14.山川惣治のライバルたち 岩井泰三
「妖怪ロケット」。尺丈助・文、岩井泰三・絵。昭和31-32年。
岩井泰三の絵がものすごく上手というわけではありません。しかし「妖怪ロケット」はとにかく面白かった。
空飛ぶ円盤の登場するストーリーがおもしろかったので、憶えています。
結局挿し絵画家にとって面白い物語の挿し絵を書くのが幸せなのであって、いくら絵が上手でも、物語が面白くない
と短期連載でおわってしまう。多少、絵に難があっても、本編が面白いと長く続きますから、挿し絵画家も記憶に
残りやすいと思います。「妖怪ロケット」の岩井泰三は「獣人ゴリオン」の白井哲とちょうど反対のケースです。
「獣人ゴリオン」の白井哲はものすごくうまかったが、香山滋のストーリーがいまひとつパッとしなかったので、
すぐ終わってしまいました。
上の絵は主人公たちの乗った空飛ぶ円盤が敵の空飛ぶ円盤とすれ違った瞬間に、怪光線で、両方ともやっつけて
しまう場面です。「ちょうど剣術の名人が、左右の敵を一瞬のうちに切り伏せてしまったようなもの」です。宇宙
空間では煙はでないし、一方にむけて落ちてゆくこともないので、ここはまだ地球の引力圏内であり、大気がある
のでしょうか。