オーウェンはマクラーレン社を立ち上げ
実に60年前に 世界初の折り畳み式の
超軽量チェアの販売を始めました 

その時 折り畳みチェアは「ガタバウトチェア」と
命名され 収納した状態がステッキ状で 
重量が1500グラムと超軽量で持ち運び簡単  
そして座る時 傘を広げるような1回の動作で 
ソファーの座り心地を再現  画期的な折り畳み
チェアとしてニューヨーク近代博物館に
ガタパウトはどんな
  チェアなのか
60年前、日本のキャンプスタイルは、  現在とは大違いの登山とほぼ同じスタイル 家型ビニ
ロンテントに飯ごう キャンプにチェアなど持っていくことなど 考えた事もない時代 勿論、日本
に野外に持ち歩くチェアも、明るいランプも存在しません その頃のキャンプはYWCAなど子供や
一部の青年の野外活動が中心でした

そんな時代にデザインされた。ガタバウトをキャンプチェアだと思っている 日本人が多いですが
1961年(昭和36年)日本では畳時代 やっと高度成長時代に入り テレビ 洗濯機 冷蔵庫
が、やっと全国の家庭に普及して 文化生活が出来るようになった頃です
昭和40年 日本国内は 佐藤栄作首相が 戦後 初めて沖縄訪問 那覇空港で「沖縄が祖国
復帰しない限り,戦後が終っていない」と声明 沖縄は その後7年後の1972年にやっと日本に
復帰そして日本の戦後が終わりました

そんな時代ですが 英国では 古くからフライフィッシング、ハンティング、乗馬、ピクニックなど 
貴族達の 優美な伝統的フィールド文化があり、そこで使う事から考え出されたのが ガタバウ
トチェアだから この椅子は フィールドチェアと呼ぶのが正しいのです
そしてマクラーレン氏が命名したGadabout
の意味を知る事で チェアに求めた開発コ
ンセプトが紐解けます

  [ガタバウト]は どういう意味か 

通訳の方に、[ガタバウト] が持つ、英国人が思う
 言葉のニュアンスを日本語に訳して貰いました 
それは 「さすらい・流離」「るろう・流浪」と訳すの
がイメージではないかと 

海外にハンティングやフライフィッシングキャンプに
行く 貴族的な英国伝統ですから マクラーレン氏
の命名は  とてもチェアを表現していると思いま
ガダバウトチェアは、1961年、イギリスの田舎
でスピットファイア航空機の研究で 有名な元
テストパイロットで航空エンジニアのオーウェ
ン・フィンレー・マクラーレンが、
軽量の耐荷重飛行機構造に関する知識を活か
してチェアを開発 65年会社を設立 ベビーバ
ギー チェアを販売 
世の中にない画期的な折り畳みチェアとして
登場したガタバウトチェアは
2022年 現在でも 重量 強度 収納性 
耐久性 使い易さ 総合的な性能で 
これを越えるフィールドチェアは存在しません
驚くことは この名作が60年前に作り出され
た事です
1983年屈斜路湖湖畔にて 当時はカラーにブラウンが
当時秀岳荘協力で釧路川下見ツアーにて  著者撮影
英国伝統が作り出した
ガタバウトはステッキ
状態になるので、ロッド
ケースやガンケースと
一緒にまとめて航空機
に預けるのも簡単です。
ちなみにチェアが設計された1961年から1970
年中期までは、アメリカは暗いベトナム戦争が
続き、英国はビートルズ時代、日本は安保闘争
から東京オリンピック開催へ 
日本人は まだ街中での生活が一杯で一般人
が休みにキャンプを楽しむ余裕が無い時代でし
名作の座り心地は こんなにコンパクトで軽いのに、「ドッシリし
たソファーに腰掛けている感じです」 気分は サイドテーブル
にウィスキーグラスを置いて くつろぐ心地です 
私の記憶では日本には1970年の中頃 麻布の
スポーツトレインと新宿のA &Fが輸入をしていま
した
当時、チェアは3万5千円で、その頃の一流企業
の大卒初任給(1976年)は 94000円ですか
ら、高額な製品でした

ガタバウトチェアは2000年に生産が終了となり
ましたが 緻密な設計で世に出た ガタバウトチ
ェアは英国の伝統文化と気品を感じる逸品と呼
ぶのに相応しいフィールドチェアです

