伊藤彦造と岡友彦
岡友彦が人物を描くときしばしば前腕を彎曲させて描きました。身体の外に凸なよう
に彎曲させて描いていました。これは伊藤彦造の影響かもしれません。「少年倶楽部傑作選 口絵・挿し絵篇」に伊藤
彦造の口絵が載っていますが(上の絵。部分。)、月夜に刀を抜いてかざした若い侍の前腕の彎曲が強調されています。
また、下の絵では伊藤彦造描く青年剣士の、剣を垂直に構えた両方の前腕の彎曲が強調されており、いかにも
力が入っているような感じがでています。
伊藤彦造はいつも前腕を彎曲させた絵を書いたわけではありません。まっすぐな前腕も書いています。ところが
それを(多分)マネした岡友彦は前腕を曲げて描く頻度が高いように思います。マネされると、その傾向は機械
的になり、使用される頻度がふえるのだと思います。
(岡友彦「飛竜夜叉」。左の絵の小桜太夫の右うで、右の絵の飛竜夜叉の左腕の彎曲をみよ。)