絵物語の世界page1425  

picture  

14.山川惣治のライバルたち 中村猛夫

pict

海野十三原作/中村猛夫絵「大海底魔城」。そのクライマックス・シーン。海面の傾きが素晴らしい。

中村猛夫は、私には江戸川乱歩の少年探偵シリーズの挿し絵で、お馴染みです。「少年クラブ」に連載された「灰色 の巨人」、「黄金豹」、「サーカスの怪人」そして「奇巌城の秘密」の挿し絵はすべて中村猛夫によるものでした。

その中村猛夫は、私の知る限りでは二つの絵物語を書いています。「大海底魔城」と多羅尾伴内シリーズ「復讐の七 仮面」(付録)です。

挿し絵画家なので、「大海底魔城」は、挿し絵の枚数の多い読み物といった風情です。(見開き2頁につき、平均3枚 程度)。「復讐の七仮面」のほうは、もう少し絵物語らしかったように思いますが、記憶が定かではありません。

「大海底魔城」も阿部和助の「ゴジラ」同様、後半では筆の使用がふえています。筆のほうが速く書けるから と思われます。絵物語の別冊付録を書くことが挿し絵画家の精力をすりへらすものであることがうかがわれます。

しかし、ペンと筆の両方をつかったため、おもいがけない効果がでることもあります。上の絵はその成功例と思い ます。手前の人物の顔はペンで、海と炎は筆で描かれています。

pict


岩井川俊一へ
ホームページへ