14.山川惣治のライバルたち 鈴木御水
南洋一郎の「バルーバと片目の黄金獅子」の挿し絵。錦蛇の質感がすごい。
終戦直後に出版された本はざらざらの仙花紙で、戦前にもっと立派な本があり、その焼き直しかと思っていました。
しかし「バルーバ・シリーズ」は、戦後はじめて出版されたものらしいです。たいへん粗末な造本でしか、出版され
なかったもののようです。挿し絵の部分のみ質のよい紙を使っていました。
バルーバこそは和製ターザンであり、ターザン映画が次々に公開されているころ、書かれたようです。「少年王者」
が子供のためのターザン物語であったのに対し、バルーバは大人向けの読み物でした。
バルーバの雄叫びは、ばるうーばあああ、というのであって、それは類人猿のことばで、偉いやつだという意味だ
そうです。(英語のbraveに発音が似ています。)私はこの本を読むとき、心の中でばるうーばあああ、と叫び
ながら読んでいました。なかなか良い響きと思います。
上の絵でたき火の燃えさしを持って走ってくる女の人は、グレースといい、ターザンのジェーンにあたる人物です。
別冊太陽「新世紀少年密林大画報」で鈴木御水の絵が多数紹介されています。横尾忠則は鈴木御水の密林画のファン
だそうです。