銀河電燈譜 年表と家系図 水迷宮には家系図があるのに何故『銀河電燈譜』にはないんじゃ! という訳でないから自分で文章読みながら作りました。間違ってるかも しれないんで気づいた方は教えてくだされ。 年表もあわせて銀河電燈譜の全体的な時間の流れ、賢治の半生を追いつつ 作品を読んでみます。 この賢治が乗っている電車は宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」を彷彿とさせる 死者が乗ってくる電車のようです。 登場人物はかわるがわる現れては消え、現れては消え・・・ 巫女(いたこ。つまり真茂留)に憑依した例も含め、自分たちの半生を語っては去っていきます。 語る人 一章・・・「志摩」 二章・・・「更子」 三章・・・「融」 四章・・・「壱彦」 五章・・・「衿子」 一族は数奇な運命を辿りながら幾度となく不義の関係を結び、結ばれ、 報われない思いを誰かに抱き、この電車に乗ってきます。 真茂留は眼の色が滄なので六郷の血筋にはまちがいないでしょう。 ややこしくなるので真茂留に憑依した霊もあげます。 一人目・・・「ミハイル」 二人目・・・「衿子」 三人目・・・「川島俊夫」 さてここでこの物語のテーマ?である近親相姦(とも限りませんが)ですが・・・ 近親相姦はいけない、と理性ではわかってはいても、社会的な禁忌といえど、 あくまでそれは建前。人が誰かを愛するのにいけないことなどありましょうか。 というのがこの本の本音と見せかけて。 実はそのアンチテーゼだったりすのではないかと。彼らは業の深い一族です。本来なら踏みとどまるべきところで踏みとどまらず、 簡単に一線超えて悲劇を繰り返すあたりは宿命というよりも因果応報というべきでしょう。 時には愛情が歪んでしまい、SMになってしまったり親子丼してしまったり・・・ 愛の形なんて人それぞれですよな。 勿論それはこの電車に乗っている賢治もまた然り。 当時の賢治にとってトシは数少ない理解者だったそうです。 (彼が生涯独身なのもそのせいかと感ぐってみたり) 賢治はトシの魂を求めて電車に乗り続けています。 作中の「オラオラデ シトリ エグモ」は賢治がトシの死を悼んで 作った詩の一節、「永訣の朝」の(Ora Orade Shitori egumo)から とったのでしょう。現代語に訳すと「私は私は 一人で ゆきます」 の意。トシは一人きりで、いってしまったのです。それこそ 巫女にすら呼び出せないくらい遠いどこかへ。賢治は死してなお、 トシを探して旅を続けているのです・・・・・・ しかしこの一族のドロドロ血族関係からすると賢治の思いはなんて純粋で清々しいんでしょうか。 いっそここまで対比が激しいと爽やかですね・・・まぁそれも狙いの一つかもしれません。 おまけ ミハイルが語るアリックス皇后とは(後にアレクサンドラ・フョードロヴナと改名)ロシアの最期の皇帝ニコライ2世の妻のこと。 作中で歌われる「星の界」はここで聞けます。↓歌詞もばっちり全部掲載。 星の界 サイト「童謡・歌謡の世界」(外部リンク) |
年号 | 鯉川家 | 賢治と主な歴史 |
嘉永6(1853)春 | 須磨(姉)と鯉川密 結婚 志摩の子供 一嗣 生 | 浦賀にペリー来航 |
安政3(1856) | 妹・鯉川更子 生 | |
明治4(1871)以降 | 兄・継嗣(=一嗣)と操子 結婚 | |
大正7の末〜8の冬(1918) | 高群りく入院 | トシ小石川病院で静養 皇帝ニコライ二世とアリックス皇后一家銃殺される |
大正11(1922)11.27 | トシ死去 | |
昭和8(1933)9.21 | 賢治死去 | |
昭和10年12(1935) | 真藤学(ロシアに留学) | |
昭和11(1936)1/31 | 現代の日付 | 鯉川衿子の子供 俊夫の名札を預かる 真茂留死去 |