アメコミはなぜすらすら読めないか
アメコミはなぜすらすら読めないのでしょうか。
一つには、ストーリーにくらべてコマ数がはじめから少ないのでしょう。絵物語りなみの絵の数なのでしょう。
もう一つの理由は、もともとアメリカン・コミックは英語の文字のように、左から右へ読んでいくものを、日本語に
訳すとき、日本のマンガのように右から左へ読むようにしたので、ぎごちなくなってしまうのでしょう。
(「タンタン・シリーズ」のように左から読ませるようにしたものもあります。)
アメコミを和訳するとき、コマを切りはなして、右から左へ読めるように並べかえているはずです。しかし、一つの
コマの中にも時間が流れているのです。だいたいコマをたどっていく方向と同じ方向に、一コマの中にも時間が流れて
います。アメコミの翻訳は、一つの絵の中のでぎごとの順序が逆になることがあるので、ぎくしゃくするのです。
上の絵は「ブラックホーク」の一部ですが、読むと、なんとなく、ぎごちないでしょう。(右から左へ読みます。
番号どおり。)
これを左から右へ読むようにすると、どうでしょう。書き直してみましょう。下の絵を左から読んでください。
日本のマンガの文字を翻訳しただけのものが、韓国や香港などで出版されていて、評判もいいようです。これらの国で
日本のマンガが出版されるのは、朝鮮語も中国語も縦書き文字で右から左へ読んでいくからです。もし、英語や
フランス語に訳するのなら、鏡像のように左右反対に印刷するか、コマを並べ替えしなければすらすら読めないでしょう。
韓国や中国語圏(香港、台湾)では、あまりコストをかけずに日本マンガの翻訳が可能です。
これらの国で日本のマンガがうけるのは象形文字である漢字が使われているからだ(朝鮮ではハングルと混合)とか、
韓国語が日本語と同じウラル・アルタイ系の「膠着語」であるからだとかムツカシイ事をいう人もいますが、そんな
ことより、右から左へ読んでいく縦書き文字を使っていることのほうが大事と思います。(タイでも翻訳されている
らしいんですが、タイ語は横書きですよね。いったい、どっちから読むんでしょう?)
ちょっとましになったでしょう。