昨年暮れに小型愛蔵本シリーズ100冊目となる新刊を出しました。
かねてより小型愛蔵本を好いて下さって、いつかシリーズの著者としてご登場いただきたいと願っていた平野恵理子さんとの仕事がようやく叶いました。
小型愛蔵本では初めての試みがつまった一冊。仕上がってみるととてもマッチしていて、100冊目にふさわしい新たな小型愛蔵本の世界が見い出せた気がしております。
たくさんのアイデアを下さった平野さん。ありがとうございます!
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墨の余滴 閑 万希子著
中世の歌謡の世界を独自の表現で追求し続ける書芸家として国内外で活躍する著者の生い立ちから書歴60年の歩みを綴った随筆集。
塗りの通い箱/鏑木清方先生/叔父と「明治風俗十二ヶ月」/町春草先生/十三世片岡仁左衛門さん/「閑万希子」の誕生/カナダ・ヴィクトリアの日々/中世の歌謡『閑吟集』と出会う/二人の私/ほか税込3,024円
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日暮れの記 窪島誠一郎著
戦没画学生慰霊美術館「無言館」館主・作家の著者が、終戦から高度経済成長へと時代が流れ激変する東京で必死に生き抜いた日々のことや父水上勉との想い出など、過ぎし日を山深い信州上田の地で静かに振り返る。
「自問坂」をのぼる/明大前哀歌/あの夏のまま/父の鞄/母の数珠/「塔」の人びと/哲ちゃんのグミの木/新刊ひとり酒/敗者好き/さかさ霧/「風信子ハウス」/若狭 信濃路 初モミジ/いわない暮色/ほか税込2,700円
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庭に一本なつめの金ちゃん 出久根達郎著
著者が敬愛する夏目漱石と彼をめぐる人々の物語を、熊本市の依頼で書き下ろした戯曲。漱石ゆかりの地熊本と東京で舞台化され好評を博した。
その他安政大地震の陰に咲き儚く消えた恋を描く朗読台本「安政大変」、古稀を記念して出久根達郎著書目録を巻末に収める。税込2,484円
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蜻蛉の夢 尾崎 護著
国税庁長官・国民金融公庫総裁を歴任した著者は、愛書家で知られ書評家や作家の顔も持つ。確かな教養と洞察力、豊かな感性が光る随筆集。友人の黛まどか氏が本書に寄せた四季の俳句、佐賀の若き日本画家大串良平氏の装画が彩を添える。
春と桜を待つ心/半世紀前の暮し/乱調の梅雨/ニホンカワウソ挽歌/フェルメール/クロアチア雑感/「敦煌」あれこれ/公私と官民/哲学の復活が望まれる/最近の日本語にぶつくさ/ぶれず、浮かれなかった明治日本/しらす・うしはく/大船建造/中世という時代/人の死と「平等」/ほか税込2,700円
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美の詩 後藤 茂著
衆議院議員を6期16年務め、美術・文学にも造詣が深く著作も多数、文人政治家と呼ばれた著者の美術遺稿集。
美しいものは絵に描かない/美への信仰-山下摩起/今日は、クールベさん/碌山美術館の「文覚」と「女」と「デスベア」/鞆の浦物語-瀬戸内を愛した画家 尾田龍/無言の絵/眉仙の団扇/丸投三代吉さんのこと/ほか税込2,376円
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短篇集赤い糸 出久根達郎著
直木賞作家出久根達郎氏の時代物短篇集。
江戸時代の市井の人々が懸命に生きる姿を、歯切れの良い江戸言葉にのせて鮮やかに描いた11篇。
お湿りなきや/おんな飛脚人/江戸ことば一心太助/奉加帳/とっかえこ/飛い騨ん爺い/送り火ちらほら/四月一日/川越し/島田-東海道の人の道/赤い糸税込2,484円
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ずっこけそこない話 草市 潤著
草市潤96歳の随筆集。朝日新聞書評インタビューで話題となる。日課は三輪自転車で佐賀駅までの行き来。時に転びもするけれど、目にするもので日記代わりの随筆が書けるのである。
もの書き部屋こそわが故郷/ポリカリ三昧/皇帝ダリヤ/コーヒーざんげばなし/後は後今は今/造本すなわちお人柄/雪珈琲/いきなり抱っこ/しみじみと今日降る雨は/つんぐいまんぐい/ひるめし忘れさせ花/ぶっつうくらげ/菱飴一粒/ほか税込2,376円