何故 名作が生産終了したか とても残念な事ですが
2000年に マクラーレン社は破産 管財人としてスイスの家
族に渡りました 本拠地のロングバックビー工場は閉鎖され 
新たに中国 深センに工場を移転して 本拠地をアメリカに移
しました ガタパウトは英国の工場で生産されていたので 新
たな深センであの曲線を出すような高度な技術には対応出
来なかったのか 歴史の中に消えた名品となりました
詳しく知りたい方はウィキペディアを参考にしてください
オーウェン・フィンレイ・マクラーレン  マクラーレン
そして日本でガタバウトチェアをヒットさせたの
は、カヌーイスト作家で、2022年に亡くなられた。
野田知佑氏が カヌーで愛用していたのが 
ガタバウトチェア、(チェアでくつろぐ写真が多数
野田知佑氏の川旅は、ガタバウトの意味 さすら
い、流浪のネーミング そのままの使い方でした
1982年に書かれた 「日本の川を旅する」が
ヒット 多くの人が カヌーに憧れ 
そして折からのキャンプブームで ガタバウト
チェアがキャンプで使われることとなりました 
野田氏のチェアの使い方は マクラーレン氏が
望んだ通りの さすらう 使い方だと私は思い
ます
ガタパウトチェアラボを立ち上げたのは 
このチェアが持つ曲線フレームの美しさです
2000年代に入り 多くのメーカーがコピーまた
は真似をしましたが 軽量 コンパクト 耐久性
ガタパウトを超えるチェアは 未だ有りません

それは真似できない高度な設計にあります  
このガタバウトラボで 新たにレストアをして30
年前のフレームを蘇がえさせたいと始めました
ガタパウトチェアを分解してより愕然としました 

実に細かい設計がされていて チェアに使われ
ているシート地は チェア用に縦糸横糸を変えて
織られた生地で フレームとシートの伸びをマッ
チするように織られてます オリジナルシートか
ら型紙を作り 縫製しても 縫製の仕方に秘密
があり 背もたれが綺麗に仕上がりません 
英国の片田舎に有ったマクラーレン社は凄い
ラボはそんな秘密を解いていこうと思います
航空機エンジニアが手掛けた1961年当時の
フレームは航空機用ジェラルミンだと思います
70年代のフレームは おれ曲がる事がありまし
た 80年代に入った頃に素材を超ジェラルミン
フレーム変えたようで 私の所で長いあいだ
アウトドアイベントで酷使された 30脚のチェア
ですが、フレームの破損1脚のみでした
留め金具ジョイント類は、力のかかる部分はス
チール製で シャフト止めるストッパーを1シャフ
トに2個使い よりジョイント部分のガタからの
破損を防いでいます
特筆することは フレームを椅子状態に
広げた時にバランスを良くするために 
すべてのフレームを曲げ チェアとして組み
立てた時 力のバランスを均一に足に掛かる
ようにしている事です 

1本1本美しい曲線で描かれたライン、こんな
に美しいチェアフレームは他には無いですね
そして曲げ加工した後に ジョイント用ホール
加工が施され 熱処理で仕上られています 
とても手が掛かる製作工程で 特にフレーム
パイプを曲げる技術は流石 レーシングカー
や高級車フレーム技術が 世界で一番の 
英国伝統の技です そしてフレームのみの
総重量1.4キロ、シートの重量は110グラム
左上のフレーム写真に白い点々が見えると思
いますが これがジエラルミンの錆びになりま
す 
このフレームは1990年購入の物で、使用年数は10年
前後で その後はシートの破れなどで倉庫に保管した
ガタパウトになります 何時かチェアとして生き返した
いと言う 思いで30年経過しています
左の写真中の革製はラボ
が製作した ディアスキン
(鹿)製のガタバウトチェア
になります ガタパウトの
秘密を知る為に分解方法
や シート型紙の製作など
ガタバウトチェアラボが 
紹介していきます 
知れば知るほど 素晴ら
しいチェアです

