第四話 不思議な感覚

ここは聖地を守る警備兵が詰める館。

惑星探査のための外宇宙の出張から帰ってきた兵士たちが聖地での新たな任務に就くべく、王立研究員へと向かっていた。
そこをマルセルとハスラムが通りかかった。

兵士たちはお辞儀をして通り過ぎようとしたが、ふと、一人の兵士とハスラムの視線が合った。

その時、二人の間に何かしら不思議な感覚が走った。
しかし、お互いにそれが何なのかわからなかった。

マルセルとハスラムの背中を見送りながら、その兵士は一緒にいた仲間に問うた。

「おい! マルセルさまと一緒にいたあの少年は誰なんだ? 新しい守護聖さまというわけでもなさそうだし・・・。」

「ああ・・・お前はまだ噂を聞いてなかったのか。・・・実はな・・・・」

仲間は辺りを見回し、誰もいないのを確かめるとそっと耳打ちした。

「ええっ!? オスカーさまの隠し子??!!!」

「シーーーッ! これは一部の者しか知らないことになっている話なんだぜ。まあ、あのオスカーさまの話題だから噂は広まっちまっているがな。なんでも母親がいなくなっちまったとかで、父親であるオスカーさまを頼って来たらしいんだが・・・オスカーさま自体は覚えていないらしくて親子の名乗りはしてないんだ。まあ、本当なのかどうなのかは、女王陛下が知っているか・・・かな」

「ふ〜〜ん。なるほどなぁ。しかし、あのオスカーさまなら有り得ない話じゃないからな」

笑いながらその場を立ち去る兵士だったが、心から笑えない何かが胸の奧に残っていた。






今日のハスラムはルヴァの部屋で一般教養の学習を受けていた。
せっかく時間があるのだから、いろいろと知識を身に着けるほうがいいだろうというルヴァの提案だったのだが、三人の少年守護聖たちはさっさと逃げ出していた。

「あのールヴァさま?」

ハスラムは言いづらそうな感じで聞いた。

「はい〜〜? なんでしょうかー?」

「あの・・・あのね。父・・・父さまの名前は、オスカーっていうんだよね?」

「えっ・・ええ。そうですよー。あの人はここに守護聖として来た時からオスカーって名乗ってますけどー」

「それで、この聖地でとっても大事で、立派なお仕事をしている人でしょ?」

「あーーーそうですねぇ。立派なのかはわかりませんが、たくさんの人々のお役に立つ大事なお仕事だと私は思いますよ。まだあなたには難しいお話になりますけれど、オスカーは人々に炎の強さを与えて、私は大地の知恵を与えています。9人それぞれ、力も性格も違いますけれど、皆人々のために女王陛下をお助けして一生懸命勤めています。・・・・それがどうかしましたか?」

「う・・・ううん。なんでもないんだ」

ハスラムは慌てて本に視線を移した。



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