14.山川惣治のライバルたち アメコミ
NANA通信提供「ブラック・ホーク」(昭和29年)。作者名ははいっていません。
「漫画王」や「冒険王」の雑誌にはアメリカンコミックが毎号載っていました。絵柄は絵物語とマンガの中間で、ディズニー的な
丸まっこさのない、なかば直線的な線画です。コントラストの強い陰影がつけられています。「少年王者」の最初のほうは
アメリカンコミックスの影響をうけていると思います。単純な線で描こうとする力強さは、アメリカンコミックスのよい影響
ではないでしょうか。
砂漠の魔王も最初のうちはアメコミそのものの絵柄です。
小松崎茂も「ぼうけんビーバー」でフレッド・ハーマンのアメコミの手法をなぞっています。「ぼうけんビーバー」には、
普段の小松崎茂にはみられない、単純な線による描写があり、とても新鮮です。(「小松崎茂絵物語グラフィフィ」人類文化社刊
に収録。)
アメリカンコミックスのコマ運びは手塚治虫以前のたどたどしさで、ぴんとこないところもあります。逆に、よくわからない
ところを想像力で埋めていく楽しみもあります。現在のアメコミは手塚流のコマ運びを学んでいるのでしょうか。