14.山川惣治のライバルたち 玉井徳太郎
玉井徳太郎の「鞍馬天狗」。
この人の着物姿は流麗そのものです。上の絵は鞍馬天狗と謎の侍・桜町胤保との決闘を描いたものですが、流れるような
線の爽快さをごらんください。
着物姿のスマートさは岡友彦と双璧です。「天馬大流星」という絵物語は、岡友彦作、玉井徳太郎絵で書かれています。
絵柄はお互い影響しあっているかもしれません。
読売新聞が産経新聞の「少年ケニヤ」に対抗して、絵物語「猿飛佐助」を連載したとき、文は壇一雄、絵は玉井徳太郎
でした。
新聞に絵物語を連載したことがあるまれな作家のひとりということになります。
鞍馬天狗は見開き2頁あたり4-6枚の絵が含まれています。挿し絵は通常見開き2頁あたり1枚ないし0枚です。絵物語と
挿し絵の違いは絵のコマ数によるということになります。絵物語ではときに1頁1コマの絵が書かれることがありますが、
その逆の場合---挿し絵で見開き2頁に2枚以上ということは決してありません。