 ガタバウトチェア分解
ガタバウトチェアを分解するのは 至ってシン
プルな道具だけです  メインの留め金を外す
のは細口ドライバーと幅広口ドライバー 
黒いハトメ状のストッパーを外すのに 大型の
ニッパー 4か所アルミリベットで止めてある部
分を分解するのに写真にはありませんが 
小型ドリルと5ミリ刃 グリップカットにハサミと
Oリング外し  留め金を外すのに 滑りが良
いようにオイルとなります
初めて1脚を分解するのは大体 3〜6時間は
掛かるかもしれません
初めに黒いハトメ頭のような金具を外すのは
ニッパーで隙間を挟んで ゆっくり力を入れて
浮かせます 浮いたところにニッパーを奥に
入れて 起こしていきます 左側の一番下
写真が金具が外れる瞬間です 軽いので
カチと力を入れてやると 金具が何処かに飛
んで行ってしまうので気をつけてください

 ドリルを使った シートクリップ、背もたれ
      のアルミリベット外し仕方
カバーが掛かった シート取り付け部分
パイプを覆うカバーを切断するために Oリン
グ外しで 隙間を作ります
ハサミで切断します 厚さが1ミリ位あるので
切る事が上手くいかない時はニッパーで
カバーを切り取るとシートベルト押さえ金具
が見えます 乱暴な扱いだったのか金具
がズレて曲がってますね
シートベルトはこんな感じで取り付けられ
て カバーでフレームからズレないように
固定されています
中央にへこみが有るのがアルミ製のリベット
穴の口径が4.9ミリ程度なので 5ミリサイズ
のドリル刃を使います それ以上太い刃を使
わない
最初に穴の中心に真っすぐに刃を立てて少し
切り込みが 進んだら刃を穴に沿ってゆっくり
回すように切り込んで行きます フレームに最
初から空いている穴を刃で切り込まないように
こんな感じに刃を寝かしながら回して行きます
これがフレームの穴を刃で大きくせずにベルト
が取れた瞬間です
上側についている金属ベルト押さえをはず
と同じようにベルトとベルトの間に金属の
押さえが挟まってますので無くさないように

フレームを繋ぐジョイントピンの  
メイン留め金具を外してフレーム
分解に 
濡れたまま保管されたりしていたので 鉄
製の留め金類は 結構 錆が回ってます
フレームをばらす時に フレーム毎にナンバ
ーリングをしないと 曲線が多いのでどのフ
レームか分からなくなりますので注意
留め金具を外す前に オイルを少し付けます
ドライバーの先を金具の隙間に入れてバネ部
分を上に起こすように広げて行きます
分かりますか? 押さえ金の爪が起き上がって
いるのを この作業はとてもコツが要ります 第
一に気をつけるのは力を入れるとドライバーが
滑り 手や太腿を刺してしまう可能性がある事
です 手は皮手袋を太腿の上には座布団のよ
うな物を置き 誤って滑っても刺さないようにし
てください また 爪を起こしすぎると再利用が
出来なくなります
浮いてきたところで幅広のドライバーで
起こします
シャフトの上まで上がった来たら また隙間
にドライバーを差し込んで こじっていきます
なるべく分かりやすいように写真を多くしました
が わかりましたか 死蔵されているガタバウト
チェアを分解し もう一度 愛してやってください
シャフト部分を爪で挟んで抜けない構造となってい
ますが 挟むだけでフレームとフレームの間にガタ
が出ない機構は凄いです
ガタバウトチェアラボ シートレストア
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最後に、このチェアの収納形態とフレームデザインを真似た中国製チェアが多く
販売されてきましたが、英国製 ガタバウトチェアを越えた製品は ひとつもあり
ません。 何故なら デザインを真似ただけなので、どうしてフレームが このカ
ーブなのか、生地はどうしてなのか、テープの長さはどう決まったか、コーピーで
マネした椅子には、開発者が決めた長さや、フレーム強度など そこに至るデザ
イン開発が分からないからです。 創立者の航空機分野のエンジニアであるオー
ウェン・フィンレー・マクラーレン氏は 英国的な野外活動を前提に 徹底的に持
ち歩き、好きな所でゆったり出来る椅子を求めた姿がガタバウトチェアなんです
そして英国人の骨格でデザイン設計されたチェアは 足のスト
ロークが短い人には当然ですが(背が低い方) 座り心地の
悪いチェアとなり不評でした またソファーの座り心地感は食事
には不向き  そんなコンセプトではないので 当然 
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ガタパウトチェアラボ シートレストア



































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































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