精度の低い印刷技術
上は「少年倶楽部傑作選・挿し絵口絵篇」に載っている梁川剛一の挿し絵。江戸川乱歩「少年
探偵団」。多分、原画をアート紙に印刷したもの。下は「少年倶楽部傑作選・熱血感動小説集」に載っている、「少年
探偵団」中の挿し絵。「少年倶楽部」の本誌にはこの形でのったものと思われます。
原画の持つ、気味悪い感じがすっ飛んでしまっています。燭台のあかりを比較してください。戦前の少年倶楽部は今の
文芸春秋の大きさですから、それにのせる挿し絵の大きさはもっと小さくなります。ですから印刷した仕上がりを
考えて、大まかな絵か、コントラストの強い絵にしておかなくてはなりません。
松野一夫描く「剛勇荒鷲艦長」の挿し絵(南洋一郎・文)。線が薄いでしょう。