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短篇集半分コ 出久根達郎著
平成26年度文化庁芸術選奨文部科学大臣賞受賞作。人生半ばを過ぎた主人公たちがふと過ぎし日を想う時、その何気ない言葉や仕草に心の内を垣間見る…どこか懐かしくほろ苦い16の小さな物語。
半分コ/饂飩命/赤い容器/母の手紙/十年若い/お手玉/空襲花/符牒/紀元前の豆/名前/薬味のネギ/校庭の土/こわれる/腕章/桃箸/カーディガン税込2,484円
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日々(ひにち)がくすり 草市 潤著
父母、祖父母のこと。ふるさと川久保の日々。若き日のこと。想いははるかな時間を随筆の中で自在に行き来し、書くことが生きる証と今日もペンをにぎる95歳の日々。
春のいちにち/ある日の夜がたり/蔵書のゆくへ/百歳まであと一息/母の好物/自転車は押して歩くもの/石蕗忌/セレンディピティ/かげのおひと/わたしの天山/さる紙芝居屋の日々/日日がくすり/もの忘れもほどほどに/小城羊羹/流言は智者にとどまる/赤とんぼ今昔/誕生日は母の日/ほか税込2,160円
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随筆 東西南北 草市 潤著
「ハカタのムスメ」に心配されても片道二時間かけて佐賀駅まで三輪自転車で往復する毎日。94歳の瑞々しい感性が光る。亡妻の描いた絵で外函を装った書下ろし随筆集。
庭の上の青空/寒中二句/親の目に灰/うーいってんぎゃー歩き/老い木は曲がらぬ/だいてろさんのおことば/三平ぐみ/藤の花のさくころ/虫に見放された庭の話/妻恋い遍路行/頬っぺたちくり/よっちゃいかっちゃいの木の腰かけ/ほれぼれ自画像/ながいきのうしろだて/東西南北/ほか税込2,160円
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青きそらまめ 草市 潤著
93歳、一人暮らしの毎日は自宅の庭に自然と生える草花をスケッチし、日除けのゴーヤーを育て…淡々と飄々と綴る日々のその文章から見えてくる「生きていく」意味。
団地今昔/フランス大根の花/わが家の個展/鼻糞ほじり同好会/たたなわる庭の草生よ/二銭銅貨/大正時代の空気の味/柿三つ/落としものに宿る神々/親ににたガメの子/青紫蘇の実の佃煮/せんぷうき物語/青きそらまめ/目をばぱちくり/馬穴の話/峠と畑/栞について一こと/一人三昧/ほか税込2,376円(在庫僅か)
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息子好みの父のうた 草市 潤篇
佐賀の歌人・中島哀浪氏は明治~昭和にかけて郷里を終生離れず活動し、九州三大歌人の一人と謳われた。その作調は平坦でありながら生活を歌ったものが多く力強さがあり、地元佐賀の校歌、多くの歌碑が残るなど、人々に長く親しまれている。本書は次男の草市 潤氏が一万首を越える歌の中から小型愛蔵本にふさわしい身辺歌を選んだ。
税込2,376円
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わが浮世絵 高橋誠一郎著
福澤諭吉の門下で経済学者の権威。著者が愛した浮世絵の世界を綴った名随筆を集めた。コレクションより春信、広重、歌麿、豊国の絵を装幀口絵に使った贅沢な1冊。
錦絵と草双紙/春信/春信の『座敷八景』その他/緊縮政治下の歌麿/『写楽は俺だ』/豊国と豊広/北斎と富士/北斎雑感/浮世絵東海道/初代広重画『東海道五十三次』/晩年の広重/広重三代/八犬伝の挿画/芳年画く六郷川の権八/私の顔税込3,564円
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かえらざるもの 大河内昭爾著
本と共に人生を歩んできた著者が説く読書の在り様を自身の心に刻まれた本・作家・言葉を通して明快に綴った随筆集。故吉村昭氏との対談【吉村昭の文学世界】も収録。
かえらざるもの/万太郎の俳句/活字離れ/神吉拓郎、味覚文学の名作/贋グルメ伝/『藤沢周平残日録』を読む/御風忌/吉村昭の死/吉村昭の金庫/「おんぶ隊」/珈琲人生/丹羽先生の居間/石川達三氏の印象/青山光二-無頼の美学-/鎌倉アカデミア/日向夏と冷や汁/吉村昭の文学世界(対談)/ほか税込2,376円